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人事ポリシー
人事制度を一から考えるなら?という問いを人事のプロにしてオススメされた本。
全てはどんな人材が欲しいか、という人事ポリシーに基づいて判断していく、それが複雑に絡み合う人事制度をブレずに作り上げる肝である。
本書はサクッと読めるボリューム感で人事制度全体を網羅的に語ってくれている良書である。
◯ぶれる人事
・いい人が集まらないのは、求める人材像が不明確だから。
・インセンティブ制度や手当を導入する場合は、人事ポリシーと一致しているか、不満が発生する要因がないか検討する。効果は次第に薄れる。
・福利厚生で大事なのは公平さ。
・それがあるとやる気が増す要因:仕事を通じて目標を達成すること、周囲からの承認、責任範囲の拡大、昇進など
・それがないとやる気が無くなる要因:報酬、評価、管理方法などの会社の方針、人間環境含む労働環境
・「最後の転職」アピールをする人は、安定した雇用以外に志望理由がない。
・即戦力という言葉は曖昧、きちんと採用方針に会った人を採るべし。お腹が空いてる時は特に危険。
・若手の抜擢は、周囲の嫉妬を買い、不公平感が漂い、結果を出せなかった時の扱いが難しいため、主観でやらないを公正な評価に基づいて昇進を促す。
・先頭多くして船山に登る。役職を乱発すると指揮系統がわからなくなる。
部長、課長と各階層に求めることを明確に定義する。
・人事の領域は幅広く、全てが綿密に関連している。全体に精通したプロを雇う場合は、候補者の適性をプロに診てもらう必要がある。
・新しい人事制度が多くの弊害を生むケースは少なくない。一度失敗すると立て直すのに何年もかかる。
・人事で重要なのは公正さ、誰か一人の言い分を認めることで他の社員の不満を増やしてしまう。
・会社が社員に求めることが明確になっていない状態で研修しても意味がない。評価基準やキャリアステップを明確にする。
・評価制度を入れる上で大事なのは、何で社員を評価するかという人事ポリシー。評価者の教育も必要。
◯ブレない人事
・単発の制度では上手くいかない場合が多い、それは人に関する長期的なビジョンが欠けているから。
・ビジネスは変えられても、人は簡単に変えられない。
・人事は、経営理念(ミッション、ビジョン、バリュー)と社員のキャリアビジョン(仕事上のゴールや目標)、キャリアプラン(キャリアビジョンを実現するための計画)の方向性を合致させる任を持つ。
◯人事ポリシーの作り方
・人に関する考え方 p.99
・特に重要なのは求める人材像を明らかにすること。
・働く目的を明らかにすることも重要。利益は目的ではなく対価。
・何に対して評価するか?成果-行動-能力。安定感と躍動感の両方が必要。行動+成果で評価を行い、基本給は「未来の成果に対しての投資」、賞与は「直近上げた成果、業績の清算」と考えるのが王道。
・コア、スペシャリスト、オペマネ、オペのどの人材が求められ、資本(育成しリターンを期待)と資源(使い捨て、出来るだけ安価)どちらか?
���新卒は会社の変革を主導するコア人材育成のため(様々な経験を積ませる時間があり、知的ポテンシャルが高く、最も安い)
・主体性と協調性どっちを重視するか?
・長く働いて欲しいか、代謝を求めるか
・成長しない、パフォーマンスの悪い社員をどうするか?何となく放置が一番良くない。2:6:2の2をどうするか。
・X理論(本質論、人は仕事が嫌いで、管理統制が必要)で捉えるか、Y理論(性善説、理念で動かす、自ら動ける人材))で捉えるか
・モチベーションの源泉
仕事型(仕事そのものが好き、裁量権を持たせるのが最適なマネジメント)、組織型(組織にいること、会社が好き、理念を浸透させる)、生活型(私生活の充実、収入やライフワークバランス)
◯人事ポリシーの実践
・人事ポリシーを、全ての社員に繰り返し伝えること。
・求める人材像を目指そうとする人材を採用し、どんな会社でも通用する状態まで育て、そこで成長できるのだからやめないわという状態にする。
・人事制度の基本は、等級制度(会社が社員に求めるものとキャリアステップ)、評価制度(会社が求めていることと社員の現状の乖離)、給与制度(評価を給与・賞与に結びつける)
・評価制度で明らかになったギャップは研修や勉強会などの教育施策で埋める。
・ベタな人事の役割 p.174
・等級ごとに求めるコンピテンシー p.177
・目標管理制度は社員の自主性や自己統制に基づいて会社の目標を達成するマネジメント手法(Y理論)。
・上から押し付けた目標では上手くいかない。目標設定会議で上司とすり合わせるのが肝要。
・評価会議は評価者のバラツキをならすだけでなく、社員の良い点改善点を明らかにし、評価者自身の成長に繋がり、人事ポリシーを浸透させられる。
・社員のキャリアの意向を聞く。その一部を実現ささていくことで、本当に実現することを示す。異動は長期で見れば人を飛躍的に成長させる。
・煙情報を集め、社員の本音に常に触れる。日が起こる前に対処。
・何をすれば給与が上がるかオープンにする。等級が上がると一気に給与が上がるようにし、何年に一度かこういうことがあるとモチベーションを維持しやすい。一方どこかのタイミングで昇給は止める。
・転職したらちょっと給与が上がるくらいが健全、新陳代謝も必要。
・外部から人事部長を採用すると、存在意義を示すためとにかく変えようとする。成功率は極めて低い。必要な資質 p.208
・労働法規や就労規則(ベタベタ人事)は社労士、等級 評価 給与制度(ベタ人事)は人事のプロ、採用イベントやインセンティブ、研修といったその会社らしさの部分はプロパーで構築しよう
・例外は、あくまで例外と認識して行う
◯具体例
・マネージャーの成長 p.227
・人事ポリシーから作り直した p.230
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組織と人のベクトルを合わせた方がパフォーマンスが上がるし、みんなハッピー
それを可能にするのが人事ポリシーにリンクした人事制度
給料よりも成長を求める人が増えてきていることを考えても、小さな会社であっても人を成長させる仕組みが必要だ
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人事ポリシーの必要性を説いた作品。
人事ポリシーの有効性とよくある施策のミスをまとめたものです。
人事部長になったときにもう一度読みたい作品。
人事にベタベタな人事、ベタな人事、面白人事の3つのパターンをつけたのは面白く、確かにと思わされた。
まずは人事の基礎作りからしていこあと思わされた。
リクルートは人事ポリシーの作り方、使い方が本当にうまい。
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「人事ポリシー」、必要だなと痛感しました。言葉は違えど、「何かあったらここに立ち返ろう」という場所があれば良いんですね。むしろそれがないと、会社がバラバラになる。
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人事系で最初に読んだ本。自分の会社にない視点がたくさん見えた!人を資本と考えるか、資源と考えるかという視点は、本当にうちの部に足りないなぁ...と痛感。
人事ポリシーもうちの会社にはない...期によって新卒への扱いも違うらしいし、不安になることをたくさん学べたのはよかった(笑)