紙の本
日本人とは相容れない存在
2020/01/28 22:27
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:コンドル街道 - この投稿者のレビュー一覧を見る
コーランとイスラム法から、イスラム教の論理を解説する。
「世界はイスラム法にのっとって統治されなければならない」とするイスラム教の価値観はまさに「究極の独善」であり、決して異教徒とは相容れない集団である。
よく「理解すれば分かりあえる」というが「理解した結果分かりあえない」ものだっている。日本人にとってのイスラム教はまさにそれだ。
この本はそんな事実を容赦なく暴き立てる。
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イスラム教の研究者が、イスラム教徒の考え方、その論理について書かれています。ただイスラム教というよりも、世界で無視できなくなりつつある、イスラムを自称する人たちによるテロ行為に焦点が当てられています。なぜ彼らは戦うのか、そしてそれを他のイスラム教徒はどのように見ているのか。そしてそこには、私たちが当然視している常識、民主主義とは違った論理があるということ。それを知らずして、この現象を理解することはできません。
イスラム教徒の人たちが、どのような考え方で行動しており、また個々人それぞれの穏健と過激の行動の違いに矛盾がないことなど、なるほどと思いながら読むことができます。ただなぜそういった考え方をするのか。なぜ神が言っているから正当化されるのか。といった疑問も読みながら感じました。それには歴史的な背景も別の本などを合わせて読むことで補強が必要と思います。
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イスラム教徒からするとこの本は「とんでもない」本であろう。
しかし、冷静で厳しい視点を持つこの本を日本人は読むべきだと思う。
特にこれから異文化との共生を日本が選ぶのであれば、日本人の価値観で異なる宗教やそれを信じる人達を「わかったつもり」になると大火傷することがある。
異なる文化や思考、価値観を完璧に理解することはできなくても、「知る」ということは最低必要条件だろう。
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イスラム国のほうがイスラム教的には正しいというのは驚き
「神は間違えない」を前提にしていればそりゃあ話が通じないわと思った
そもそも神を前提としているので、西欧の価値観で非難しても意味がないというのは笑える
あーいえばこーいうを地でいってる
大日本帝国みたいだなと思った
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イスラム教のことをよく知らなかったことが本当に理解できた。
知り合いのイスラム教徒は、ムスリムであることを誇りに思ったり、仏教を見下してくることがありありと伝わってきたのだが、その理由も読後の今ならとてもよく分かる。
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題名のとおり、イスラム教の論理とは何か、国民国家や民主主義といった我々に馴染み深い論理との違いなどについて書かれていた。
身近な具体例が多く、わかりやすかった。
個人的にはイスラム教の論理と我々に馴染みのある論理との間、グレーゾーンにもう少し説明が欲しかったと思います。
イスラムの論理はわかったけど、それで実際は?というところをもっと読みたかったです。
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私たちの「普通」の感覚でイスラム教を知ると、常軌を逸した宗教にしか思えない。でも彼らの「普通」では、私たち異教者こそ排除されるべき存在。だってイスラム教は、イスラム教による世界征服を目的とする宗教だから。
過激派と呼ばれるイスラム教の一派だって、別に頭のおかしい集団ではなく、イスラム教の教えに愚直に従っているだけ。
というのが、この本で書かれているイスラム教。
この話を100%信じていいの?と自分の「常識」が訴える。
だってイスラム教って世界人口の20%以上を占めている宗教だよ。
それが事実ならマジで怖すぎじゃない?
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【我と彼との淵源】「なぜイスラム教の名の下にテロが続発するのか」という疑問を抱く人々に,イスラム法の研究者がその論理をもって回答を試みた一冊。著者は,上智大学のアジア文化研究所で客員教授を務める飯山陽。
議論を呼ぶであろう内容なのですが,「イスラム教」と「我々」の考え方にどれだけ懸隔があるか(またはあり得るか)ということを知る上で有益な作品なのではないかと思います。本作で氷解する疑問がある一方,本作によって投げかけられる疑問もまたあるのではないかと感じました。
〜イスラム教にはイスラム教の論理があり,その枠内においてそれは実に完成され,調和がとれています。しかしだからこそ,それを共有しない人が彼らと議論をしようとしても,なかなかかみ合いません。これはイスラム教徒の側からも同じことがいえます。〜
とっつきにくいテーマかもしれませんが読みやすい作品です☆5つ
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ぼんやりとしたイスラム教のイメージが、客観的な事実の羅列によってはっきり輪郭を形作る。しかしその実体は我々の「当たり前」が全く通用しないものだと分かったときの衝撃がすごい。読み進めながらここまで途方にくれる体験をしたのは初めてでした。
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「コーランを字義通り解釈すれば、日本人も『殺すべき敵』である」
衝撃的な言葉だった。
本書は、コーラン、ハディースの解釈とイスラム教の論理が、必ずしも多様性や平等、民主主義などの西洋の論理にそぐわない側面があることを直視すべきだと警告する。本書を読んで、コーランやハディースについて興味が湧いた。イスラム教の論理を知る良書。
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今世界的に起きているイスラム教によるテロや事件は、コーランが説く一つの「論理」に導かれて起きていることがわかる。「テロはイスラム過激派によるもの」というが、本来的にはイスラム教徒はそうあるべきものでもある。
例えば、悪とみなされるイスラム国は、イスラム教の解釈では理想郷なのだ。異教徒を殺すこともイスラム教徒にとっては正義なのだ。
7世紀に成立した教義を現代社会に適用することは時代錯誤だとされようとも、世界がイスラム教による支配が実現されるまではこの教義は生き続ける。
テロや殺害は決して許されるべき行為ではないが、あくまで一つの「論理」に導かれている人々もいるという多様性が同時に認めるべきなのだろうか?そもそも多様性とはなにか?と色々考えさせられる。
本書で述べられていることは、今日グローバル世界に生きる我々が最低限持っておくべき知識だと思う。
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読了。
著者の言説は一部研究者からかなり異端視されているようで、鵜呑みにしないよう注意も必要だが、少なくともイスラム過激派やテロリスト達が、如何様な論理構成で行動しているのかは理解できたように思う。
「イスラム2.0」でも書かれていたが、(著者の主張はさて置き)インターネットの普及で神の啓示に直接触れることが可能になった現在、解釈の多様性が更に拡大するであろう現実は誰も否定できない。
経済だけでなく思想すらグローバル化する現代は、ますます混迷の度を深めている。
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イスラム教は教義として排他的・攻撃的なのでいわゆるイスラム教過激派はイスラム教の中では決して異端ではなく,むしろ忠実に教義を実践しているという話. そうなると,歩み寄るためには教義を変えてもらわないといけないが,コーランが絶対だとそれも難しく,もう1人1人説得して改宗してもらうしかないのかと思った.
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ツイッターでは喧嘩上等の飯山だが単に威勢がいいだけではなかった。「イスラム教の論理に基づけばイスラム国を否定することはできない」との指摘に始まり、アッラーに額(ぬか)づく精神世界が教義という合理性に貫かれていることが書かれている。筆致に独特の勢いがあり機関銃を連射するような小気味のよさが巻末まで続く。
https://sessendo.blogspot.com/2020/03/blog-post_29.html
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まえがき
第1章 イスラム教徒は「イスラム国」を否定できない
第2章 インターネットで増殖する「正しい」イスラム教徒
第3章 世界征服はイスラム教徒全員の義務である
第4章 自殺はダメだが自爆テロは推奨する不思議な死生観
第5章 娼婦はいないが女奴隷はいる世界
第6章 民主主義とは絶対に両立しない価値体系
第7章 イスラム社会の常識と日常