紙の本
リニア問題を考える参考に
2023/05/23 13:25
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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
リニア中央新幹線計画のこれまでと現状における問題点を分かりやすく紹介してある。
環境破壊や住民の立ち退きなど、ざまざまな問題ごとに章立てして書かれているので頭の中で整理しやすい。
結局、全体を通して見えてくるのはのは、企業・国家という権力が、計画のために住民のことを軽んじていること。
一つ一つの問題もだが、解決できずに訴訟にまで至ってしまう根源は、それに尽きると思った。
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樫田秀樹さんの最新刊。ブックレットですのでページ数が少ないですが、中身がしっかりまとまっています。リニアの抱える問題点を短時間で知ることができます。
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世の中的にはリニア新駅が設けられない静岡県がごねて工事が進まないという報道・理解がなされているリニアですが、実はそんなに簡単な問題ではなということが、下記の課題に沿って簡潔にまとめられています。
要は政治主導でリニアありきの計画が立てられ、そこにJR東海の杜撰な計画・対応が話をかけたっていうところか?
もっと時間をかけて丁寧に対応しなくちゃね。
リニア計画とは?
難問1 膨大な残土
難問2 水涸れ
難問3 住民立ち退き
難問4 乗客の安全確保
難問5 ウラン鉱床
難問6 ずさんなアセスと、住民の反対運動
難問7 難工事と採算性
おわりに―住民・市民の声に耳を傾けられるか
著者:樫田秀樹(1959-、北海道、ジャーナリスト)
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日本人ってつくづく不思議。なぜなら「絆」とか「おもてなし」とか、他人に対する思いやりめいた言葉が好きなわりには、高速道路や空港や発電所などの建設で生活を分断され、騒音や汚水で悩まされ、一時的なお金をばら撒かれて人生が狂わさせようとする人たちに対しては、自分たちの便利さだけを見ようとして、あまりにも被害を受けている人の苦しみに鈍感で、まるで見て見ぬふりをしているかのように見えるからだ。
特にいま挙げた高速道路などの施設では、大掛かりな工事を伴うこともあり、街なかを避けて住宅が少ない郊外で行われることが多くなっている。しかし当然ながらその鄙びた地域でも人の生活が存在する。その地域の住民の生活を犠牲にすることで、私たちは便利さや経済効果なるものを享受できているのである。
リニア新幹線についても、多くのの日本人は「便利になるし、早く出来てほしい」と(私と同じく)単純に思っているはず。しかし著者はリニア新幹線が不可能になる理由として「①膨大な残土」「②水涸れ(がれ)」「③住民立ち退き」「④乗客の安全確保」「⑤ウラン鉱床」「⑥ずさんなアセスと、住民の反対運動」「⑦難工事と採算性」の7つを挙げて検証する。
ちなみに④は、強力な電磁波の発生の乗客への影響や、大量の消費電力確保のための送電での高圧化の影響、地震等の緊急時の避難経路確保の困難性などを指し、⑤は計画路線が通過する岐阜県内に日本最大級のウラン鉱床が存在し、トンネル掘削によってウラン含有土が地表に排出されるため、従事者や処分地付近住民への放射線による影響についての課題を指す。
しかしながら、ここで私は、著者が頭ごなしにリニア計画に反対しているのではないことを強調しておきたい。文中、橋山禮治郎さんの論として引用されているが、リニア事業の有用性のキーワードとなりうる「環境」「経済性」「技術」についての課題がクリアされ、かつ、それらの課題に関して関係住民に事業者が十分かつ丁寧な説明を行えば、反対する理由はなくなるという見解だ。
だが、①から⑦までを読むうちに、事業者であるJR東海にとっては、何はともあれ「リニア建設」という目標をまずありきとして、課題を著者や住民側から示されても、説明を先送りにし続け、あげくに対話を一方的に終えようとしているのでは?という思いが募っていった。いわゆる“結果ありき”で先送りや当座のごまかしで取り繕うというような姿勢でやり過ごそうとしていないだろうか?
