電子書籍
細かいミスかなぁ?
2019/01/06 00:38
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ワシ - この投稿者のレビュー一覧を見る
酒田へは新潟へ出て羽越線回りでないと行かれないんだけどね。
あれだけほろぼろになっても陸羽西線は残ってたのかなぁ?
企業活動や鉄道網やプーニー化の影響で虫食い的に寸断されていく様、残されたところは一見つつがなく生活しているのが妙に生々しい。
耐性を持つ人が普通の人間に見えて、凄まじい胆力の持ち主であるところも面白い。
理剣が女も知らないまま突入させられなかったのは、珍しく作者なりのやさしさなのか…。
しかし最終幕、浜辺に残された誠一が見たのは、自身の内に残された希望だったのかなぁ。地球外生命体にふたたび活力を与えるようなものだったのか。
彼が死の寸前に見た、ただの白昼夢や臨死体験的なものに過ぎないことを願う。
紙の本
〈想念の異界〉へ
2018/07/03 21:59
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:6EQUJ5 - この投稿者のレビュー一覧を見る
オススメ本です。
シリーズものではないので、すぐに読める一冊。
恒川光太郎さんの作品が大好きでデビュー作「夜市」からずっと読んでいますが、本作は新境地の一つと言えるのではないかと思います。テイストもSF的な要素が強く、恒川さん作品特有の“禍々しさ”は薄い感じ。
日々の生活に疲れたサラリーマンが異界に紛れ込むファンタジーの章と、宇宙から飛来した〈未知なるもの〉そして奇っ怪な生物プーニーと人類の闘いの章が相互に絡み合う、長編小説です。
どちらを守るべきか、何を大切にするべきか等、葛藤を感じながらも、一気に読みました。本を読む楽しさを味わえた一冊です。
それから、ダ・ヴィンチの2018年7月号に、「壮大なスケールで描かれる人類の危機!レトロで幻想的な破滅SF」という惹句のもと、作者のインタビューも交えた2ページにわたる本作の記事があります。作品世界を知る上で、こちらも是非ご一読を。
電子書籍
”滅びの園” はどちらなのか
2022/01/27 11:54
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ChocoMoco - この投稿者のレビュー一覧を見る
疲れ果てた現実の世界から突然に異世界に迷い込んだ主人公は、そこで平穏の地を見つけ大切なものを築いていく。一方で地球には謎の生命体が現れ、人々の生活は変わり果てる…。自分たちの大切な人や平和な日常を脅かすものは悪魔と見なされ、除外される。それが別世界や違った観念との相互反応だとしたら?どちらが正義でどちらが悪なのか。自分が見て信じているものは本当に存在し揺るぎないものなのか、たとえ実態が無くてもそこに幸せが無いと言い切れるのか?色々なことを深く考えさせられる作品でした。
電子書籍
面白かったです
2021/02/25 16:13
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:T - この投稿者のレビュー一覧を見る
得体の知れないバイオ的な敵…。プーニー、気持ち悪かったです。でも、それぞれの登場人物が面白くて、展開の読めないストーリーも面白くて、幻の世界の世界観も好きで、続きが気になって、総合的に面白く読めました。
電子書籍
壮大なパニックもの
2019/04/11 10:01
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:朝4時 - この投稿者のレビュー一覧を見る
相川の児島との関係が戦友という感じに熱く、ほろ苦くて良かった。
「もしも、誰かと結婚するなら、児島が良かった。」って。
読んでいて叫びたくなった。
武士かーーー!!!???渋過ぎるだろっ。
もともと異性としていけてないわけでもないけどそれ以上に戦いとか、学友であることとか、一緒に走った体験とか、繋がりが強かったんだろう。
こういう相手ってかけがえのないものだと思った。
投稿元:
レビューを見る
とんでもなく面白かった。
プーニーがなんともおっとり系でパンデミック的じゃないので冷静に達観できたのだが、事実、どの立場での視線にも囚われない。
想念の世界で望んだように生きるのか、迫り来る終焉を前に一筋の希望に懸けるのか。
わたしはどうするのか。
投稿元:
レビューを見る
童話の続きのようなやさしいファンタジー世界。 どこか懐かしい幻想風景の異界…と思ったらSFだー!めちゃくちゃSFだー!! 恒川光太郎のSFファンタジーですよー!! おもしろかった。 そりゃあそうでしょうと思うだろうけども、野夏旋が好き。
投稿元:
レビューを見る
基本的な物語の方向性は一貫していながら、常に新しい楽しみを提供してくれる点で、とても評価している作家。だからこそ、単行本が出る度に即買いしてる訳だけど。今回もファンタジー+SF+ミステリ(ホラー)って感じで、それぞれの美味しいとこを上手くブレンドして楽しませてくれます。最初の章だけだと”ん?この程度の世界観?”って思いそうになったけど、マルチ主人公の形式を取って語られる2章目以降、どんどん物語の深みが加わって、どんどん惹き込まれる。突然地球を覆う奇妙な白い物体の造形も見事でした。
