紙の本
お金に関して深く考察した類書のない画期的な書です!
2018/07/04 11:58
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、お金(マネー)について深く考察をした非常に画期的な書です。本書では、最初に「人が理解するマネーから、人を理解するマネーへ」ということが強調されています。一体、「人を理解するマネー」とはどういうものなのでしょうか。お金の誕生から現代のお金の存在、もちろん仮想通貨なども含んだ複雑な状況を丁寧に解説し、お金の未来の在り方についても考えていく良書です。
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漠然と我々は、現代のマネーを巡る諸制度が、一種の制度疲労を起こしているのではないか、という予感を抱いている。とはいえ、次に求められるマネーとはどのようなものになるべきなのか、という答えを出すのは、当然ながら簡単なことではない。本書はその思考の補助線として、金融というものが徐々にそのプレゼンスを増してきた中世から、どのようにマネーとそれを巡る諸制度が変遷してきたかを辿りつつ、マネー、特にキャッシュレス社会の未来を描く。
様々な定量データが明らかにするように、現金の維持管理コストは電子マネーに比べて明らかに大きい。かつ本書では、現金の匿名性を悪用することで税金から逃れている裏経済(麻薬、銃器売買等)や、災害時の現金紛失リスク等を踏まえれば社会的弱者こそがキャッシュレスのメリットを享受するというファクトと、過去のマネーの歴史を踏まえて、新たなマネーのパラダイムを描き出す。キャッシュレス社会を考える上での示唆に溢れる一冊。
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本書は最近話題のPayPayなど乱立する電子決済システム解説書ではない。「ビットコイン」と著書のタイトルに入っているが、ビットコインの解説書でもない。「お金」という概念を根本から捉え直し、「未来のお金」について考えるという試みである。「国」が発行するという現在のお金の概念はすでに古いと著者はいう。その議論をホットなものにしたのが「ビットコイン」のテクノロジーである。「お金」を誰が発行し、その信頼性をどのように担保するのかを、現在のテクノロジーと結びつけながら、解説する。
マネーの歴史から丁寧に、「未来のマネー」はどうあるべきかを探る旅の試み。まだ道の途中だが、その先を想像することへの好奇心を擽られる良書。
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通貨の本って、難しいっていうか、読みにくい場合が多いんだけど、この本はそんなことなくておすすめだね。昔、EUに招かれる学生たちってのに応募してただでヨーロッパ行こうとしてたのに、統一通貨とかばかじゃねーの?って意見して落ちたんだけど、おんなじこと言っててうれしかった。それで、金本位制とか、そういうのってホント一瞬しかなかったとか、そういう過去からのパースペクティブのなかでデジタル通貨とかがどういうものかってのを位置づけてるのがわかりやすい。あと、個人的にはデジタルキャッシュには匿名性が必要だ!とか昔からよくいわれるんだけどなんで?って思ってたんだけど著者もおんなじ考えで、現代の現金にはたまたま匿名性があるだけって断じてるとことかも好感。ちょっと彼が評判経済に関して語っているって本も読んでみようかな。
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頭良い人の文章でたまにあるけど、分裂症気味というか脱線が多くて論旨がわかりにくかった。授業や講演で使える小ネタは満載。