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カズオイシグロの会話文?が好きだ。「私を離さないで」がとても好きだが、これもなかなか良かった。
ファンタジーのようでミステリのようで哲学書のようだ。
大きな出来事がなくても、どんでん返しやトリックがなくても、とにかく読ませる。
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文庫化で再読。
本当は単行本で読んだので買う予定はなかったのだが、ノーベル文学賞というニュースが流れてきたので、記念に……。
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前情報なしに読んでみた。純文学だろうかななんて予想は綺麗に裏切られて、まさかのファンタジー。しかし、とても写実的。
長く語り継ぐことができる古典のような作品だと思う。誰が信じられるのか、何が本当なのか。何を覚えて、何を忘れるのか。
年月の経過が人を変えていく、あるいは変えられずに小さな歪みが積もり積もって思い出されていく。
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カズオ・イシグロがノーベル文学賞を受賞した直後に文庫化されるっていうので話題になっていたので読んでみた。
舞台は6、7世紀のブリテン島で、アーサー王伝説が下敷きになっているので、そこら辺の知識に疎いのでちょっととっつきにくさは否めなかった。
章ごとに視点が変わり、時間も進んだり戻ったりする書き方に、引き込まれるものを感じた。
「忘れられた巨人」という何か違うものを想像しながら読んでいたけど、ちょっと、終わりがあっけない気もする。
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【人類と記憶と歴史】
忘れる。そのことが存在したこと自体を覚えていない。思いもしない。
存在した気がするが内容を思い出せない。
存在したことを信じているが全体的にぼんやりしている。
存在したことはわかっているが詳細が思い出せない。
大事な何かがあるはずなのに思い出せない。
一方で、記憶の風化を防ぐ、忘れてはならない、忘れたくない、ということもある。
良いことも悪いことも、全てを明確にいつまでも頭に、心にとどめていられたら、きっと人間はその時点を振り返り、立ち戻り、囚われて、前に進んでいくことにものすごい力を必要とするのだろう。
反面、思い出したくない、忘れたふりをする、記憶の奥底に追いやって目を向けない、なかったかのようにふるまう、そうやって現実を直視しない、自分を世界を偽っていれば、これまた本当に前に進むことはできない。
そして人は記憶(の取捨や解釈)で自分を偽ることができる。記憶と感情と知恵が絡んで厄介な存在だ。
どう付き合っていくのが幸せなのだろうと、問いかけられているようだ。
【老夫婦】
お互いを愛情深く思いやり寄り添いながら目的地を目指し、失われていく記憶を取り戻すこと、これ以上失わないことを目指すが。。。
全てが戻ってきたあとの、ラストは、第三者の目から描かれ深く静かな余韻に包まれ、その解釈は様々だろう。
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ノーベル賞を取るちょっと前に読んだんだけど、まあ、確かにもらってもおかしくないよね(ウエメセごめんw)。
インタビューでも答えてたけど「忘れるってことの意味」それも、個人レベルではなく、集団(国家)レベルで忘れるってことの意味が雌龍クエリグの比喩を使ってうまく表されてます。戦前の日本を忘れるとか、原発の危機を忘れるとかと通底する社会の問題ってか。
前半のペースがイマイチだったり、最後、渡し船の比喩もわかりにくいんだけど、奥さんがずっと胸を痛がってたからってのはなるほどです。長男の行く末もよくわからなかったけど。
イシグロさんのはこれまで「日の名残り」しか読んだことがないんだけど、次は「私を離さないで」かな。とにかく全部ジャンルが違うらしい。
わが村上御大は「偉大なマンネリ」ですが、イシグロさんはそれとは対極にあるようなので、楽しみです。
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なかなか難しいファンタジー。
ただ、カズオイシグロ好きとしては、その筆の海の中で世界観に浸れて気分良く読書体験ができるのだが。
しかし難解な作品だった。
ここまでくると、内容がどうとかじゃないような。小説という芸術性をひたすら楽しむのに尽きる。そんな高い感性を与えてくれるのだ、カズオイシグロは。
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よくわからなかった(笑)
愛しい想いでをなくすのは悲しいけれど
辛く悲しい想いでや憎しみは忘れていた方が
幸せだったかもしれない
ということか
やはり翻訳したものは苦手だ。
文章が読みにくい。
日本語として違和感を感じるところが多い。
まず、年老いた夫が妻を「お姫様」と呼ぶところ。
次に「鬼」という存在。
おそらくゴブリンと呼ばれるものかと思うが、
日本語に合うものが他になかったのだろう。
英語で読めればよかったのだが、能力が無いのでしかたない(笑)
最後は
結局彼らはどうなったの?という感じだった。
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グローバル化の深化と民族対立・宗教対立の激化という真逆の価値観が同時進行する世界を語る重要な作品になるのでは、、、と感じる。社会的意味合いで記憶される作品でしょう。
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ハッピーエンド希望!!二人で島で暮らせるのかハラハラする。
忘れるって大事だなと思った。大切な思い出すら、苦しませるものになったりする。
こういうファンタジーものは大好きで、一気に読みました。
そしてアーサー王の本を買いました。好きだなあ。
主人公夫妻の幸せを願ってやまないです。
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さすがカズオ・イシグロだ。不思議な霧の中を老夫婦が一途に旅する物語。舞台は6~7世紀ごろのブリテン島、しかも鬼や竜が出てくるファンタジー。しかし活劇ではなく、じっくりとストーリーが紡がれる。そして最後に明かされる真実と問いの前に言葉を失う。
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あまりにファンタジーな世界観に当初は戸惑ったが、ドラクエなどのRPGを通じてファンタジー慣れした自分の脳が世界観に馴染むまでそう長くはかからなかった。著者が繰り返し投げかける過去との対峙という主題が、竜の息による健忘症というファンタジーな要素を通してむしろ明確にされている。信頼できない語り手である主人公を構造的に位置付ける。
読後感としては奇妙な寂しさ・心細さが残る。一行の大黒柱であった戦士さえ、竜を倒してなお、情緒不安定に陥り、心細げである。
そして、本作では、過去との対峙という主題に絡めて、異民族同士が過去を見つめた上で融和できるのかという問いも投げかけられる。ある意味で融和を守ってきた騎士、そしてある意味で融和を破壊しようとする戦士、のんとも言い難いなー。
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単行本で読んだ時あまりしっくりこなかったせいなのか、いくら探しても家で発見出来ず、この度の文庫化で買い直し。
そうなんだよねー、記憶はアイデンティティだよね、個人にとっても、国家にとっても。
そして、確かに、愛とは記憶、とは言えるだろう。
共通の記憶の集積が愛になり得るのは確か。
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たしかにーーー。そもそも正しい記憶って存在しない。記憶は必ず誰かの主観っていうフィルターを通して蓄積されていくものだから。よくも、悪くも。そのことを描いた本。
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[手に取った理由]
2017年ノーベル文学賞を受賞したから。
いつか読もうリストの作家。
[主な登場人物]
アクセル…老人
ベアトリス…老婦人
ウィスタン…戦士
エドウィン…少年
ガウェイン…騎士
ホレス…軍馬
[感想]
文章は読みやすいです。ストレスを感じません。
記憶についての謎を追いながら、淡々と物語が進みます。私も淡々と、これからの展開を考えながら読みました。
四人での旅は終わりました。けれど、それぞれの新しい旅が始まります。決して平坦ではないでしょう。
深いです。