投稿元:
レビューを見る
今まで読んできた、恒川ワールドとは違う感じの物語。でも、これはこれで好き。あまり語りたくないので胸の内に秘めて。
投稿元:
レビューを見る
現実世界から大きく乖離した話だから、普通だったら中盤まで入っていけないはず。なのに、説明が上手いからか序盤からスルスルと話が入ってきて面白かった。
投稿元:
レビューを見る
面白かった。恒川さんの長編小説は、もう本当に自分に合う。
世界の終わりとハードボイルドワンダーランドのような、2つの世界にわたる話だけど、村上春樹の小説のよりも圧倒的にわかりやすい物語がある。
理想の世界で穏やかに暮らす人、地獄のような世界で滅びゆく世界に暮らす人、どちらにもどちらなりの正義があり、どちらにも愛すべき家族や隣人はいる。その葛藤が時には淡々と表現されることもあるが、その分、胸が苦しくなるほど響いた瞬間もあった。
外宇宙から来た生物の思いは語られない。人類の一サンプルとして、そして自身のエネルギー源として、「生物としてのコミニケーション」よりもはるかに高次元の目的での営みだったのかもしれない。語られないが、最後に誠一が幕につつまれる瞬間の一言は感動した。
「いったいどこに自分の娘を殺す父親がいる?(中略)百回繰り返しても百回あなたたちの敵に回るよ。」
現実的に僕がそんな選択が迫られることはなくても、でも、僕もきっと、そんな選択をするんだろうと思った。
投稿元:
レビューを見る
奇妙な雰囲気のSFと言おうかファンタジーと言おうか。突如地球上に現れた「未知なるもの」と、地上を席巻する地球外生物・プーニーを巡る戦いの物語。地上で増殖し人間を滅ぼしていくプーニーは、どこかしら滑稽に思えるけれどやはり恐ろしいなあ。その対処にも決定的なものがないという絶望的な状況が重いのだけれど、作品としてはそれほど暗くなく、少しわくわくするような読み心地です。
そして「未知なるもの」に取り込まれて生活する一人の男。逆に理想郷のようなこの世界とそこに現れる魔物の意味、そして世界の核がいったいどこにあるのか。こちらは穏やかな印象のように思えつつ不穏な要素をはらみ、これまたどきどきさせられる展開。
あまりSFやファンタジーには馴染みがないのだけれど。幻想やホラー好きなら好みに合う要素がいっぱいありました。
投稿元:
レビューを見る
ある日突然空にあらわれた「未知なるもの」によって世界は粛々と破滅へと導かれていくばかりとなったが、世界にはまだ希望が一つだけ残っていた。それは「未知なるもの」に取り込まれた一人の男性の存在だった…
「プーニー」なるどこかゆるキャラのような名前の侵略者の存在、これを排除する「プニ対」の人々、そして「未知なるもの」に取り込まれた異界へ侵入せんとする「突入者」…。
ややこしい説明をほぼ省き、淡々とけれどこれらの独特の単語の語感の印象を強く残しながら描かれる物語は、きわめて絶望に彩られ、圧倒的なディストピアな世界。
されど、あくまで飄々と己を保って生きる人間たち、絵本のようなうつくしく平和な異界、ファンタジーのような魔獣、それらが恐ろしさを緩和して、まるで読む側も不定形の「未知なるもの」に浮かされているかのような、不可思議な世界にたゆたう感覚に囚われていく。
文章で描かれているのは膨大な数の死であり、暴力であり、絶望であるのに、その重さがどこか「抜けている」。その絶妙なバランスの味わいが、なんともいえず作者らしいと思うのです。怒りを怒りと、悲しみを悲しみと、不幸を不幸と声高に描かずに、それらをひっくるめた「世界と個人」を描けてしまっている。と、思う。
主人公(異界に囚われた男性)は考えてみれば最初から最後まで現実的には不幸といえる存在でしかなかったけれど、彼にとってはたしかに「幸福」が「現実」にあった。その酷さは、…受け入れられるものじゃあないよなあと、最後、思ったのでした。
投稿元:
レビューを見る
★2018年7月30日読了『滅びの国』恒川光太郎著 評価B+
スタープレーヤー、ヘブンメーカーに続く、時代不明の無国籍未来SF作品。
我々の世代で言えば、無国籍、時代性のない物語のテイストは、星新一に近い。
鈴上誠一という30代のサラリーマンが朝の通勤時に気がついたら異界へ飛び出していたところから物語が始まる。
宇宙からの未知なるもの、プーニーにとりつかれた地球、人類は、次々に感染症のようにして死んでいく。
人類の中で特別にこのプーニーへの抵抗力が優れたメンバーを募って、
鈴木誠一が捕らわれる未知なるもの、異界へ攻撃を仕掛け、ついには異界を破壊、プーニーを消滅させる。
異界は、鈴上誠一の希望、願いだったのか?何だったのかも分からず物語は終わり、読者それぞれの想像に任される。
投稿元:
レビューを見る
疲弊したサラリーマンが異世界に迷い混み、居心地よく暮らしていたら、元いた世界がとんでもないことになっていると知らされる。異世界と現実世界それそれで話が進み、謎を残したままラストへ。あの人どうなったのか、とか本当はどんな施設か、など気になることがいろいろあるのが良い余韻。久々に読んだ恒川作品はとても面白かった!