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江國さんの書くすべてがすきなんだなーと再認識した一冊。短いお話やエッセイ、小話のような書評。大好き。あとがきを読んで満ちみてる生を読みたくなったし、多分みんなそうなのでは?
読み書きで人生のほとんどを過ごしている江國さんでもめったに出会えない、文句なしに素晴らしい小説と言い放った、満ちみてる生、すごく興味深いです。
いろんな散文のなかで心動いたのが
心配するのが嫌だからって、叱ったらいかんよ。見てたらいいんだから。ちゃんと見ていて、落ちたら助ければいいんだから
こういう風に考えられる大人になりたいなと思いました。
江國さん自身が江國さんが書く物語の主人公のようで本当に憧れる。朝いつも2時間お風呂に入って朝昼はたっぷりフルーツを食べる。こんな風に生活したいながつまりすぎていて、そしてこんな風な言葉を紡ぐ人になりたいながつまりすぎて、目がくらむ。
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江國香織さんの書くものが好きで読んでいたし、それはいつの間にか江國香織さんと言う人が好き、になっていたと思う。そういう人が多いんじゃないか、という気もする。でも、この本を読むまで、江國香織さんと言う人が具体的にどんな人なのか全然知らなかったことに気づかされた。年令も知らなかったし、物書きとしてデビューしたころの話とか、今の暮らしぶりとか。思ったよりも長く書いていらして。その時間の流れはとてもこの一冊の本にはまとめきれなかったようです。もっと分厚くても良いから、もっと高くても良いから、もっともっと江國香織さんのことを知りたくなる、そんな一冊でした。
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「本を読むというのはそこにでかけて行くこと」
──小説家は、どのように小説を読んでいるのか、
また、著者にとって「書く」とは、どのような経験なのか?
すべて初収録、過去15年以上にわたって書かれた掌編小説とエッセイから、
江國香織の「秘密」がひもとかれる贅沢な一冊。
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小説とエッセイが混じっているのだが、その垣根がとても低く感じられる。なんの引っ掛かりもなく、エッセイからするりと物語の世界に入って行ってしまえるのだ。もう物語が江國香織自身だと言えなくもない気がする。そして、江國さんご自身は、わたしが極個人的に思い描いていたよりも、瑣末なことを気にされる方のようで、一挙に親近感が湧く。失礼な言い方かもしれないが、かわいらしい人、という印象である。ご自身のペースを保ちつつ、その世界を保持しつつ、ひとつひとつ丁寧に暮らしていらっしゃるようにお見受けする。心の凝りをほぐされる心地の一冊である。
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さまざまな新聞や雑誌に掲載された、「書くこと、読むこと」に関する散文集。江國ファン必読。あとがきに笑ってしまいます。また読みたい本が出てきて、生き延びた。
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面白かった。
エッセイだけでなく、時々入ってくる短いおはなし。そういうのが江國さんの作品の好きなジャンル。不思議にキツネにつままれる。
本に関するエッセイも、食に関するエッセイもよかった。豆のすじなんて、本当に私も共感した。
老いた母娘が3人でたのしげに買い物するお話もだいすきだし、ヒースの茂みで転ぶ江國さんなんて、漫画だし、とにかく面白い。
そして、江國さんのおすすめする本を片っ端から読みたくなる。まずは「満ちみてる生」から
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日常の事を綴ったエッセイだったり、短い短い小説だったり、と。正に散文という言葉がしっくりとくる散文集。注意深く読まないと、これはどちらなのかな?と思うほど江國さんの世界に引きずり込まれました。江國さんにとって小説を書く事や読む事を物語の中にいる、そとにいる、という表現をされているのがとても印象的でした。江國さんの文章の才能を改めて感じた一冊でした。
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独特な表現と感性に心が揺れた。いつまでも少女みたいな、汚れのないきれいな心の方なんだなと思った。
もっとこの世界に浸っていたかったのに、あっという間に読み終えてしまった。
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どこからどこまでが小説で
どこからどこまでが現実だろう
小説的に 現実を捕えることはできるし
現実的に 小説を描くこともできるし
真実が どこにあるかが 重要なのではなくて
きっと そこに感じたものが すべてだった
心の中に蓄えられたありとあらゆるものを
好きなように出せる場所があるというのは
とても贅沢で豊潤で
ときめきときらめきが一緒になったような時間
驚きと発見
悟りと初恋が
同時に起こるような
心の中にあるものに
触れたい
それだけでもう幸せ
