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良かった。
特別、大きな伏線や驚き、感動はないものの、安心して読める。
キーストーリーを中心に、いつくかの物語が紡がれ「あぁ、そういうことかぁ」ってなる、最後の締め方も好みでした。
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北海道出身なので読んでみたいなーと思って手に取った本。湊かなえさんのイヤミスでない本を読んだのは初めてかも。なんだか心がほっこりしました。カメラマンの人の話がすきかなぁ。小説の構成も面白いな、と。読む人によって、物語の受け取り方は様々だと思うけど、未完の物語となればなおのことなんだな、と。途中で出てくる剛生が、朝井リョウさんの何者に出てくる人に似てた笑
文庫版の解説者にニヤリとなる人、いると思います。
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2018126 おそらく作者の思惑通り評価が分かれると思う。自分の感想としては、最初と最後だけでよかったのでは。になります。途中凄く嫌になったり、喜んだり、作者の思惑通りの気分の流れだった。そういう意味ではまた読みたい作家です。
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私は札幌の街と千歳空港しか知らず、ジンギスカンとカニの食べ放題と夜のネオンの眩しいススキノの街が私にとっての北海道である。しかし本作は私の浅はかな北海道像をぶち壊し、美しい坂の街や幻想的な湖の数々、どこまでも続く長い道と水平線などの広大で美しい北海道を描いている!
『山女日記』を読めば山に登りたくなり、『リバース』を読めば高原のロッジに泊まりたくなる。本作『物語りのおわり』を読んだら北海道に行きたくなった!
湊かなえの筆力に引き込まれてしまうのか自分が単純なのか思わず考えさせられる。
山に囲まれた街で暮らす絵美は少し年上のハムさんに恋をする話で始まり、次は北海道を巡る五人の旅人の話!
妊婦の智子→プロカメラマンを諦めようと思う拓真→駄目男と付き合っていた綾子→公務員ライダー木水→アラフォーキャリアウーマンあかねへと物語りの襷は繋がってゆく。
主人公達は物語に触れ開き直っていく。
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妊娠3か月で癌が発覚した智子、娘のアメリカ行きを反対する木水…。迷いを抱えた人々が向かった先は、北海道。旅の途中で手渡されたのは、未完の小説だった。そして本当の結末とは-。
連作短編集。湊かなえらしい細かな描写が続く。冒頭の篇を読んだとき、どうしてこういう結末?と思ったけれど、続く篇を読み続けて納得。ただそれぞれの登場人物たちに共感できるかというと、少なくとも私はNOだった。
(Ⅽ)
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小説が、めぐりめぐって本人に戻ってくるお話。
最後のお話がすき。
人生これから、どんな選択をしてどうなっていくのか。
また、自分がどんな風に人に影響するのか。
わからないものだなあ、と。
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結末がわからない小説「空の彼方」がいろんな人に渡っていく。
それぞれ人によって作り出す結末が違い、その人生観を書き分けることができる湊かなえさんはすごいと思う。
また、最後に「空の彼方」の結末もわかり、後味の良い作品だった。
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短編集で、それぞれがバトンタッチするようにつながって行きます。絵美はパン屋の家に育つ女の子。田舎で山の向こうを空想する日々。小説を書く趣味がある。パン屋にくるハムさんと恋に落ちる。友人の計らいで、有名作家の弟子になれる機会を得るが、すでに結婚の話が進んでいて、親にもハムさんにも反対される。諦めきれず駅まで出てきたところに、ハムさんが現れる。ここで1話は結末がなく終わり、2話以降は、1話が原稿となり、その原稿を持った人が、悩みを持つ初対面の人に原稿を手渡していく展開となる。受け取った人は、原稿を読むことで、その結末をそれぞれが考える中で、気づきが生まれ、何かを取り戻していく。短編の登場人物がステレオタイプな印象で、よくある結末という印象がありますが、作者は人の心に響く仕掛けを作るのが上手な印象でした。読後感のいい小説です。
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結末の書かれていない「空の彼方へ」という小説が
北海道を旅する人達にバトンタッチされていく形になっています。
この作品の結末を読者に任せるという手法が面白いです。
そして旅先での登場人物がさりげなく現われて、
さりげなく小説が渡されていくのが見事でした。
最後までどんな結末になるのかワクワク感が止めらず、
旅先での登場人物と同じようにラストの結末を
色々な方向から想像をさせられました。
人生の岐路や置かれた環境など様々な所で、
この作品への思いや考え方が全然異なってくるのが、
また面白く考えさせられることばかりでした。
結末の書かれていない小説の行方とそれを書いた女性の行方は
どうなってしまったのかと思えば、後半になりデジャブーのように
同じストーリーが出てきて、これも過去から未来へと
見事にバトンタッチされていて読んだ後にもすっきりとしました。
どんな時代でも夢を追い求める人、
夢を諦める人、夢を助ける人、夢を妨害する人がいて
これがあるからこそ人生は苦しくも歩きにくいものであっても
最後には笑ってまた歩き出せるという希望があることを
また思い知らせてくれたような気がしました。
