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投稿者:えぬ - この投稿者のレビュー一覧を見る
訳が読みやすい。始まりから実際にコレラの原因にたどり着くまで綿密に書かれているのが、それだけで面白い。また、当時の常識に縛られずに実際の観察に基づいてつきつめていく姿勢にも驚いた。
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19世紀半ば、ロンドンで発生したコレラ被害についてのノンフィクション。
発生から収束までが物語調で描かれていて、なかなかスリリング。主人公的なポジションにいるのは感染経路を突き止めたある医師だが、基本的には群像劇的だった。
欲しいと思っていたものを買った後、何となく買ったのだが、結果的に大当たりで良かった。みんな買うといい。
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出ました!2018年初の星5コ本!コレラ感染がまだ解明されていなかったヴィクトリア時代、一晩やら数日やらでバタバタと家族や通りの人々が死んでいく恐怖。何が媒体となっているのかわからない見えない敵に、1人の男が立ち向かう。…いやもうこれだけで映画に出来る!ではありませんか。ロンドンの地図に、感染した死者の数を書き込んでいく図が思い浮かびます。
歴史資料や医療知識科学知識、現代のビッグデータとの比較など、著者が読み込み分析した科学としてのデータの膨大さもさることながら、物語として充分にダイナミックでスリリング。
感染症、都市化、温暖化、テロなどにも言及。
でも、悲観じゃない。
いやー面白かった。
読んで読んで!みんな読んで!
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ミステリかSFと思って題名買いしたら、19世紀ロンドンのコレラ感染を描いたノンフィクションだった。
物語的にも読ませるし、「沈黙の春」のように授業の教材にも良い本じゃないかな
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ところどころ同意できなかったり、よくわからない部分もあったけど、だいたいは面白かった。医学、疫学プラス社会学の勝利。都市論。現在のソーホーを歩いて過去を想像する最後のくだりも好き。
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これまた時代の雰囲気の読書ということで。
19世紀なかばヴィクトリア時代のロンドン。人類はまだ細菌の存在を発見できておらずコレラの原因も「瘴気」であると考えられていた。そんな中、科学的アプローチでもってコレラの感染経路を突き止めた「疫学の父」ジョン・スノーを中心としたノンフィクション。
スノーは自らの飲料水媒介説が世間に広く受け容れられるのを見届けずに亡くなったのだが、彼の説は再評価されて今でもちょっとした有名人である。本書の売りは、当時の原資料を渉猟して、スノーの仕事を可能にした他の人々の貢献ー 地域の人脈を駆使して感染状況をトレースした副牧師、死亡統計を整備した官僚 ーを明らかにして群像劇仕立てにしたあたりか。
本筋もさることながら、衝撃的なのはウンコまみれといって過言でない当時のロンドンの不潔さ。大都市というのは維持不可能なものだと信じられていたという。それを可能にした下水道整備などの事業にも触れられている。
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新型肺炎のニュースが世間を騒がせているもののこれを読むと、新型肺炎は予防策も分かるし、現代日本は医学や公衆衛生もしっかりしてるから、まだましだと思えてくる……。1850年代のロンドンはなかなかの魔境でした……
汚い話になりますが、当時のロンドンは水洗トイレが設置され始めていたそうですが、それは特に下水処理されることもなく、排水されていたそう。その水の行き着く先には汚泥のような汚水溜めが……そして本の中でも散々言及されますが、当時のロンドンの川や下水管からの悪臭もひどかったそうです。最初の記述だけで、今の日本に生まれて良かったと心底思います。
そんな衛生状況の中、ロンドンの都市のある一画で起こったコレラの集団感染。コレラって名前くらいしか知らない病気だったのですが、読んでいてその症状の凶悪さに血の気が引く思いになります。嘔吐と下痢によって数時間の内に、身体の30%の水分が失われ、さらにその便は小腸の細胞が混じって白く見えることから「米とぎ汁様便」と呼ばれるそうです。
そして脱水症状により、身体の機能は心臓などの重要な部分の機能は残しつつも、そうでない部分の機能は徐々に停止していくため、感染者は自分の身体が死に近づいていくのが分かるとのこと。いや、もう恐ろしい……
当時は細菌の概念もなく、臭いが病気を媒介していると考えられていた時代。そんな中、聖職者として地元住民たちを見舞い続けるホワイトヘッドと、臭い以外にコレラの感染経路があるとにらんだ医師のジョン・スノーが、それぞれ行動を開始します。
コレラの感染経路は水なのですが、それにいかに迫りそして証明するか。この過程がとても面白い! 当時のロンドンの公衆衛生の状況や、そして地元住民への地道な聞き込みから、感染経路を絞りついに感染源が明らかになる過程は、ミステリ風味もありとてもスリリングです。
そうした二人の活躍の合間合間に挟まれる学術的な話も非情に多種多様。当時のロンドンの状況から現在にも繋がる都市文化論や、公衆衛生論といったトピックに、また細菌や医療、遺伝子といった生理学、生物学的な話題にも話は広がります。イキった言い方をするならば、様々な知的興奮が味わえる、そんな一冊です。
ジョン・スノーとホワイトヘッドの奇妙な絆にも、思いを馳せてしまいます。そして著者の大都市に対する一風変わった愛もまた印象的。
歴史的な読み物としても、様々な知識を得られる学術的な一冊としても、面白い本でした。
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スティーヴンジョンソン「感染地図」http://kawade.co.jp/np/isbn/9784309464589/ 読んだ、おおおおもしろかった!19世紀半ばのロンドンでコレラの発生源をつきとめるまでの数日間とその後日譚で、私立探偵物みたいな気軽さで読めるけど、学びは深い。統計すごい。最後の都市についての考察も好き。大名作だなー(おわり
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2020/4/20 読了
科学的な本は、とっつきにくく感じる本が多いが、この本は帯にもある通り、ミステリー仕立てになっていて一度もつっかえるとこなく最後まで読めた。
確証バイアスがいかに厄介で、取り除くことが難しいことか。コレラが流行っていた当時のロンドンでは、私も確実にしょうき説を支持していたも思う。自分でもこれにどう対応すれば良いのか、、正解が分からない。
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仲野徹さんの帯を見て購入。面白かった。
疫学の走りといっていいんだろうな。病原菌がまだ検鏡で理解できなかった時代に、丹念な調査で病原を特定、解明し、被害を抑えていく。
8割おじさんが欧州時代に、疫学が何万人もの命を左右するものだと教えられたとテレビでみたけど、こういう歴史の上に学問があることを感じて、ちょっと感激した。
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これは面白い!
