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この作品が生まれたいきさつなど
まるっきり知らず 大好きな作家さんの
文庫が出たから買ったわけですが。
まさかそれがこの本が出版された理由だとは!
まさに私は策にはまり 「砕かれ」ました。
自衛隊シリーズと図書館戦争に共通する
内側からの視点が この作品にもあります。
児童養護施設をモチーフとすることの難しさは
自衛隊と同じですよね。世間の人は知っていても
正しくは知らない。それを真面目に、正しく
描こうとする姿勢に 掛け値無しに共感します。
児童養護施設を「家」だといい
職員を「家族」だなどという誤解は
何も知らない方が施設にそんな幻想を抱き
社会が薄っぺらな理想論に
染まっているからでしょう。
職員は親でも兄姉でもなく
子供たちの幸せな暮らしと将来の自立を支える
児童福祉のプロフェッショナルなのだということを
こうしてあらためて真っ直ぐ提示されたことに
清々しさを感じます。
自衛隊も図書館も児童養護施設も
その本来の機能と存在意義 そして
信念を持ってそれを支え続ける
多くのプロフェッショナルたちがいる。
内側の視点を的確に自分のものとし
誰の立ち位置から見ても正しいと思える
ありのままの真実として伝えることができる
唯一の作家。
それが我らの有川浩さんだと私は思うのです。
解説も含めて最後まで読んでようやく
「そうだったのか!」と制作事情に
気づくわけですが
やたらと出てくる「ハヤブサタロウ」なる
奇妙な作品名は長い長い伏線だったんですね。
最も胸を刺したのは 児童養護政策が
エアポケットであるという事実でした。
老人介護や障がい者は多くが選挙権を持ち
持たない方でもそれを持つ保護者がいる。
でも児童擁護施設の当事者たちは選挙権を持たず
保護者であるはずの家族との関係は
必ずしも良好ではない。
政治に対して声をあげる立場にないこと。
それが政策的に後回しにされ 社会の偏見にも
さらされる大きな要因であること。
このことは この作品を読むまで うかつにも
気づいていませんでした。でももう 気づきました。
これからは私も支援者として行動することが
自分に対して恥ずかしくない。
きちんと知り 正しく支援できます。
この作品は 多くの人に読んでほしい。
自衛隊シリーズや図書館戦争シリーズと
同じ意味と 同じ強さでそう思いました。
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児童養護施設に住む子供たちと、そこで働く職員たち。取り巻くのはちょっぴり冷たい社会。
全ての人が自分と同じ環境で育ったわけではないと思い知る。辛いんだ、助けて! と声をあげたら、どこからともなく差し出される手がある社会だと良いなと思う。
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一気に読み終わった。
なんというか、重たいテーマであると思うのに、爽やかだった。登場人物がとても魅力的。
児童養護施設というものに対して、エアポケットに入っているというのはすごく納得できることだった。
個人的には、本を読むのは素敵なことという施設長の人柄、言葉がすごく素敵だと思った。
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アッコの件。やっぱり有川浩好きだ。
ーーー
三田村慎平は転職先の児童養護施設で働き始めて早々、壁にぶつかる。生活態度も成績も良好、職員との関係もいい”問題ない子供”として知られる16歳の谷村奏子が、なぜか慎平にだけ心を固く閉ざしてしまったのだ。想いがつらなり響く時、昨日と違う明日がやってくる。先輩職員らに囲まれて成長する日々を優しい目線で描くドラマティック長篇。
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予備知識ゼロで、どのような内容か知らずに読みました。
思っていた以上によかった。。。
涙が…
解説を読んで、さらにビックリ!
