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殺害方法の思いつきや途中まで親友を全く思い出さないとか不自然な部分を感じつつ、麻衣子自身の秘密が明らかになって「おぉ~」と期待していた著者の力量に触れる。
どんどん不気味に変化していく司の存在感にゾクゾク。最後はそれを上回る黒い影の存在が作品の背景を流れる暗い水のモヤモヤから姿を現し、妙な満足感と前途多難な不安を両方抱えたまま読了。でも、麻衣子と陽一郎との間に新しく築かれた何より強固な絆がきっとこれからの救いとなるのだろう。
今後もまた人間の暗部に切り込んだこの人の作品が読みたいと思わせてくれる良作だった。
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『入らずの森』を読んで、追いかけようと決めた作家さん。
不遇な子供時代を過ごしたピアノ調律師をしている主人公の麻衣子。
過去に住んでいた村での記憶と現在とが並行して話が進む。
正直オチは予想がついたのですが、それでもやはり面白かった。
隠れキリシタンが話のポイントとなってくると思っていたのだけれど余り深くは関わっていなく、そこが少し残念。
やはり祟りや呪いよりも生きている人間が一番怖いですね。
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このタイトルはちょっと吸引力が弱いなぁと思ったのですが、読了後はなるほどと思いました。おなかいっぱいの盛りだくさんです。宇佐美作品は作者の言のとおり人間の暗部に切り込む小説です。主人公のことに関しては誰でも予想のつく展開なのですが、さらに思いがけなかったそして最も怖かったのはラストのおばさまの暴露でした。だれもが心に暗い影を持っている。そしてそれを引き受けつきあいつつ生きていく。死ぬまで明かさない秘密、影、毒。それを含めて私なんだと思わされました。主人公はきっと幸せになる。そう願いながら本を閉じました。
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「愚者の毒」と同じ作者だったので。
だいぶ、作者のやり口に慣れてきたので、
今度こそだまされないぞ、と読み進めた。
幻のように消えた子供がいても、それは幽霊ではない。
呪いと言われても、信じてはいけない。
あっさり書かれている出来事には裏がある。
かなり真実に近づけたが、やっぱりだまされた。
ラスボスには気が付いたけど。
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これはやられた! って感じでした(^ ^;
物語の序盤は、伝奇ホラー風。
ダムに沈んだ村、キリシタンの呪い、
謎の「事故死」を遂げた伯父...などなど、
おどろおどろしいモチーフが続けて出てくる。
それが、とあるきっかけで「謎解き成分」が増える。
主人公の過去を探ろうとする同郷の三流ライター。
この辺からさらに「バイオレンス成分」まで出てくる(^ ^;
さらに終盤には「え、そういうことだったの!?」
という驚きの展開になり、その後まだ二転三転(^ ^;
も、何を信じたら良いのやら状態(^ ^;
読み進めつつ「え、ちょっと待って」となって、
ページを遡って読み返すこと数回(^ ^;
一冊で5度も6度も楽しめる(^ ^
エンディングも、一応はハッピーエンドながら、
この先まだ波乱を予見させるモヤモヤは残り(^ ^;
巻末の解説を読むと、気づいてなかった
「さらなる仕掛け」が隠されていたりして...
本当にどこまで掘り下げて構成してるんだ作者は(^ ^;
いや〜、いろんな意味でやられましたわぁ...(^ ^;
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お勧め度:☆5個(満点10個)タイトルに惹かれて買ったけれど、ちょっと予想外の展開に少し暗くなる。人間の精神面、影の部分を、主人公を通して描いてあり、4章ある章を読み進むにつれて、深い闇に陥るような感覚に襲われる。内容は、ピアノ調律師の主人公が愛媛の山奥のダムに沈んだ村で起きた村長である叔父の死をきっかけに、彼女の深層心理が延々と描かれ、次から次へと真相が明らかになるというお話。ネタバレになるので言えませんが、最後には苦難をを乗り越えてハッピーエンドになったので、それは良しとしましょう。暗さを除いて。
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ピアノの調律師の麻衣子は幼い時に父を亡くし依存体質の母は麻衣子を1人で育てる事が出来ず、夫の兄夫婦を頼り実家の四国の山奥へ移住する。
義兄は、村の権力者であり、麻衣子の母は異形の義兄に依存して村での生活を送るが、麻衣子は叔父を毛嫌いする。
そんな中、村にダム建設の話が上がり、建設を巡って村人が対立中に叔父が事故死する。
その後、母と叔母と共に東京に戻り、今度は叔母に依存するダメな母。
叔父の事故死の真相は?というのがこの本の本筋と思いきや‥
叔母や麻衣子の友人たちの真相、母親の思い。
色々、ビックリな事が出て来て最後まで面白かった。
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購入済み
2022.01.05.読了
なんだ、予想通りの結末か。。。
と少しガッカリしたところ。。。
さすが宇佐美まことと言わざるを得ない!