ないようなんて なんだっていい
かんじたものが すべてだから
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書くこと読むことについての散文集
久しぶりの江國さんに余韻が続いています。幸せ。
「窓、ロアンの中庭」はバルテュスかな。
わたしはいま旅先のホテルにいて窓の外は雨です。せっかくの旅に外へ行かれないのは残念だけれど、物語の中へ行くには絶好の機会。世界は現実と物語の中の2つで構成されていて、わたしはその両方を自由に行き来できるのです。江國さんの物語のなかで過ごした時間、果歩や葉子、笑子のできごとはすっかり染み込み、現実で起きた出来事と混ざり合って、まとめてわたしの人生の一部となっています。もっとたくさん本を読もう。これこらもそうやってわたしを作っていこうと決意した一冊でした。
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感想書くのがもったいないくらい、一つ一つの文章が心の中に染み込んで、言葉にできない満足感でいっぱいになった。
雑誌などに掲載された短い文章(エッセイも小説も)を集めたもの。
江國さんのデビュー当時の不安を綴った文章もあって、新鮮だった。
好きな本もたくさん紹介されていたので、読みたい本がいっぱいできた。
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いつも2時間お風呂に入って朝昼はたっぷりフルーツを食べるとか、一日のほとんどの時間を物語の中で過ごしているとか、自分が想像しているよりもっと江國香織さんは江國香織さんらしい人だった。
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エッセイと若干の掌編小説からなる。まさか離婚されていたとは。1人暮らしですか。いつ読んでも江國の文章には透明感と毒がある。エッセイでは生き様、感じ様がより鮮明である。独身となり、今後の作品にもその影響があると感じる。放たれたものはやはり毒であったのだろうか。
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この人の言葉の選び方が好きです。
日本人作家で、その文体とか言葉の選び方とか書き方のくせが心底好きだと思える人が私には今のところあまりいないので、とても貴重。
江國さんの散文は詩みたい。もしくは雨音。
全然うるさくない。というか、すごく静か。
そして、とても女っぽくて湿っていて、たまにちょっと湿り過ぎててこわいときがある。(目がいっちゃっている変な人を前にした時のような怖さ)
しかし、今回の本を読んで、思ってた以上に乙女な人だと思った。
お風呂に二時間、とか、朝食は果物(いちじくが多い)、とか、まとめて読むと、乙女心の食べ過ぎで、ちょい胸やけが・・・
もし私が男だったら、あんまり近寄りたくないタイプかもしれないとも思う。
あとがきに、「エッセイよりも小説の方により自分が露呈する」と書いてあったけど、読んでいる私もそう感じた。
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【読むこと】についての項目があったんだけど、人の書評って、どうしてもその本を読んでない場合頭に入ってこない… その本を読んでいたのなら共感したりできたのに、どうしても読んでない本について語られても私はついていけないなあ、と思った。
旅ドロップの方がずっと面白かった。
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敵わないなぁと思う。
そりゃあ私は自分の文章を愛しているしそれは私にしか書けないものでもある。それでも、それは私がしたいこととこんなに違う。自分の文章に疑いの気持ちを向けてしまうのはこういう時だ。もしかしてすごくありふれてしょうもないものなのかもしれない。悲しくはないけれど少し絶望する。
しかしながら、自分の中で渦巻く言葉や感情を文章にして外に出すことを教えてくれたのは江國さんだし、私はそうせずにはいられない。江國さんの物語に出逢っていなくても書いていただろうけれど、それは文中の言葉を借りるなら「辞書なしで、いきなり世界と向い合う」ことになっていただろう。
どうせやめることなんて出来やしないから。素晴らしい文章を読んで自分のしていることに疑問を抱きそうになった時、噛んで含めるようにそう言い聞かせる。
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見返しの青が美しかった。これは江國さんか編集者さんかこの本を作るのに携わった誰かが選んだ色なのだろうけれど、表紙よりもこの本を表しているような気がする。
私は青という色に憧れがある。それは私の肌にはっきりとした青が似合わないせいもあるだろうし、単純に青の持つ静謐さと凛としたたたずまいを昔から好んでいたこともある。
この見返しの色合いは完璧で、美術館でただこの青に塗られた一枚の絵があったら買っていたかもしれない。
そういえば家の壁に飾っている絵葉書のうち2枚は青を基調としているし、海や空を眺めるのも好きだ。気づかないうちに青は私の一部となっていたのかも。それにしてもいいなぁ、この青。切り取ってこれだけ飾ろうかしら。見返しを眺めながら少し得をした気分になった。