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比較的近々の情報が盛り込まれており大変参考になった。特に食糧関連の3章、医療関連の4章は混沌とする状況を簡潔にまとめられていて関心した。
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「ゲノム編集技術」について、かなり平易な言葉で説明されている。一般消費者や専門外の者でも、分かりやすいと思われる。
ゲノム編集技術(CRISPR/Cas9)というと、まず、遺伝子治療を思い起こすし、ヒト胚への応用(究極は、デザイナーベビー)について議論されるケースが多い。しかし、本書は「食」について詳しく説明しているのが特徴的だ。既存の技術である遺伝子組み換え食品(GMO)が消費者に受け入れられなかった歴史とともに、ゲノム編集食品の普及の可能性が詳しく説明されている。
食の分野の関係者(メーカー、消費者団体等)の他、特にGMOに懐疑的な消費者には、ぜひ読んで欲しい。
また、ノーベル賞の有力候補とされるジェニファー・ダウドナ氏の著書(「CRISPR (クリスパー) 究極の遺伝子編集技術の発見」)と比べると、フェン・ジャーン博士との特許争いについての記載も多い。
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最低限の厚みがある本だけど、ペラペラすればすぐわかる通り、文字は大きくて改行だらけでスカスカ。全4章で、クリスパー概要・その特許騒動・ゲノム編集食品・ゲノム編集医療…を網羅するんだから、濃度も推し測られようというもの。先週読んだブルーバックスより更に薄いわ〜。参考文献も後注もなし。あとがきは「双子のジム」で濁してるし。更に57頁、鋳型鎖はアンチセンス鎖の方でしょ。
ゲノム編集食品に一章が割かれている。GM食品の轍を踏みたくない気持ちは分かるけど、生理的嫌悪感は理屈じゃ覆せないよなあ。
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前半はゲノム編集がどんなものかや、発明者たちが特許についての裁判を行なっていることなんかが書かれている。
ゲノム編集の内容については、帯に「中学生にもわかる」とはあったけど、セントラルドグマの内容を理解していなきゃだから、高校生物レベルの知識は必要。一応、ザッと説明はしているのだけれど、知識のない人が読んでも分からないと思う。「DNAではチミンだったものが、RNAではウラシルになる」って言われても混乱するだけだし、その知識は今ここではそんな重要ではなくない?って思った。
後半はゲノム編集の歴史や、ゲノム編集によってもたらされるメリットやデメリット、倫理の問題などを挙げている。著者は生物学の専門家ではなく、ジャーナリストであることから、後半部はとても分かりやすく、考えさせられることが多かった。
前半部のゲノムの話は分からなければ斜め読みして、後半の部分を読んだらいいと思う。個人的には、医療分野、遺伝病根絶の話やデザイナーベビーについては考えさせられた。
今後、ゲノム編集はどうあるべきか?を考えるきっかけをくれる一冊だった。
あと、ものすごく小さなことだけど「我々、ヒトのような高等生物では〜」っていう箇所がいくつかあって違和感があった。ヒトを高等生物という言い方は、人間が他の生物を見下しているような感じがして好きじゃない。ヒトだって、数ある生物の中の1種でしかないのだから。
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地球上の全生物の設計図を自由自在に書き換える技術がゲノム編集
これまで医学は患部の手術や薬剤投与に頼っていたのに対し、これこらのゲノム編集医療では、体内で病気を引き起こす遺伝子変異を直接修正することで病気の原因を根本から断つ治療法に切り替わる
2017年11月に米国の「サンガモ・セラピューティクス」という研究所がゲノム編集を使って患者の体内で深刻な代謝疾患を引き起こす遺伝子変異を修正する臨床試験を開始。DNA(遺伝子)を手術する時代へ。
親が生まれてくる子どもを望み通りに設計出来る(=デザイナーベビー)問題あり。
病気や美容関連の原因遺伝子が特定されれば堰を切ったようにゲノム編集の用途は拡大する。
何をどこまで容認するかは難しい。
生まれてくる子どもの肥満を予防し、スリムな体型にすることが許されるなら、禿げを予防することはいけないのか?背を高くすることはいけないのか?と際限なく要求が広がる。
乳がんやI型糖尿病のように主な原因遺伝子が既に判明しているケースでは、クリスパーで患部の遺伝子を修正してしまう方が、従来の外科手術や薬剤注射よりも効果的であることは間違いない。
