紙の本
話題作を次々に発表されている樋口有介氏の大傑作です!
2020/08/11 10:05
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、『ぼくと、ぼくらの夏』、『風少女』、『彼女はたぶん魔法を使う』、『船宿たき川捕物暦』といった話題作を次々に発表されている樋口有介氏の傑作です。同書の内容は、羽田法律事務所で調査員として働く風町サエは、殺人罪で服役経験のあるシングルマザーで、物語の主人公です。ある日、芸能界のフィクサーと呼ばれる小田崎が、羽田法律事務所を訪れます。小田崎は、アイドル候補生を店頭に立たせる安売りピザ店で大儲けをした男なのです。店頭に立つアイドル候補生は、ファン投票の結果でメジャーグループに昇格できる仕組みで、自分が応援する候補生をメジャーにするため、ファンはピザを注文し投票券を獲得するのです。このピザ店でアルバイトをしていたひとりの少女が自殺をし、両親が1億2千万円の賠償金を要求しているということです。賠償金額を減額させたいという小田崎の依頼に調査を始めるサエですが、次第にある人の過去にも迫ることになっていきます。果たして、ある人とは、そしてその人の過去とは何なのでしょうか?続きは、ぜひ、同書をお読みください。
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安定の読後感
2018/07/15 23:36
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投稿者:イシカミハサミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
柚木草平シリーズと対になるこちらは、
風町サエさんが活躍。
どちらのシリーズにも言えるのは、
他人の過去をたどる過程で、
自身の止まりかけた時計を少しづつ動かしていく点。
事件は今世間を騒がせるあのアイドルグループみたいなのが関係。
タイトルがもうだいたい言ってしまっているので、
やっぱり主体は事件ではなく風町サエ。
今回は父親の話題は少なめだったけれど、
今後の展開があれば波乱を呼びそうなのは布石か。
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シリーズ第2弾。
弁護士事務所で働くサエは、表向きは事務員だが、実際には様々な手口でターゲットを探る調査員。
今回はアイドル候補生でありピザ店で働く少女が自殺の真相を探る。。
アイドルを売り出す手法がAKBを思わせるが、それ以上によくできており過酷。
ストーリーはいつものごとく面白かった。
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法律事務所で調査員として働く風町サエは、服役経験のあるシングルマザー。今回の依頼者は、アイドル候補生が店員の安売りピザ店で大儲けをした男。自殺した少女の両親から要求された一億二千万円の賠償金を減額させたいという。調査を進めるうち、ある人の過去にも迫っていくことになったサエは―。
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芸能界のフィクサーと呼ばれる男が、要求されている賠償金額を減らしたいと羽田法律事務所を訪れた。謎多き美脚調査員が、アイドルグループの闇を暴く!
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最後の謎は面白かった。それゆえに彼が魅力不足が残念。
あらすじ(背表紙より)
法律事務所で調査員として働く風町サエは、服役経験のあるシングルマザー。今回の依頼者は、アイドル候補生が店員の安売りピザ店で大儲けをした男。自殺した少女の両親から要求された一億二千万円の賠償金を減額させたいという。調査を進めるうち、ある人の過去にも迫っていくことになったサエは―。
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「猿の悲しみ」の続編。
ここに登場する人物たちは、いずれもしたたかで、クセが強く、あまり可愛げはない。
だが、ワルとしての魅力はプンプンと匂ってくる。
正義なんてクソくらえ。欲のオンパレードなんだが、それが実にさっぱりしていて、いっそ清々しい。
ワルにはワルの事情があり、正義には少々、引っ込んでもらおうか。
メインキャラの風町サエは、羽田法律事務所の「調査員のようなもの」。
十六歳で人を殺し、少年院から女子刑務所で服役した後、所長の羽田に弁護を担当してもらった縁で、この事務所に雇われた。