もちろんJR東海にも“言い分”はあるだろうが、私には「素人に言ってもわからないだろう」というような不遜な態度が透けて見える。課題に真剣に向き合い、日々解決を地道に考えてる者ならば、素人へのアカウンタビリティについてのノウハウも並行して身に付くはず。それができない(しようとしない)のは、要するに何一つ課題解決への糸口が見つけられず“強行突破”しようと画策していることの裏返しだと考える方が自然だ。
事業者(JR東海、またはその背後にいる国)が十分な説明を住民にしないというのは、ひとえに日本人の特質である「礼節」を著しく欠いた��勢ではないか?という思いを読後に感じざるをえず、この問題はリニアが通じようとする地域の住民だけでなく、日本人全体で、日本人が大切に守ってきたその特質に対する挑戦だと受け取らざるをえない。事業者は真摯に課題を検討し、もし課題が解決できないのならば、そのツケを一部の住民に押しつけ、苦しめるべきではない。それが守られないのなら、絆を大切にする日本人として、一丸となってリニア新幹線計画に対して毅然とした対応を取ることが、正義そして日本人の道義に適っている。
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私が大学生だった昭和末期の頃、超電導という言葉が新聞紙上で見られたことがあります、超電導現象がドライアイスレベルの冷却で可能になり、これが実現すれば世界を変えることができるものだというものでした。
あれから30年、私が追いかけていないので最新情報はわかりませんが、この本の題材であるリニアモーターカーは、30年前にすでに実用化されていた技術を使って走るものです。つまりドライアイスでなく、液体ヘリウム(マイナス200度以上)が解けるレベルまで冷やして使うものです。電気がどれほど必要になることやら。。。
この本ではリニア新幹線が不可能な理由を7つの観点から述べています。私が生まれた頃、国鉄時代から続けられていた研究、それに携わった人にとっては是非とも実現させたいものなのでしょうが、自然環境への悪影響、乗客への放射能等の影響を考えると、無理して開発する必要があるのでしょうか。これから人口現象を迎える日本において、本当にリニアが必要なのか、考える良い機会を与えられた思いました。
以下は気なったポイントです。
・7つの理由、1)膨大な残土、2)水涸れ、3)住民立ち退き、4)上客への安全確保、5)ウラン鉱脈、6)ずさんなアセスと住民の反対運動、7)難工事と採算性(もくじより)
・残土処分地として確定しつつあるのは、瀬戸市の硅砂鉱業協同組合の硅砂(ガラス原料)採掘場跡(P15)
・山梨実験線の各地で水涸れが起きた、朝日小沢地区ではJR東海が20年間のポンプ稼働にかかる電気代(1000万円)を払った(P19)
・調査を行ったのは、上野原市・富士見町・早川町のみ、甲府市・中央市・南アルプス市は調査もされていない、リニアが通過する大柳川・笛吹川・釜無川は環境アセスがされていない(P24)
・リニアは強力な超電導磁石で車体を地上から10センチ浮かせて、500キロで走行する。新幹線の3倍以上の電力を消費する(P31)
・リニアは超電導現象を起こさせるため、各車両に4つ設置する冷凍庫を液体ヘリウムでマイナス269度まで冷却し、超電導磁石を格納、リニアが走る両脇にある壁(ガイドウェイ)に設置したコイルに電流を流して電磁石とすることで、車両の超電導磁石との間で吸引と反発が同時におこり車両が動く、これにより電磁波が発生する(P31)
・岐阜県東濃地区には日本最大級のウラン鉱床が点在し、1970年代には原発燃料の自給を目的としてウラン採掘も行われていた、現在は行われていないがいまだ地下にはウランが埋蔵されている(P36)
・JRを建設する独立行政法人(鉄道建設・運輸施設設備支援機構)は、2016年11月、17年1,3,5,7月と合計3兆円がJR東海へ投入された、返済30年間据え置き(通例5年)、返済期間は10年、利子は0.6-1%(通例3%)無担保で実施された(P56)
2020年9月21日作成
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私にとっては衝撃的な一冊だった。
読み進めると暗澹たる気持ちになってきた。
内容は書名からも分かるように
リニア新幹線の問題点を列記している。
その問題点の多さは衝撃的だった。
本書の内容の正確性については
私の拙い知識では判断しようがない。
しかし本書の内容のうち
たとえ2割が真実で
8割が嘘だったとしても
リニア新幹線に対して
私は全面的に反対するだろう。
そのくらい本書の内容は衝撃的だった。
すべての日本人に読んでもらいたい
と感じた一冊だった。
少なくともリニア新幹線は通過すると思われる
東京から大阪に住む方々は
リニア新幹線について調べて頂きたい。
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この本の内容がどこまで真実なのかはわかないのですが、もし、すべて真実だとすると、リニア中央新幹線の開発は即刻止めるべきですし、JR東海は、あまりにもひどすぎる(不誠実な)会社です。
経済性・安全性・環境・技術の4点あたりが主な論点だと思いますが、経済性について、JR東海は「リニアはペイしない」と言っているようですし、安全性についても、路線の8割がトンネル、しかも、相当な深度のトンネルが多い割には、トンネル内で止まったときへの対応に関する危機意識が希薄ですし、環境については、あちこちの水源で水枯れを起こしそうですし、トンネルを掘った際の残土の処理については、8割は行き先がないですし、技術の面では、大量の電力消費、強力な電磁波の放出の影響など、様々な課題を抱えています。
他にもたくさんの課題があります。
リニア中央新幹線については、知れば知るほど、不必要なものに思えてきます。
それなのになぜ推進しようとするのか、自分にはまったく理解できません。