遺伝子で分断された、決定的な格差社会(事実上の階級社会)を描いたSF映画GATTACA(ガタカ)を単なるフィクションと片づけられない。
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ゲノム編集は今に始まった技術ではなく、クリスパーという3代目のものが今注目されており、以前より安価、高度な技術が不要、正確という3つのポイントが高い。2万円程度でキットが利用できるが、一般人の利用は放置すると生態系に異常がでるなど問題となり、販売が禁止されている。
現在は食、医療分野で利用されている。
遺伝子組み換えでは様々な機関の承認・許可が必要だったが、ゲノム編集では省かれている。
ただ、食・生育に必要なものではなく、色が茶色にならないマッシュルームなど、一見無駄なように思えるものもある。
GMO自体は古来から利用されているが、近年での直接遺伝子に手をかける方法が問題視されている面から、ゲノム編集では徐々に消費者の理解を得るように徐々に浸透している。
医療、治療ではなく、ゲノム編集によって解決する方法がある。体内に入れたままゲノム編集を活用することができる。
細胞の種類や箇所によって成功率はまちまち。
レイラという白血病患者の治療に貢献したことから、今後の利用に期待できる。
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これまで何冊か読んできたライフサイエンス系の書籍の集大成として、
最近話題の?クリスパーに関する本にチャレンジしてみました。
生物が苦手な自分にも結構分かりやすく書かれていて、
細かいところはあまりよく分からなくても、
全体感を見失わない程度に理解することができてとても助かりました。
クリスパーだけでなく、すでに実用化されているGMOについても言及されており、
GMOをなんとなくしか理解できていなかった自分には知識のアップデートになりました。
著者の主張には全てにおいて賛同する訳ではないですが、様々な関係者の思惑が整理されていて、
自分のスタンスを決める参考になるのではないかと思います。
こういった新しい技術は、不治の病を治したり、
食糧問題を解決したりする可能性を秘めている一方、
「絶対に安全だ」と言い切るのが非常に難しかったり、
より倫理的な判断が求められたりと、
克服しないといけない課題が山積みではありますが、
これまでの「薬を作って、病気を治す」という考え方を
一変させる可能性を秘めていることはよく理解できました。
クリスパーは、今後も注目の技術ですね。
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以前からクリスパーに興味があり、読んでみた一冊。
難しい事象に関し、わかりやすく図などを用いて、
説明してくれているため非常にわかりやすかった。
これからゲノム編集によって、我々の生活はガラッと変わるかもしれない。
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「科学道100冊2021」の1冊
ゲノム編集の入門本。
2018年刊と、進歩の著しい分野の本としては若干古いが、コンパクトに読みやすくまとまっている。
扱っているのは、ゲノム編集、クリスパー(CRISPR-Cas9)技術に関する話題。
本書刊行後、2020年にクリスパーが化学賞を受賞したのは周知のとおりである。
1章はクリスパーの基礎知識、2章はその陰の特許紛争、3章は農業分野へのクリスパーの応用、4章は医療との関わりである。
副題にあるように、「ビジネス」の視点があるのが本書の特徴で、そういう意味では2章・3章あたりが主眼か。
ノーベル賞を受賞したのは、カリフォルニア大学バークレイ校のダウドナとその共同チームのシャルパンティエだが、実は、同テーマで受賞を有力視される研究者は他にもいた。クリスパーの特徴的な配列を最初に発見したのは大阪大学の石野らだった。また、ダウドナらと同時期に精力的にクリスパーの機能について研究していたのはブロード研究所のフェン・ジャーンらだった。ダウドナらが試験管内でのクリスパーの機能をいち早く確認した一方、ジャーンらは真核生物での働きを立証した。もちろん、ダウドナらも取り組んではいたが、特許審査のトラックに乗ったのはジャーンらが先だった。
クリスパーは画期的な技術である。これまでの遺伝子操作に比べて、格段に正確に操作が可能で、しかも簡単・迅速に行える。応用範囲は広く、つまりは莫大な収益が見込まれるわけである。こうした技術では、論文発表より前に特許の申請を行うのは常識となっている。
