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紙の本
これまでの作風を踏襲しつつ完成度が上がった3作目
2017/11/16 21:47
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る
今年(2017年)のデビューから早くも3作目となるが、第17回フランス書院文庫官能大賞への応募原稿(新人賞受賞のデビュー作)とその予備原稿(2作目)だったことを思えば、少なくとも前2作は既にネタがあった状況。むしろ、本作こそが商業デビューを飾った後の真価を問われる作品と言えよう。そして、その真価は進化という形で表れたようである。
超絶激甘なラブラブが突出した作風だが、それは本作でも踏襲されている。37歳(母)・28歳(女教師)・18歳(娘)の3人ヒロインはすぐに訳知りとなり、すぐに仲良しにもなるため鉢合わせの修羅場など元より皆無。大学2年生の主人公を愛でに愛でる展開は誘惑と言うより溢れ出る愛情をガンガンぶつけるノリである。また、終盤の3Pから4Pといった畳み掛けがなくとも官能描写は総じていやらしく、きちんと体位を変えて2回戦、3回戦と繰り広げられる濃密さがある。ややお口奉仕が多いか。
そんなヒロイン達の反応は過剰にして過敏。些細なことで頬を赤色・朱色・ピンク色に染め、主人公のちょっとした言動に感動し、そして達する。合体の前に何度も達してしまう敏感さなのである。また、ちょっとした失敗(?)で主人公に悪いと号泣する。いやいや、そこは「あ、ゴメン」と笑って済ます場面では?と苦笑交じりにツッコむところだが、主人公もまたヒロイン達の細やかな計らいに涙を浮かべている。ただ、この大仰なやり取りがさほど浮いた感じにならないのは作品全体が大仰だからであろう。その意味で統一感はあり、ここまでくると作者の独自性として早くも確立した感すらある。
とまぁ、こちらがこっ恥ずかしくなるほどの激甘振りが終始一貫して描かれるが、作品の構成も前2作に似ている。年上お姉さん成分が高く、娘の登場は終盤に入って(本作では第五章)から。年上ダブルヒロイン+娘っ子という配置は今回も良好に作用していると思う。また、プロローグからの第一章で高校時代の回想に入り、そこで女教師の筆下しを描いた第二章から今に戻ってくるといったストーリーの捻りが見られ、ヒロインこそ変われど同じことをしているという繰り返し展開も今回は上手く活用している印象だった。何より結末までの流れを含めた全体の完成度が向上していると感じられたのは今後への期待を含めて大きい。
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