ＢＬＡＣＫ ＴＩＧＥＲ １ （ヤングジャンプコミックスＧＪ） みんなのレビュー

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投稿者：求道半　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

本作は西部開拓史ではなく、西部劇である。史実ではなくて、フィクションである。
　二十一世紀の読者向けの、女賞金稼ぎが主人公のエンターテイメントである。
　嘘だらけである。
　だから、本作は面白い。
　一話で完結する三つのミッションと、雛型の読み切りが一編収められた第一巻は、えげつない行為が間々、見られるものの、それらは勧善懲悪の時代劇には欠かせない薬味のようなものであり、各話の舞台設定や構成は読者に展開を先読みさせないもので、毎回、主人公のブラックティガーは、思わぬ状況で、死にかけ、仕事の完遂が困難となる。
　本作は、主人公の死を以って、完結する作品なのかもしれない。
　南北戦争終結直後の混乱した政治状況が、主人公とその仲間の一団が暗躍する余地を生み、敵と味方の双方に被害が及ぶ。しかし、その一方で、救われる人民も数多くいる。作中には、全身に銃創と刺青のある主人公の、可憐な頃の、陰惨な過去を想像させる場面も見られ、ブラックティガーの心中は、まだ、読者には計り知れない。