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学生数の減少により、閉校が噂される映画学校で学ぶ安原と北川は、映画監督を志す友人同士。
友人も多く、恵まれた家庭環境で生まれ育った北川。
田舎に母を1人残して上京し、バイト先でも要領が悪いと言われ、口下手な安原。
卒業制作となる短編映画のコンペで競いあった結果、監督に選ばれたのは、勝利を確信していた北川ではなく、安原だった。
そして、安原が真っ先にした事は、敗れた北川に、プロデューサーとして力を貸して欲しいと頼むことだった…
安原と北川の視点から交互に描写される、映画制作の現場。
ふたりを取り巻く若者たち、それぞれの胸に秘めた切実な悩み、噴き出すところを探してもがく夢の、熱さと冷たさ、明るさと暗さの入り混じった描写がいい。
額賀さんの描く登場人物も、いよいよ社会人一歩手前まで成長してきた。
次は社会人物か、もっと違う年代の人物か…また楽しみに待つことにしよう。
と、メモに書きかけたままレビュー投稿をし忘れておりました。
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取り憑かれた者の業を感じさせるが、そこまで夢中になれるものに出会えたこと自体は、幸せなことだと思う。
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友情とその影に渦巻く気持ち、嫉妬・羨望・憧れ、わかりすぎて夢中で読む。コミュ力もないし切実さもない、安原と北川のダメなハイブリッドを難なくこなす私である…。そして自分がこれからの人生で選ぶことのできる、でも現実的に考えて選ばないであろう、夢みたいな選択肢のことを思う。夢中になれるものと、それを追いかける行動力。
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額賀さんの青春モノ、いいなぁ。と思いながら読んでいたら、前作の家庭小説を汲み込んでいる作品にもなっていて。大好きな作家さんなので、進化の過程を見ているようでなんだかうれしい。 自分にないものを持っている相手。お互い補い合って…なんて簡単なものじゃない。焦りや苛立ちにじたばたして。嫉妬と羨望と不安と自己嫌悪の渦の中、もがいてもがいて。思ってた結果ではなかったけれど、思ってた結果により近い未来のふたりと若き映画人たちに幸あれと、フィクションの魔法にかかったまま願いを込めてページを閉じた。面白かった。
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創作の苦悩を描く作品はいつも、心臓を直接掴まれているような緊張感を味わうのだが、それでもとても魅力的なのは、やはりその先にある快感を知っているからだと思う。
映画専科の大学で卒業制作に臨む若者たちの青春物語は、映画監督を目指す2人の男を中心に巡る。片やは「映画しかない男」、片やは「器用貧乏」。特技特性の異なる2人が、時に反目し、リスペクトし合い、ひとつの作品を創り上げていく。
もがき苦しみ身を引き裂かれながらも創るしかない、それが創作者なんだな、と。作中人物もこの著者も、フィクションの中に本物を作ってるのだ。
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大学生の卒業制作、映画作りの話。
なにをもって優れた映画というのだろう。
映画監督の才能ってなんだろう。
そんなこと考えながら読んだ。
何をもっていい映画なのか、
何をもって面白い映画なのか。
受け手によってすぐに変わってしまう。
けれども、彼らは映画が好き、そうなんだなぁ。
北川と安原の葛藤は答えが出たらまた次に葛藤がでてくる。
終わりのない追及なんだろう。
ないものを求め、あるものを疎ましく思う。
切実さはどこにあるのか。
卒業制作の映画作りは、
大変そうだけど、とても充実してそうだった。
身も心も削って作り上げるんだなと感じたし、
そんな経験、誰もができるものではない。
若者っていいなぁ、羨ましいと思った。
もちろん、卒業製作にに携わった全ての若者が眩しい。
家庭事情はいろいろだけど、
親は応援しかできないものね。
つまんないの。
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まさに青春でした。
青春というと、部活とかの話の印象が個人的に強いのですが、これは、将来を見据え、卒業制作である1本の「映画」を作っていく中で、様々な悩みや葛藤を抱えて、気持ちをぶつけ合っていく。
大学生たちの未来をかけた青春の物語、面白かったです。
しかし、これはこれでいいのかもしれませんが、最後が裏切られたような気がしたので星は3です。
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今までの額賀さんの作品の中でいちばん面白かったかも。
表紙のイラストの効果もあるけど、
キャラが立っててイメージしやすかった。
北川と父の関係性が特に好きだったな!
