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品切れだったものを復刊。
これで『まっぷたつの子爵』もUブックスから出ればいいのだが、確か去年、岩波文庫になったんだよなぁ……。
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お話の設定→カタツムリ料理が食べたくないので逃げた。見つかりたくないので木に登って死ぬまで降りなかった。うーん。話の進め方も丁寧。うーん。なんではまれないんだろう。 どうもこの方と自分は相性悪いなあ。 RPGでいうと、体力系のボスキャラに倒されるのは何とも思わないのよ。またレベル上げして挑めばいいけど、どうもこの方は魔力系の得体の解らない要素を持ってて、それを見つけられないために、倒された時の落ち込みが甦る。なんだろうなあ。いつか攻略できる日は来るのでしょうか。
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ある日木の上で生活すると決めて、その後決して降りることのなかったコジモと、その周辺の人々とそれらを取り巻く社会情勢についての話だった。その周辺の、と書いたがコジモのほうが物事の周辺にいる人物だった。コジモの弟がコジモが生涯の終わりに天へ失踪したのち回想して書いているというていである。この形式は前に読んだ『不在の騎士』に近いものがあるが、ファンタジー度はこちらのほうが抑えめだった。まるで実際に木の上で本当に暮らした人物がいたかのような…。ただ「木の上で暮らしたコジモ」やその人生は、コジモの弟の完全な創作だとも言える余地があって面白いと思う。
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12歳で木から降りないことに決め、一生を送った男の物語。森に入って隠遁生活を送るのでなく、頻繁に人と関わり、木から降りることなく共同体にも参加する。とても素直で情熱的で、変人だけど人は良いというほかない。
愛した人との再会と結末は切ないものだった。いろいろな知識を持ち思想があっても、なんだか行動はそのときの気分と頑固さに拠るあたり、気ままに育ったせいなのか。
一生の終わり方には美学を感じた。
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12歳で木に登り、永くを過ごした人間の記録。
木の上から降りないという奇行とも取れる生活を送っているのにも関わらず、他者との交流は良好
少し変わった行動をしていても人として分かり合える、平和とはこういうことでは。
ノーベル賞取ってないことに驚くくらい。
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読み始めると周囲に木々が繁り空が葉で覆われ枝が伸びて向こうまで広がってゆくような気がした。面白い。あらゆる木が出てきて様々描き分けられていた。山猫や狼、りす、シジュウカラ、いろんな動物が出てきた。コジモは猟をし、本を読んだ。人との出会いと悲しい別れがたくさんあった。
恋人もできた。しかし、コジモはまあ何でああいう人を好きになってしまうのか、気立ての良さそうなお嬢さんとは結ばれずに。反抗から木の上に登ったのに、思想まで放埒ではなく、自分の決めた事に決して反しないことから、(ブロンドの)西洋古典的美女への愛という形式に忠実でそこにしか愛の基準を置けなかった人ととるか、己の理想に忠実だからこそ結ばれないとわかっている人と恋に落ちたととるか。ヴィオーラはギラギラの宝石のような、奔放で高貴で魅力的な人だけれど、コジモはそうではなかった。
木の上の生活は苦しく厳しくも気ままではあり、仲間も得、あらゆる物を地上から持って上がり、本棚を木に据え付けて、新聞を発行した。戦争や革命もやってきて、フリーメイソンにもなった。コジモの人生は最後の瞬間まで波乱に満ちていた。そして彼はとても愛すべき変人だった。
読み終わるのが寂しくて最後のページが来た時動揺した。それでもよどみなく綴られる美しいメロディのような文は、オンブローザの空をかつて覆った木々を弟ビアージョのイメージするまま(であるかのよう)にわたしのまぶたの上に蘇らせ、そのまま静かに本を閉じ思いに耽った。また本を開けばそこにそれが在ることに少し慰められる。愛おしい本。