少し厚いけど、オススメしたい本です。
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とても素敵な本だった。
今まで児童養護施設について深く考えたことがなかったけれど、この本に出逢えたことで、確実に私の中で何かが変わったと思う。
この題材を描こうと決めた有川さん、そして何より有川さんに手紙を送った、当時施設にいた少女にも感謝したい。その少女が大人になって解説を書いているのも、また素敵だ。
ページ数は多いけど、有川さんらしい人間ドラマにウルっとしたり、ほのかに恋愛要素が入っていたり、とても読みやすかったし楽しめた。
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大好きな有川さんの小説。今回のお話は児童養護施設を舞台にしている。誰かの伝えたいことを小説という形で世の中に広めていく新しい試み。元々それを発想した人も素晴らしいし、それを汲み取ってきちんと本に出せる有川さんも素晴らしいと思った。
なんでこの本を読みたいと思ったか:
よく読む有川さんの小説。きっと面白いと思った。
得られたこと;
内容から言えば、人それぞれが抱える事情を、理解はできないけど、知ることはできると思った。知るために、世界を広げることが大事。本編とは話がずれちゃうけど、大人は生きている時間が長い分、知っていることも多い。世界の広さをうまく子供に伝えルことが教育なのかなと思う。
この本の取り組み自体が素晴らしいし、本の中で本を読むことを推奨していることの意味を体現していると思った。
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児童養護施設が舞台とは、また何かの縁があったのかと思っていたが、末尾の解説で納得。
悲しいとか切ない気持ちで泣いちゃうかも、、と思ったこの小説。
やっぱり有川さんだ。
そんなところで読者の心は掴まない。
猪俣先生が女子の進学には頑なに反対していたあの件の回収。
和泉先生のほろ苦い恋の結末。
奏子と久志の将来も見たくなる関係性。
県庁おもてなし課的な、行政への問いかけもあるけれど、木論見通り世の中に広く知れ渡ってくれたらいいなと思う。
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多くの作品で、一面的ではなく多面的な正義を描く作家さん。
だから読んでいて、世の中では正しいと分類されるものであっても、「違う見方は試してみた?」と問われている気持ちになる。
この作品もそうだった。
子供の視点、大人の視点。普通の暮らしをする視点、親と離れて暮らす視点。
自分の立場を公表する視点、しない視点。
千差万別の視点がすべて正しくて、それらは全部同じ場所にあるのに気付いていない人が多いという、簡単だけれど難しいことがテーマだった。
本屋でタイトルを見て、頭の中で渡辺美里の『Power-明日の子供-』が流れた。
まったく関係無い小説と音楽なのに、読み終わってもやっぱり流れ続けた。
25年以上も時間が経っているのに、同じ言葉が持つ力が同じ方向を向いていることに驚いた。
解説はネタバレになってしまうので。
でも、良い解説だったし、この作品が生まれた理由がよく分かるものだった。
帯は、まさにこの通りだと思う。うまくこの短い言葉に納めたなぁ。
ただ、「ドラマティック」は違うかな…。なんか急にチープさが出た。
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児童養護施設の現状と課題やそこに働く職員とそこで暮らす子供たちの心情について丁寧に説明し、偏見や誤解を解き、物語の形を借りて広く世間に知らしめる、みたいな本。
最後になって分かるように、実際に施設で暮らしていた女性が自らの思いを手紙で作者に伝えてこのような本としてまとまったよう。
しかし、そこに暮らす人に対して「かわいそう」ではなく「大変だなぁ」というのは参考になったが、話の流れとしては、どうにも素直に読めなくて…。
最初の話が、”かわいそうな子供たち”の支えになろうと飛び込んできた職員の三田村に、誤った見方からの同情は要らないとばかりに反発する”問題のない子”奏子、という作り。
そこからしてベタなんだけどで、二人の間が気まずくなって、だけども歩み寄りがあって、二人が分かり合えるようになるって、この展開はどうでしょう。
その後も、施設の子であった彼氏に上から目線で接して振られた過去から施設の職員になった和泉が、今なら彼のことが分かるのかとか、進学を勧めた子が奨学金が払えなくなって大学を退学して以来、進学を勧めるのに踏み出せない猪俣が、ある再開をきっかけに再び思いを直すとか、まあ、ありがちな話が続く(手練れた作者はそこをきっちり読ますのだけど)。
元より施設の子にしても優等生の奏子と久志以外には殆ど登場せず、職員にしろ、三田村・和泉・猪俣の他には、出来た施設長の福原と頑迷な副施設長・梨田しか描かれず、これまた類型的な描き方。
私は有川さんのお話はいつも楽しみにしていて、本作もとてもためになるし真っ当なお話しだったと思うけど、今回は作風とテーマがしっくりマッチしなかったように思う。
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安定して面白かった。有川浩は特定の分野だけでなく色んな分野でインタビューや調査をして物語化しているのが好きだ。明確に伝えたいことがある時は恋愛要素を控えめにするところも良い。
この本をきっかけに児童養護施設のイメージが変わった。中途半端に毒な親に育てられるよりこのような施設に入り、自立して生きていくほうが幸せだな。
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児童養護施設とそこにいる子供たちの気持ち、わかっているようでわかっていない、その立場になってみないと理解できないことがたくさんある。物事を一面からでなく、多方面から見たり、考えたり、素直に受け入れたり、自分の意見を持ったり。。
大事なことは難しい。
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児童養護施設での子どもたちの生活と職員の仕事の話。重いテーマだけど,読むのが苦しくなるほど重く書くのではなく,でも丁寧に取材されていることがわかる物語だった。
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施設の子はかわいそう…何も知らずにただ漠然と持っていた施設に対する間違ったイメージがこの本を読んだことで大きく変わりました。
登場人物たちの様々な後悔や想いが繋がり少しずつ救われていく様子や、何よりも最後の解説を読んで心が熱くなりました。
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児童養護施設の子供たちと、そこで働く職員のお話。
有川浩らしい、ハートフルな“強く心動かされる”作品。
魅力的な登場人物達に、いつもより“ぐっ”と物語に引き込まれました。作中の登場人物達の掛け合いが絶妙です!全ての登場人物が主役に感じられるストーリー展開にも好感が持てる作品でした。
それもそのはず、物語の最後に思わず涙!!!
ちゃんと解説まで読んでね。
もうタイトル見るだけで笑顔で泣けます。笑