終盤やラストで上手く行き過ぎない辺りがちょうど良い。
結果はどうであれ、やり切ったという事実が大事なんだなと思える、前向きな終わり方が良い読後感となった。
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映像大学で学ぶ性格も育った環境も全く違う北川と安原。
2人を中心に卒業制作に挑む大学生達の青春物語。
ただ爽やかな青春ストーリーというものではなく、それぞれの持つ嫉妬やコンプレックスが根底にあるため、ヒリヒリとした痛みを感じる作品でした。
安原の故郷に向かうところから、完パケまでの疾走感は、息付く暇のないもの。
読みながら息苦しさすら感じました。
いつかカンヌへ。
2人のこれからを応援したいと思います。
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恋愛を介在させない青春ものを書かせたら右に出るものがいない額賀澪。
今回は斜陽の美術大学の映像科を舞台に熱い熱い青春が炸裂します。
表紙を見ると物わかりのいいライトな学園ものと思いますが、とんでもなく熱量の高い物語で、芸術に頭から突っ込んで頭が抜けなくなるような、ある意味狂気を帯びた切迫が感じられる主人公で、この物語の後も一生映画に憑りつかれて生きていくんだろうなと思わせるパワーが有ります。
人生の全体で見ると10代から20代って本当に一瞬ですね。この年になるとそれをしみじみ思います。のんべんだらりと流して来てしまった自分を思い返すと、もっと主体的にガンガン動くべきだったと後悔したりします。
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映画を撮る大学生のお話。映画を撮る対照的な2人の、お互いがお互いを羨んだり認めたりしているのがいい。主演男優もいい味だ。読み終えた時、やりきった気持ちになる。
2018/6/23
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学生の卒業制作で映画を撮る.その過程でのそれぞれの事情が絡まり交差し葛藤を抱えながら仕上がって行く様子が,こうなるのだろうと分かっていながら面白かった.すっかり映画を1本見た様な気になった.
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「風に恋う」で額賀ファンになったかも!!
次に手に取ったのがこの本でした。
そして、キネマトグラフィカ(古内一絵著)の次に読むのも何かの縁かもしれません。
さてさて、青春真っ最中の学園物語・・・
情熱があふれ猪突猛進である。
【本文より】
安原の掛け声と共にビジョンの画面に映った入田琴葉は呼吸を止めた。画面の中野入田琴葉は僕より年下には見えなかった。でも、年上の大人っぽさがあるわけでもない。
わからないのだ。わからなくなってしまったのだ。
雨の中、突然現れた、ミステリアスな奈々という女性を見事にその身で表現してくれた。
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完パケって、作者の造語かと思ったら、実際に使われてる言葉だった。撮った映像を編集して、放映できる状態にすることみたい。 映像大学の生徒が、卒業制作で映画を作る話。人付き合いが上手く、何でもテキパキとこなせる北川と、不器用で口下手な安原。北川は安原の「切実さ」が羨ましくて、そんな自分を嫌悪しつつも、安原の映画のプロデューサーを務める。あぁ、青春だ!眩しいなぁ!お母さんが出てくるシーンでは泣いてしまった。いつか、カンヌに行けますように!
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経営難の映像大でコンペを経て卒業制作の監督とプロデューサーになった映画監督志望の男子学生二人がカンヌを目指す。スタッフもキャストも登場するけれど極自然に二人に集中線が集まるよう。恵まれた北川と切実な安原が互いを羨ましく思いながらも皆で協力し一本の映画を作り上げる様子が苦しさもあるのに爽やかで眩しい。