本書によれば、ダウドナらの申請の方が早かったが、ジャーンらは出願時に若干の割り増し料金を支払っていたため、先に審査のトラックに乗った。そのため、真核生物に対しては彼らの特許が先行と判断された。
若干ややこしいのだが、アメリカでは現在は「先願主義」と称される、「先に出願したものが権利を得る」ことになっているが、クリスパー特許の時点では「先発明主義」、つまり「先に発明したものが権利を得る」ことになっていた。そのため、この特許に関しては「先発明主義」が採られる。
この件はまだ係争が進行中で、UCバークレイ・グループとブロード研究所が争っている。2021年2月段階では(参考記事)、米国出願に関してはブロード研究所が勝利した。これにより、ではどちらが先に発明したかに焦点が移ることになるが、その立証責任を負うのはUCバークレイ側となる。スケジュールでは本年5月以降に審理が行われているはずなので、近いうちに最終的な結論が出るのかもしれない。
ただ、本件は米国だけでなく、他国にも申請が出されており、ある国ではこちらが勝ち、ある国ではあちらが勝つというような複雑な様相もあるようだ。
現時点でも訴訟に関して相当な金額が動いており、その金額はさらに膨らむのかもしれない。
ノーベル賞受賞と特許紛争がどのくらい関わりがあったのか(あるいはまったくなかったのか)はわからないが、なかなかに生臭い話である。
3章では、農作物に関して、従来のGMO(遺伝���組換え食品)との比較を中心に展望を俯瞰する。GMO食品に対しては反発が大きかった。バクテリアを使うことから消費者によいイメージを与えなかったこと、またリード企業のやり方に強引な点があったことが大きな要因としてあっただろう。「何となく気味が悪い」というイメージがついてしまったことも大きい。GMO以前でも品種改良はあり、それは放射線処理したものであったりしたわけだが、GMOほどの反発はでなかった。ではクリスパーなどによるゲノム編集ではどうか、というところだが。
正確性が増したゲノム編集では、例えば、「食品の成分をより安全で健康によいものにする」といったものも可能になる。ただそれが消費者に受け入れられるものなのかどうかは未知数で、そもそも「操作する」ことへの抵抗が強い消費者も少なくない。まずは家畜の飼料として使用したり、食品ではなく別の製品として使用したりする形で、水面下での利用が検討されているようだ。いずれにしても、情報の開示、消費者とのコミュニケーションは不可欠だろう。
4章では医療分野に注目する。
ある遺伝子のある部分を改変すればその疾患にならないと判明している疾患はある。こうしたものではゲノム編集の手法は有効ではあろう。ただ、多くは受精卵の際に編集を行うことが最も有効である。そうなると、胚を操作することになる。
また、遺伝的要因があると考えられる疾患でも、ピンポイントで原因遺伝子が判明していないものも多い。そうした場合、どの遺伝子をどのように改変するのか、判断が困難である。
疾患というより「傾向」や「気質」のような場合はどうか。それは「デザイナー・ベビー」や「優生学」につながるものではないのか。
慎重な判断が求められる。しかし、一方で、やれる可能性があるのであれば、やってみる者はいずれ出るであろうし、どのように規制をしていくのか、難しいところである。
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【メタバースがかわいく思える】
遺伝子組換えとゲノム編集は異なるもので、リスクも異なること、自然・天然は危険が少なく、人工物は危険であるという盲目的な理解を打ち破ってくれました。
マイナスリスクの限りなく少ない植物工場で、色・形・品質のそろったさまざまな野菜がつくられることもまじかに迫っていると感じます。
クリスパーというはさみを使用することにより、狙った箇所を切断できるようになったとはいえまだまだ確率が低い状態です。しかし、今後はどんどんよくなることは明白です。
受精卵で単細胞の状況でゲノム編集を実施することは容易と言いますが、遺伝要因の疾患があり、人として成長する前にその疾患を取り除くことに異論はないです。
しかし、太らない遺伝子、頭のいい遺伝子、運動能力の高い遺伝子などを操作しはじめると、とてつもない人間を創り出してしまう可能性があります。すでに技術的にできるところまでは来ています。
すでに創られている可能性もあります。
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遺伝子組み換えとゲノム操作の違いについての説明が乏しい。一応わかるが…
一般向けすぎて簡易に書こうとするあまり、かえってわかりにくい構成。
ただ、一通りまとまっている。
読了45分