疫学、科学、社会学、歴史学、どこにカテゴライズすればいいのかわからないけど、知的好奇心を掻き立てられるというのはこういうことか!と思う。
面白い!!
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はじめに、にあるように、本書には、致死的な細菌と、超成長する都市、そして天賦の才をもった2人の男という四つの主役が登場する。
舞台となるのは、1854年8月末から一週間のロンドンはブロードストリート、このエリアをコレラが襲う。と言っても、コレラ菌が発見される30年も前のことであり、原因も治療法も分からない中、人がバタバタと死んでいく。
原因を探り当てていく過程は大変スリリングであり、特に井戸水のポンプを外させる場面などドラマチックで、読み応え抜群である。
ところでということになるが、主役の一人、ジョン・スノーは、1854年以前においてもコレラ禍の被害について様々な調査分析、考察を行っており、原因は飲料水の汚染を媒介としているのであろうとの結論に至る。しかしながら、当時はほとんどの専門家が瘴気説を採っていた。においのせいで人が死んでいるわけではないことを示す科学、統計、逸話が十分あったにもかかわらず、瘴気説が専門家の通説となっていたことについて、著者はその理由、背景等を説明する。
特定のドグマに囚われてしまうと、その中でモノを見てしまいがちであることの怖さを、歴史的事実として教えられた。
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150年前にロンドンの一画で起きたコレラ感染について、具体的な事実を追い、原因を突き止めた二人の人間のドキュメンタリー。少数の人間であっても、地道で真摯な行動によって多くの人間を救いうることを示してくれた。当たり前のように生活している都市基盤も、こういう地道で大胆な積み重ねによって成り立ってるのだと知れた。
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はじめに
下肥屋
眼はくぼみ、唇は濃い青色に
探偵、現る
肥大化する怪物都市
あらゆる「におい」は病気である
証拠固め
井戸を閉鎖せよ
感染地図
エピローグ
著者注
謝辞
付録 推薦図書
訳者あとがき
文庫版 訳者あとがき
書誌
原注
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コレラの感染源を突き止め、科学的データとしてまとめた感染地図。
コレラが1845年に大流行するまでの、ロンドンの都市として成長した理由、当時の下水システムや底辺層の暮らしぶり、菌の側からの生存戦略や遺伝的システムまで、ミクロにもマクロにも取り上げていて、ブロードストリートの悲劇が起きたのが都市成長した末に必然的で、社会学的生物学的背景から、そして人類の発見の端緒に繋がったことが、とてもよくわかり、そしてスノーが何を考え、どのような根拠に基づいて感染源を突き止めていくか、感心しながら面白く、犯人を追い詰めるドキュメンタリーとしてあっという間に読めた。信仰の強さと感染は別物だと信じる。瘴気説。居住地と高度の偽相関。地道に回ること。川底さらい、泥ひばり。アルコールと乳糖耐性と人類淘汰。戸籍と死因の統計。子供と水汲み。
解決した後の、今後の展望は歴史に基づいてない分、少しだけ余計に感じた。
コレラが小腸で増殖するもので、飲水から感染し、水を大量に飲めば治るという今から見れば当然なことを信じない当時の人の思い込み。天然痘などは空気感染するし、悪臭はもちろん病気の元だし、煙を火と思い込む。結果がわかっているので、偏見のある人々対スノーとホワイトヘッドの図式になるけど、きちんとした科学統計を取ればいつかは答えがわかる、つまり病原菌対人間の図式。試行錯誤し、偏見なく緻密なデータをだし、視覚的に分からせる地図を作る。菌を科学的に知覚できないビクトリア時代の、それでも迷信や思い込みに惑わされず原因を突き止めていった人々の強さ。
新型コロナが話題となっている昨今。マスクだの感染源だの持続力だの経路だの、情報が錯綜して人々が右往左往しているけど、100年後の人々からすれば、簡単で唯一の解決策や感染源が分かっているのに、直感で行動していた未開な人たち、と思われるのかもしれない。
p75 彼が疫病大流行の初期に不潔さと発症率が一致しないことに気づいたのも、以前からどの家の衛生状態がよくて、どの区画が不潔かを詳しく知っていたからだ。
p63 コレラは数千年のあいだひっそりと暮らしていた。繁栄の障害となったのは、他人の排泄物をあえて食べる人はいないという点と、たとえそうしためったにない機会があったとしても、つぎに同じ機会がいつめぐってくるかわからないという点だった。
水洗トイレを使うことや私企業の水道会社から高い水を買うことをおぼえたロンドン市民は、より快適で贅沢な生活を享受できるようになったが、知らないうちにコレラ菌のDNAをより危険なとのに組み換えていたのだ。
p125 この街全体を覆っていたある種の逃れられない疑念のことを心に留めておかなければならない。それは、この街ににはひびが入りはじめているという程度のものではなく、こんな大それた都市を作ってしまったことがそもそもの間違いで、近いうちにその罰が下されるのではないかという疑念だ。