そして歳を重ねても何か一つ小さなものでも良いから、
夢を持ち続けていたいなと思いました。
ストーリーの舞台が札幌、小樽、洞爺湖、旭川、美瑛、富良野、
網走、摩周湖、知床と北海道になっていて風光明媚な場所
ばかりだったので一度は北海道へ旅してみたいと思っているので、
益々北海道の良さが伝わって行ってみたくなりました。
湊さんの作品というとミステーでどちらかというと
グロテスクでドロドロとした印象がありますが、
この作品ではそれは一切なく、読了後は清々しい気持ちになりました。
湊さんの新境地の作品だと思うのでお勧めな一冊だと思います。
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夢を追い求める人。
夢をあきらめる人。
夢の手助けをする人。
夢への歩みをを見守る人。
夢を見つけようともがく人。
夢が見つかるまで
静かに、ただひたすら静かに
一歩一歩を踏み出す人。
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北海道の観光地を想像しながら、それぞれに悩みを抱える人たちの物語を楽しめました。
個人的に、ハムさんが最後居酒屋で小説を受け取る下りが理解できず、あれは誰なのか、誰か親切な方、教えて欲しいです。
私は夢という夢を持ったことがあったかなぁ。強い憧れを持つことはあっても、実際に追い続けるほどの情熱はなく、ただ目の前にあることをこなし、進学して、就職し、結婚した。小説の中に出てくる、公務員の大水に似てるのかな。なりたい職業に就くことだけが夢ではないと思うけど、将来、息子が大きな夢を抱いた時に、応援してあげたいと思う。叶わなくても、挑戦することに意味があると思う。
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北海道を旅しながらも、自分の中に様々な問題を抱えている人達の間を渡っていく「空の彼方」という結末のない小説。
それを受け取った人は、その物語に自分を重ね、自分の道を切り開いて行こうと思う。
手に取る人の気持ちや状況によって変わる結末。
私ならどんな結末にするだろう…
本好きな人にはたまらない作品かもしれない。
2019.6.30
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物語は巡り巡って…………。
終わるから物語なのか。
終わらせてこそ物語なのか。
続くから物語なのか。
続けてこその物語なのか。
人生いろいろ。物語もいろいろ。
夢を持っているのがそんなに偉いのかって、どこかの誰かが言ってた。
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舞台は北海道。
冒頭の結末が描かれていない「ある物語」から、その結末を引き継いでいくというような物語。
個人的には、面白く読めたけれど、最後のある人物設定に「う〜ん…」となった。
少女の人物設定が、湊かなえさん作品によくある(と思う)「自己中心的な世界で物事を見る」という感じの人物、それが結末の、重要な位置を占める人物だっただけに勿体ない感じがした。
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小さな閉ざされたまちに生まれ、大きくは変わらない人間関係の中で地に足をつけて生きていくのだと思っていた。だけど大きな夢に気づいた時、自分はどう動くのだろう。誰を説得して何を捨ててどこに行こうとするのだろう。
山に囲まれた田舎町でパン屋の娘に生まれた少女、絵美は、山の向こうに広がる大きくて光に溢れた世界に憧れつつ、小説家になりたい気持ちを募らせていく。絵美の才能を知った友人が東京の作家の元へ修行に出ることを勧めるも、婚約者であるハムさんも絵美の両親も強く反対する。気持ちを抑えきれずに、駅に向かう絵美。そこにはハムさんが待ち構えていてーー。
結末が書かれていない原稿が、北海道という広大な大地を舞台に、様々な岐路に立つ旅行客の手から手へ渡っていく。それぞれの状況に当てはめながら理想的な結末を思い浮かべて、登場人物たちは自身の問題解決に向けて一歩前進していく。
特殊造形の道に進むために渡米したいと主張する娘との確執を抱える父親は、娘の将来を心配しながらも笑顔で送り出してやろう、と気持ちを整える。
「なぜ特殊造形の道に進みたいのか。具体的にどんな勉強をしたいのか。どんな職業に就きたいのか。なぜ映画なのか。メインは特殊造形なのか、映画なのか。夢を叶えるために必要な努力とは何だと考えているのか。リミットを設けるのか。夢を叶えるために、何を守り、何を失う覚悟ができているのか。」全部答えることができたら、娘の勝ちを認めよう、と決めて。
地道な仕事を選びキャリアを積んだ女性は、大きな夢を追いかけていた恋人との別れを、少しの感傷を伴って懐かしく肯定できるようになる。
「僕には地に足付いていないと思える職業を目指している人を見ると、働くってことをなめんなよ。とか、おまえの夢なんて地道な仕事に就いている大多数の人の上に成り立っている余興みたいなもんじゃないか、なのに、自分は特別な才能がある、って顔しやがって、なんて、その人から否定されたわけでも、バカにされたわけでもないのに、吠えてしまいたくなるんだよね。いっぱいいっぱいの自分を守る手段だってことにこの歳になってようやく気付いたんだけど。」と話してくれた男性との出会いに助けられて。
彼と自分が人生の一点で交わったことは間違いではなかったのだ、と少しばかり涙を流して、同じ生活に戻る。
そして最後には、「絵美」がおばあちゃんとして、孫娘の悩みに寄り添う場面に辿り着く。
ハムさんは東京に向かう「絵美」を連れ戻さず、絵美は挑戦も挫折も味わい、自分の判断でパン屋に戻ってきたことが分かる。
それでもこれから先の人生で、もう一度くらい物語をかいてみそうな希望を残し、優しさと潔さと深い思慮を感じさせる、自分と向き合う小説だ。