紙の本
人間強度が下がるから(別作品)
2018/02/18 16:39
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投稿者:イシカミハサミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「賭博師」という肩書の存在感が薄まった2巻とは違って、
この肩書に人生ごと絡めとられていく巻。
そして“賭博師”ラザルス、という存在が
根底から揺らいでいくのかもしれない巻。
守るもの、を持った賭博師の生き様。
しかと見せてもらいたい、次巻以降にも期待。
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トラブルから逃れ逃れてバースへやってきたラザルス達。帝都で賭博が出来なくなっていたラザルスは、ここで一仕事と考えるのですが、着いた早々警告を受けるわ、瀕死の少女を部屋に放り込まれるわ…何に巻き込まれているか解らないうちに、町の権力争いの両陣営から、味方に引き入れようと狙われることになって…。
という第三巻。
正直、何でこの状態でラザルスが狙われなきゃなんだとは思う展開。ホントは彼は何にも関係がないトラブルなので。
ただし、巻き込まれたトラブルの解決に描かれる賭博の場面と、最後の方でラザルスがやってのけた決着は、相変わらずクールで格好いいし、緊迫感があります。
ですが!
私は、このお話で大事なのは、そこじゃないと思って読了しました。
ほんとに読ませたかったのは、この一点。
「ラザルス、恋を自覚する」
これですこれ!
彼の好みは、作中出てくる深夜飲みの相手とか、フランセスのような、皮肉も諧謔も通じる、大人で、でもラザルスの前では可愛くなれる女なのでしょう。
エディスもいいけど、もう彼の中で決着がついてるので、彼女は射程外。意識してるのは彼女の方だけかな。
だけど、好みとか計算とかをぶっ飛ばして、何が何でも我が手で護りたいのは。
リーラ。
リーラだけ。
彼女が無事に、ラザルスと一緒にバースを出られないという事態は避けたいから、彼はまたも命を張ります。
ああ、いいですよね。両思いって。
いいですよね。愛されるって。
献身も女の幸せではありますが、こんなに激しく純粋に、愛されてみたいものです。
奴隷という、ただ庇護されていたら、終わりのこない関係から、個人対個人の恋愛に移行する時、彼らはどちらも、相手から別れを切り出されるリスクを負います。
今の所その両刃のナイフの切れ味に気がついているのはラザルスだけですが、もしもそれが彼に突きつけられたら、それこそ世界が転覆したような驚きが、彼にはあるでしょうね。
但し、別れてもダメージが少ないのはラザルス。
どうなるか予測もつかないのはリーラで。
正直それでもラザルスは、なんとか生きてしまうでしょうが…。
そんな現実論はどうでもいい。
これは小説。
ピカレスク・ラブロマン。
どうかブレずに熱い展開を見せてほしいものです。
ラザルスは、リーラを一人の女として愛しているし、リーラも受けて立ちました。
いえ。
やっと恋に自覚的になったというところ。
ああ、もう。
あなたがいなきゃ生きられない、ってほど燃えてほしいものです。
冷静で冷酷でろくでなしの仮面を、引っ剥がして、ラザルスにはいい男でいて欲しい!
リーラも、もっと、愛して欲しいって本音を叫んで欲しい!
両思いっていいですよね。
ああ、羨ましいな…。
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この間も読み応えたっぷりで、中世的でハードボイルドな世界観を堪能できる。リーラのキャラとしての魅力がどんどん増しているのもなんだかこそばゆいながらも素敵