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学習指導要領が改訂され、小学校の中学年での外国語活動と高学年での教科学習が今年からスタートする。
うちの子どもが通う小学校の先生たちに昨年そんな話をしたら、「まだ試行実施だからね。」とのんびりしたものだったけど、これからたくさんの小学校が大慌てすることは目に見えている。
私は小学校の教員ではないけれども、これから英語教育がどう変わるのかは、教育に関わる業界にいる者として興味があるし、小学生の保護者としても大きな関心を持っている。
この本では学習指導要領がどう変わるのかはもちろん、理論的なこと実践的なことが書かれていて、小学校の教員だったとしたら、ホントに役に立つ本であると思う。
文部科学省はカリキュラムマネジメントという言葉を使っているが、年間を通してどんな授業構成にしてどんなことを身につけさせるのか、そしてその成果をどのように測定するのか。そうしたカリキュラムデザインも大事だけれど、1コマづつの授業の構成、コンテンツ、授業をどうデザインするのかも大切である。1コマの授業で行うこと、コンテンツを黒板に書き出したり、貼り出したりすることは、多様な児童が学んでいる教室を、安心な場にすることに効果があるのだそうだ。
ティーム・ティーチングという言葉も私には耳慣れた言葉ではなかった。今の教育では、HRT(学級担任)、ALT(外国語指導助手)、JTE(日本人英語指導者)がティームを組んで、役割分担をして良い授業を作っていくのだそうだ。
カリキュラムマネジメントや授業デザイン、ティームティーチングやらなんだか新しい教育が始まっている。
私が小学生の頃はもちろん英語の授業はなかったし、中学校で学んだ英語も、今の英語教育とはまったく違ったスタイルになっているみたいだ。そんな、これからの英語教育に対して、教育業界の人間として、あるいは保護者として敏感になっていたいものだと思う。
第3部の後半には英語の教材のコンテンツを紹介する実践的なページがある。
スマホにアプリをダウンロードすることで、すぐに教材の音声を試し聴きすることができて、実際に児童英語に携わる立場であれば、使い勝手の良い本だと思う。
ところで私は仕事とは別にボランティアで「えいご村」という英語合宿プログラムの運営を手伝っている。そこで別のスタッフらと「あれ、お疲れ様って英語でどういうのかな?」なんて話したことがあったのを思い出した。「お疲れ様」とは欧米人は言わないらしい。「いただきます。」や「ごちそうさま。」に該当する英語もないのだそうだ。「じゃあ、なんで日本では言うんだろう?」
言葉としての英語を学ぶだけではなくて、国によって文化の違いがあることにも気づかせる教育がこれからは大事なんだなと思った。