途中、なんかつまらない終わり方かも。。。と思っていた。それでもやっぱり読みたいし、ガッカリしてもいい!と思わせてくれる作家。
この人の作品はガッカリがない!
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初読みの作家さん♪
ホラーっぽくて、怖いのは嫌だなぁと思いつつ、読み進めてみると、しっかりとしたミステリーで、よかった!
2度読みすると、なるほどなぁと腑に落ちた。
他も読んでみたい。
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この作品は四章から成り、章ごとに有名なピアノ曲にちなんだタイトルがつけられています。
第一章「沈める寺」ドビッシー、第二章「水の戯れ」ラヴェル、第三章「雨だれ」ショパン第四章「オンディーヌ」ラヴェル。
そしてこの本のタイトルである『死はすぐそこの影の中』はフランスのピアニスト、アルフレッド・コルトーに命名された「雨だれ」のもうひとつのタイトルです。
そして主人公である一藤麻衣子はピアノの調律師です。
麻衣子は東京の生まれですが5歳で父を亡くし愛媛県の七富利村の村長だった父の兄である伯父の家に母と身を寄せます。
麻衣子は転校生ですが困った時に麻衣子を助けてくれるミツルや司という友だちができます。
一方、麻衣子は5歳まで習っていたピアノに想いを募らせます。
麻衣子が中学生の時に子どものできない伯母のかわりに母と関係を持つようになっていた伯父は家の風呂に溺れるという不審死を遂げ、隠れキリシタンの呪いという噂がたちます。
そして、村にいられなくなり麻衣子と母、伯母の幸枝は東京へと移り住みます。
麻衣子は病院の精神科で治療を受けのちに調律師になります。
人気ピアニストの兄で実業家の橘陽一郎との噂がきっかけで、麻衣子の過去を知る人物に出会い、伯父の怪死事件の謎と麻衣子の過去が明らかになっていきます。
しかし、麻衣子の過去を知る人物は大怪我をします。
最後まで一番怖い人物は誰なのかわかりませんでした。
村の旧家で起こった数々の事件。
罪を犯した人物には一体、どういう制裁が下るのか。
かなり怖い終わり方です。ホラーだと思いました。
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こうなるやろ→やっぱりなぁ→そう来たか!!→嘘でしょ……
っていう本でした。
自分が見ている・信じている世界が実は虚像だったら…友達や自分自身を信じられなくなりそうです。
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水と音が様々な通奏低音として聴こえてくる。
半村良か横溝正史かと思いきやダニエルキイス、更にはこれでもかの力技。
何が本当か分からなくなり、自分ですらも、何人もの人格がいそう。
貫井さんや乃南さんのような人の心の闇に入り込んでくるが、読後感にはある種の爽やかを感じた。
読み通しのには、重たかった。女としての心理描写にも好感が持てました。
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伏線回収は見事なものですが、伏線が伏線とわかりやすすぎて、張った時点で結末まで読めてしまうのが残念。
トリック?は、綾辻行人的な感じとだけ記しましょう。最後の急展開にもついていけず…
この作者は最後はいつも急展開なの?
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2022.08.27
「愚者の毒」に続き、一気読みしてしまった。愚者の毒も本当に暗い話だったけど、こちらも暗い…とにかく水の底のように登場人物の誰も彼もが境遇が暗くて重い。もうやめて!と叫びたくなるくらい暗い。イケメン御曹司である陽一郎でさえも…。陽一郎って、ガラスの仮面の速水真澄みたいで、唯一の救済者と思ったけど、恋人の殺人を知ってそれでも結婚する陽一郎も相当ヤバイ。
結婚後、母か彩香を殺してほしいと思ってるのかもしれないなと勘繰ってしまうイヤーな終わり方。
こういうのもイヤミスっていうのかしら?
この小説の中に一貫して流れているものは「狂気」だと思う。登場人物全員が心の中に暗くて醜い狂気を持っていて、それがまた面白くもありページをめくる手が止まらないんだけど、読み進めるごとにこちらの気分も沈んでくる。
もう誰も信用できなくなってきて、春日コーポーレーションの恩人ユリさんでさえ何か腹黒いものがあるんじゃないかと信用できなくなる始末(結果そこまで酷い展開じゃなくてホッとした)。
この作者さんの作品はどれもこんな感じで暗いのかな。好きだけど、覚悟して読まないと落ち込むなと思った。
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「愚者の毒」で知った宇佐美さん。
読むのはこれが3作目ですが、これはイマイチでした。
この方の作品では共通して母子関係に起因する事件や犯罪が描かれており、本作もその点については興味深かったのですが、事件の真相がミステリーとしては微妙でしたし、
結末に至ってはありえないでしょ、と本を投げてしまいたくなるようなものでした。
ただ一点、評価したいのは私がこれまで読んだ3作全て、同じ人が書いたとは思えないくらい文体が異なること。
その点を考慮すると、あと1~2作読んでみる価値はあるかも。
2021年32冊目。