投稿元:
レビューを見る
暫く前に出ていたものの、買ったまま放置していたというか、『ミレニアム・ピープル』が出るのを待っていたというか……。
冒険小説のような冒頭で始まるが、バラード版『アメリカン・ドリーム』と考えると解りやすい。特に終盤の展開はそれこそハリウッド映画のようだった。
投稿元:
レビューを見る
アメリカンドリームの崩壊後のアメリカンドリーム
"マンソン大統領"がヴェガスで核弾頭を駒に遊んでます…
これも映画化決定ってということで歴代アメリカ大統領型ロボットが動き回るとこを見てみたいかも。
投稿元:
レビューを見る
序盤は翻訳調が気になったが大統領登場あたりから面白くなってきた。最後はSFというかファンタジー?古き良き時代のアメリカのカルチャーが風刺されているが50歳手前の日本人の自分がすんなり理解できたのは8割ぐらいかな。普遍的な知識として若い世代にもピンくるんでしょうかね。
投稿元:
レビューを見る
21世紀、世界的なエネルギーの枯渇と大規模な気候変動により、アメリカ合衆国は放棄され、その国土は砂漠と化した。生き残った人々が配給制の厳しい社会で生き延びる中、イギリスからアメリカ東海岸に向けて一隻の蒸気船が出港する。乗っているのは、かつてのアメリカに憧れを抱いている探検隊チーム。アメリカに執着する若者ウェインはこの船に密航し、探検隊と共にマンハッタンに降り立つことに成功するが、そこは大量の錆と廃棄物が堆積する不毛の廃墟だった。かつてのアメリカの栄光を夢見て、ウェインと探検隊は西海岸に向けた北米大陸横断を試みる・・・
主人公の青年の名前がウェイン、合衆国大統領を自称する男の名前がマンソン、というところに、バラードの「アメリカ観」が垣間見えます。
アメリカ各地で細々と生き延びている人々が「プロフェッサー族」「ビューロクラット族」「ギャングスター族」といったかつての生活様式をコミカルに守っていること、巨大消費文化の片鱗がそこかしこに残っていて生存者に恩恵を施していること、放置された原子力発電所や核ミサイルが今も残っていて、一部に大きな影響力を及ぼしていること・・・物語の中盤に突如現れる、往年の映画スターの巨大な幻影の強烈なイメージも相まって、バラードが幻視する「アメリカ」という国そして文化のエッセンスがこれでもかというほどの熱量を持って描写されます。
しかしながら、読了後の印象は、「・・・それで?」という感じヽ( ´ー`)ノ
アメリカにまつわる強烈かつ幻想的なイメージが印象的ではありますが、ストーリー展開はあってないようなものです。物語の前半は、大陸横断踏破を目指して絶望的な努力を続ける探検隊のロードノベル。後半は、気候変動の影響で巨大なジャングルと化したラスベガスにおける狂気の”自称”大統領と狂った科学者を交えた政治劇。と、分類できなくもありませんが、登場人物は主人公のウェイン含めてどいつもこいつも何を考え、何を求めているのか皆目わかりません。歴代の大統領を精巧に模したロボットを大量に製作する技術力があるなら、もっと他にできることがあるでしょうにヽ( ´ー`)ノ
・・・と、常識的な物差しでもって読んではいけない作品なんでしょうね、これは。バラードが幻視するアメリカの姿を、登場人物たちと共に右往左往しながら楽しむ、それがこの作品の楽しみ方なのだと思います。ラストシーンの祝祭的空間の美しさたるや!バラードの真骨頂ともいえるシーンです。このラストシーンを堪能するだけでも、この作品を読む価値はあると思います。かなり読む人を選びますけどね。