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ニューヨーク(=アメリカ?)社会の裏、闇世界の現実を赤裸々に暴露したノンフィクション小説のような作品でした。
2018/11/14 10:21
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投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ニューヨーク(=アメリカ?)社会の裏、闇世界の現実を赤裸々に暴露したノンフィクション小説のような作品でした。何が正義で、何が悪なのかの判断基準が狂ってしまう。主に麻薬密売人と警察の対立ではあるが、それに止まらず法曹界や市の権力者・有力者をも巻き込んだ三つ巴・四つ巴の金と権力を巡る抗争には鬼気迫るものあり。そうした抗争の果てに、市の権力者(市幹部や富豪有力者たち)の政治力学で、両極端にあるギャングと警察官が踊らされているといった構図が何とも物悲しい。社会体制というのは成熟するにしたがって闇の部分が拡大・複雑化していく宿命を背負っているのだろうか。この混沌とした乱戦の行く末を見たくなる結末でした。
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待ちに待ったドン・ウィンズロウの新作。
しかも上下2巻の厚さ。
今回は汚職刑事が主人公で、汚職故に留置されているところから物語が始まる。
・・・という事で、ここからいつもの作品と違う。
正義を実行するための手段として”汚職”という世界に足を踏み入れた、という訳だけでもないし、ひたすら主人公の言い訳めいたモノローグが多く、今一つキャラに共感できない。
しかも、まるでニューヨーク賛歌でもあるがごとく、街の裏表を含めた様々なエピソード紹介が多い。確かに興味深く読めるエピソードは多いし、作者の博識ぶりはよくわかるが、その分、物語のリズムがそがれ、名作「犬の力」や「カルテル」のような物語のダークな疾走感がない。
”転落”が始まるであろう後半に期待。
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ニューヨーク市警のなかで選び抜かれたチーム。そのなかで最も優秀な男デニー・マローン。ニューヨークを愛しニューヨークを守るためなら汚いことをやってでも守る。そんなヒーローがその座から転落していく。その終わりの始まりが描かれていく。マローンになにがあったのか。なぜ落ちていくはめになったのか。まだ物語は半分終わったところだけれど圧倒され傑作と言い切っていいほど。すごいすごい。
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腐敗した敏腕刑事。
そう言う主人公は数多あるが、これもその一つ。ちょっとしたことで歯車が狂い、敏腕刑事と言う立場から転落していく様が描かれていく。
下巻では、どんな展開が待ち受けているのか。
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ニューヨーク市警特捜部のマローン部長刑事。NYの治安を守るために日々の仕事に邁進する。全体的には正義のヒーローなのだが、その裏では事件現場の麻薬や現金を盗んだり、マフィアとつながっていたり、悪いこともしている。それが当然であるかのように...。
そんなマローンが罠に嵌められる。上巻は罠に嵌まったマローンが、ダークサイドの入口まで堕ちていくところまで。大きな犯罪を取り締まるための小さな犯罪は見逃してもいいのかといった倫理的なものを読者にも考えさせられる。単純に主人公のマローンに共感してよいのか迷いながら下巻に続く。
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麻薬に汚染された街、マンハッタン。
ギャングと警察がイタチごっこを繰り返す。
デニー・マローンは悪辣な刑事だと思う。
でも悪辣な中にも彼なりの正義があると私は思っていた。
その彼が仲間を売る『ネズミ』へと落ちていく。
一つ階段を踏み外すと、そこから這い上がることは出来なくなってしまうのだろうか。
正義を語るFBIも、連邦検事も、誰もかれもがマンハッタンの街のように汚染されている。
読んでいて息苦しい。
でも読むのをやめられない。
これがドン・ウィンズロウなのか!
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ウインズロウらしい。まさに清濁併せ吞む?リアルティのある正義とはこういうものか。
マローンが最後までカッコ良くいて欲しいけど・・
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圧倒的な迫力の警察小説だ。あくまで現場にこだわり、汚辱にまみれながらも理想を目指す主人公デニー・マローンの生きざまは強烈だ。
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麻薬や銃による犯罪を取り締まるマンハッタン・ノース特捜部、通称「ダ・フォース」。ニューヨークの街で麻薬ディーラーやファミリーの悪党たちと渡り合うには自分たちもある程度の毒を併せ飲むことも必要だ。そんな市警を率いる警官の王、マローンに少々の反発を覚えながらも彼の行動を見守り、追った。プロローグの前の10ページで彼のいる場所がわかっているからこそ、上巻後半でわずかな油断から綻びを見つけられた彼が今後どうなっていくのか、想像以上に読むのが辛くなってきた。休む間もなく続けて下巻へ。
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最初はどんな物語かのみ込めなかった。警察対マフィア?ではなかった。汚職、正義、人種差別に王とネズミの話し。
後半に向けて物語は急展開し、加速していく。
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ドン・ウィンズロウを初めて読みました。
話の中に入るのに少し時間がかかってこのまま読み続けようかどうしようか考えたのですが、だんだんと話に引き込まれました。
ただ、舞台がニューヨークだから?なのか、言葉遣いのひどさには閉口しました。
久しぶりに長編の一気読みをしたような気がします。
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2021年11月20日読了。
ウィンズロウの小説は奥が深い。
そして、口が悪い。
ニューヨーク市警特捜部、通称「ダ・フォース」の部長刑事デニー・マローン。
マフィア、薬の売人、娼婦、汚職弁護士などを取り巻き、ダ・フォースを取り仕切る。
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生産・流通を担っている麻薬カルテルを描いてきた著者が、一大市場であるニューヨークの麻薬市場を書いた作品が本書だ。麻薬を取り締まる警察官の活躍が描かれるが、蛇の道は蛇で、警察官の守る正義は一筋縄ではない。
知らず知らずに正義を踏み外していく刑事たちは、なぜ踏みとどまれなかったのか。それは一歩一歩、少しづつ踏み外していったからだ。ただ、彼らの胸の内にあふれる正義感は熱くあふれている。
冒頭で留置されている刑事が書かれ、過去にさかのぼり正義から逸脱していく様が語られる。終盤、伏線を回収するように逸脱の背景が書かれ、刑事たちの哀愁が立ち昇るように感じられる。
市警察、市行政、連邦捜査局、アメリカの警察組織は複雑で、それを理解することもエンターテイメントの一つだ。映画を観ているような感覚で、一気にページがめくられていく。