彼女の担当は、借金の回収、脅しなど、裏の汚れ仕事。
子どもの頃に身に付けたムエタイを駆使して、大立ち回りも辞さない。
服役中に出産した息子は高校生となり、シングルマザーとして奮闘中。
と、なかなかハードな人生を送っている。
事務所には、新米弁護士の島袋(この男は幾分まとも?)、そして、八十を過ぎたと見える老女、雪原玲香が事務員として勤めている。
彼女は、羽田の父親の愛人だったらしい、というのだから、キャラの濃いメンバーがそろっている。
さて、今回は、芸能界で顔役でもあり、アイドル育成のピザ店で成功をおさめた男が依頼人。
ピザ店でアルバイトをしていた少女が自殺し、その両親から1億2千万の賠償金を要求されているという。
その額を何とかして下げてもらいたいというのが依頼内容。
自殺した少女の家族を探るうち、事態はとんでもない方向に…。
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法律事務所調査員・風町サエは服役経験のあるシングルマザー。アイドル候補生自殺事件の裏側には、意外な過去と真実が隠されていた。樋口ワールド全開のハードボイルド作品。
最後の最後でタイトルの意味が分かる。それなら現代版「砂の器」になっても良かったのにと思った。ヒロインがとても魅力的で、そう言えば樋口作品で女性が主人公って過去にあったかなあ。
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法律事務所の調査員、風町サエの2作目。
自殺したアイドル候補生への賠償金の減額のために、調査をしていくうちに、そのプロデューサーの過去にいきあたる。
まるで、某アルファベット3文字のアイドルですか、って感じだけど、それよりえぐい。まぁ、いや全然別なんですよってなった時に、こっち方向に行かざる得ないんだろうけどね。物語の上とはいえ、架空のものとはいえ、そのやり方には辟易した。
で、その辟易するやり方を考えた男なので…。
タイトルがいいんだけど、よくない。
かといって、元のタイトル「笑う少年」は、もっとダメなんだけど。
樋口有介は、タイトルが斜めすぎて…。
まぁ、そこがいいんだけど。
サエさんは相変わらずしっかり地に足をつけて生きている感じがいい。
でもって、前作でのあの方も出てきて、満足。(こっそり贔屓にしているのだ)
…どんなに人間の暗黒面を見ても、最終的に息子の存在でリセットされるってすごいよね。
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2作目にして少しこのシリーズに慣れてきたかも。
相変わらず息子への執着は度を超えているけれど、周りを固める人たちの人格が固まってきて個性が輝き出した印象です。物事に完全に白黒を付けない落とし所が良いかも。
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お仕事小説に分類したが、冒頭のシーンから
なかなかのハードボイルド(^ ^;
またある人物の過去を明らかにしていく過程は、
ミステリ要素でもあるし...分類が難しい(^ ^;
ジャンルはどうであれ、大変楽しく読めました(^ ^
テンポよく、乾いた文体で、所々にはさまれる
ユーモアも「ちょうど良い」塩梅で(^ ^
謎解き的要素があるので、詳しくは書けませんが、
最後の種明かしは結構な「そう来たか感」(^ ^;
続編を期待できる「含み」の残し方もあるし、
いやこれはまたおいしいシリーズになるかと(^ ^
唯一「消化不良感」が残るのは、
ターゲットの「奥さん」の正体...と言うか...
これもまた何か「次への伏線」があるのだろうか(^ ^;
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弁護士事務所のハードな事務員、風町サエシリーズの2作目。
出だしは、八王子のラーメン店でのムエタイ仕込みの立ち回り。前作の #猿の悲しみ では、都内23区でほぼクローズしていた物語だったのに、今作では飯能、寄居、大多喜、三島、平塚と一気に活動範囲が広がっている。元々、樋口有介は、出てくる土地の描写がヤケに詳しく、知見のある場所では親近感を感じるし知らない場所なら2時間サスペンスばりの旅情を誘う。
前作からのキャラクターや設定が引き継がれるので更にサエの行動に集中して読める塩梅だ。サエの移動距離が自宅から遠くなればなるほど、息子ラブな描写が光りだすのもお約束。
文庫化にあたり改題されたのだが、改題前の『笑う少年』のほうが、読了後は自分的にはシックリくるタイトルだ。