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原因は明らかではないが、地球上の人類がいなくなる。生き残りは、北極圏の天文台で最後を迎えようとした天文学者(オーガスティン)と、木星探査船で宇宙にいるクルーたち。極地にいる男は、天文台に取り残された少女アイリスを見つけ、二人で生活をする。一方、木星探査船の女性(サリー)は地球と通信ができないことで、地球人類が滅んだことを知る。別々の舞台で別々のストーリーが展開するが、木星探査船が地球に接近したときに地球の男との通信に成功する。ただし、明るい展望はない。別々の話は最後の最後でリンクする。それは謎めいた少女が媒介になるのだが、結論は読者に委ねるような曖昧なもの。すっきりしないが、絶望の中の希望を見いだしたい欲望と相まって、不思議な読後感となる。
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野心や名誉欲を優先し、人との絆を後回しにしてきた二人の主人公が、人生の最期で後悔に苛まれる。やがて、たとえ何回人生をやり直したとしても同じ選択をするしかなかっただろうと気付いていく。そうして何度も後悔のどん底から這い上がり、人生を続けていくしか無いのだ。
まだ野心に燃えている若い人には、この本は心に響かないかもしれない。私には十分すぎるくらい響いた。
私の今後の人生を変えるかもしれない本の1つになると思う。
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SF。ポストアポカリプス。終末もの。
北極に残された男性、オーガスティン。宇宙を旅する女性、サリヴァン。二人の視点から交互に進む物語。
終盤にそれぞれの物語が繋がって、一つの大きな物語となる、という定番の構成…なんですが、読者によって様々な解釈ができる、モヤモヤした結末。
いくつもの謎が残り、よく言えば、非常に想像力を刺激される作品。
全体として、派手さはないものの、丁寧に、淡々と、綺麗な文章が続き、意外と好みに合った。
北極で大自然のなかで生きるオーガスティンのパートがとても好きでした。
以下、思いっきりネタバレ。
地球の人類はどうなったのか?、とか謎はたくさん残るが、一番気になるのは、オーガスティンと共に北極で暮らしていた少女アイリスの存在。
十九章ではオーガスティンが見ていた幻覚であるかのシーンが。散々アイリスの行動を描写しておいて、全てが幻だったのか。
幻覚だと考えると、アイリスが北極に残されていたこと、外で薄着でいても体調を崩さなかったこと、オーガスティンがサリー達にアイリスの存在を伝えなかったこと等、一応説明できるのか。
この場合オーガスティンは、アイリスが幻だと気付いて生きる理由を失い、力尽きた…?
更に、最後のページのハーパーの一言。いやまさか…同一人物だと矛盾が多すぎるよね…。
作者の意図はどうであっても、アイリスの仕草が可愛い、というのは間違いないです。
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帯に「インターステラ」×「渚にて」とあったけど・・・「トップをねらえ」だろうがああ!!
・・・と叫んだもののSF純文学。
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世界の終わり
北極の天文台
宇宙探査船
無反応の地球、北極と火星あたりでそれぞれ孤独に蠢く人類
老人と子供
ってあたり、とっても、こう、ぐぐっと来るものがあるのですよ
しかしながら、原書の書き方がそうなのか、翻訳が原因なのかわからないけど、文書はとにかく自分には読みにくく最初は難儀
でも、「この本は推理もののように文書の意味をしっかり理解する必要はなく、字面を拾って雰囲気をつかむだけで楽しめる」とわかってからはそんなに苦痛ではなくなった
写真を見るとき、木々の一本一本まで見分けたりはしない。全体を眺めていいなぁと思う。そういう感じで読む本だった。
静かな、というより自分のテリトリー外は無音の、世界に残された人が、何を考えてどう動いたのか、という風景を楽しめたのではないかと思う。
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北極圏の天文台に自ら残った老博士と、木星探査から地球へ帰還中の宇宙船「アイテル」のクルーたち。地球に起こった何らかの異変により、両者とも他者との交信を断たれてしまう。非常に淡々とした文章だが、それがかえって物語を引立てる。北極圏の大自然と、宇宙船内のクルーたちの心の描写が美しく切ない。読み終えた後、静かな余韻と共に、たくさんの疑問が波のように押し寄せる。オーギーは?アイリスとは何だったのか?サリーたちは?…この後のストーリーは読者任せということだろうか。
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全体的に謎だった。
想像に任されてる。
2人の主人公は誰とも通信ができない状況下で過ごしている。その様子が終始描かれている。
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人間が一人もいなくなり他の動物たちが生きている世界と、他の動物が一切いなくなって人間だけが生きている世界。
どちらがいいか想像した。
もしかしたら、私は前者かもしれない。
己の肉体一つで捕食する術を持たない人間よりも、動物たちの存在の方が生命力を感じるし、逞しさに鼓舞される気がする。勿論恐ろしく寂しいし、毎日泣き暮らすかもしれないけれど。
オーガスティンは死にゆく熊に、孤独と、それと闘ってきた自分とを重ね合わせたのかもしれない。
しかしまた、宇宙のように果てしない人間の思考の不思議さも感じられた。己との対話の中で変容する人格、そして生き方を変えられない自分を許すことで解放される苦しみ。
サリーとオーガスティンが互いに正体に気がつくこともなければ、オーガスティンが胸にわき上がる愛慕について打ち明ける願いも成就されない。サリーが愛を受け入れた瞬間、彼女たちは無事であったのかもわからない。
もしかしたら遠く離れた親子の平穏な死の瞬間を目撃したのかと思うと、切なくてしようがない。
ひどく残酷な終わり方の一つではあるが、二人の魂が救済されたことにこちらも救われる思いがした。
たっぷりと余韻に浸れる作品。
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SF
クローズドサークル
地球からの通信が一切途絶えた中、
北極圏天文台の研究者と、木星探査船乗員の姿を描いた物語。
沈黙した人類とは対照的に、雄大な自然の営みは続き、美しい光景が広がる。
人間はどうなっているかは語られず、彼ら同様全く状況は分からない。
読み手も自由に創造する作品。
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絶望的な状況の物語のはずだが、話運びは淡々としており
美しい描写で悲劇な感じは薄れる。
多くが読み手に委ねられており、
そのタイプの物語は自分は結構好きな方なのだが
正直この作品はあまり響かなかった。
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うん、SFというよりもふたりの主人公のドラマだな
人類滅亡が、テーマじゃない。残り1/5付近で気づく主人公たちの関係、読み終わって初めて気づく妖精ちゃんの正体。このふたつが物語の最大の山場かな。それが後半一気に押し寄せて来るから驚く。
終末ものは「渚にて」にまさる作品は無いと思うけど、これはこれでとても良い作品だ。邦題がイマイチかなと思うけど、原題だとわかりにくいし、難しいところかな。いやぁ、夕食後この時間まで一気読みだ!楽しかった!
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てっきりハードSFだと思い込んで読み初めたのだけれど、違っていた。心象風景の描写は丁寧だが、結局のところ状況については何一つ明らかになるものはなく、また、端から明らかにしようとするつもりもなかったに違いない。いろいろと皆が情緒的すぎてつらい。解決しない疑問符が取り残されて消化できない。そしてアイリスの存在とはいったい。