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表題作のくちなしと、最後の山の同窓会が七篇の短編たちの中でも群を抜いて好きでした。
切なくて妖しくて、愛らしい。奇妙なのにとても心地の良い話ばかりでした。
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短編7作。
それは川端康成「片腕」だったと思い出しながらの「くちなし」他、いろんな愛のかたち。
設定はどうあれ根底は変わらないのだからどの作品にしたって琴線に触れる。
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今まで読んだ彩瀬さんの本の中でも群を抜いて美しい。今年出会った作品の中でも一番好きだと言える、妖しさと美しさを兼ね備えている短編集。どれも幻想的で、一見感情移入できないようなありえない設定ばかりのようにも思えるけれど、読み進めていくうちに主人公の女性たちの感情が自分に流れ込んでくるような心地。人間の汚い塊をこの人はなんて綺麗に書き上げるんだろう、と何度ため息が出たことか。愛は美しいだけじゃない。おどろおどろしくもあり、醜くもあり、ときには人を怪物にしてしまうこともある。それでもそんな恐ろしい感情を繊細に綴っているのが『くちなし』のすごいところだと思う。
『くちなし』や『薄布』は読んでいて、設定がどこか川端康成の『片腕』や『眠れる美女』に似ているなぁと思った。文章に現れる危うさを孕んだ冷たい愛情も、どこか似ていて好きだ。けれど七篇の中でもっともお気に入りなのは『愛のスカート』だった。七篇の中でももっともリアルで現実世界に近い。それぞれの登場人物の実ることのない、一方通行の愛情なのに、最後は読者の心すらも救ってくれるトキワのセリフが心にいつまでも残っている。
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【著者の新境地を開く七編】別れた不倫相手の左腕と暮す「くちなし」、運命で結ばれた恋人に会うと体に花が咲く「花虫」など繊細に紡がれる傑作短編集。
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表題作と「愛のスカート」、「薄布」あたりが特に好き。
不確かでひとりひとり形が違う、愛とかそういう名前で呼ぶものを眺めているような。
くちなしの、最後の方の妻の台詞がとても印象に残りました。
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面白かったなぁ、
なかなか非現実的な設定。
おとぎ話のようだけど、その人々の悩みは我々と同じようで、日々の生活に苦しさを覚えてたりする。
だからすぐ感情移入してしまって、苦しさもわかる。
とてもスラスラ読めた。
映像が浮かびやすい、ジブリとかで、映画化して欲しいなぁ。
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くちなし、花虫、けだものたち、薄布、山の同窓会はどこか夢うつつにさせられるような物語だった。
愛のスカートがとてもよかった。受け手のいない愛でこの世は満ち満ちているんだろう。
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彩瀬さんだなぁ、と思うのは、どことなく漂う血の匂いと、生温かさ。人のようで、異形のようで、でも人のようで。愛や生をリアルに、不気味に少しファンタジーに隠して。茄子とゴーヤ、愛のスカートは分かりやすくて短編集の中でもほっとする作品。その他は少し考えたり、背筋がちょっと冷たくなったり、あぁ、と頷いたり。ちょっと今、色々な愛情について悩んでいたので、いい刺激になりました☆
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愛情と憎しみは表裏一体であるとよく言われる
そのどちらもを失ったら人間はただの抜け殻となり
価値のないものになるのかもしれない
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いろいろ試してるのかなあ。不思議な世界ではなくて、私達共通の世界の生きにくい人をかいたようなのが、この人の小説では好きなんだけれども、あっち側の世界の話もまじった短編集だった。
そして「愛のスカート」は、言うことなし、今年のナンバーワン、この人のナンバーワン。私もそう言ってもらいたい、それでも諦めきれないとは思うけれど。
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今作も著者らしい少しグロテスクで美しい独特のファンタジー。ただ、SF並みに突飛な設定の上で描かれているのは「女性の“役割”」という非常にリアルな問題提起だと感じた。そういった重い作品が並ぶ中でファンタジー要素が皆無で読後感も爽やかと良い意味で浮いてる『茄子とゴーヤ』が救い。
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独特の世界観が漂う、愛にまつわる短編集。不思議で少しグロテスク。暗い感じの川上弘美だと感想を書いている人がいたけれど、そう!それ!!と思わず激しく頷いた。
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内容(「BOOK」データベースより)
別れた愛人の左腕と暮らす。運命の相手の身体には、自分にだけ見える花が咲く。獣になった女は、愛する者を頭から食らう。繊細に紡がれる、七編の傑作短編集。
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短編集。
どのお話も独特の世界観で、なかには分かりにくいものもあったけど、どれも人の奥深くにあるざらりとしたものと、その裏側にあるかのような官能的なものが、ひしひしと伝わってくる。
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18/01/07 (1)
今年一冊目!表紙が不穏なかんじで落ち着かない。どの話も静かで不安で不思議な感覚。いきなり腕をぴりぴりとちぎるって描写にひえーと思いつつ読む読む。
P7
もうだめなんだ、とアツタさんに言われた。いつかはくるだろうな、そうだろうな、とは思っていた。だけど実際に言われたら想像よりずっと悲しくて、アツタさんのいない生活がいやで、両目からだらしなく涙があふれた。(くちなし)