紙の本
プロセスに焦点を当てて哲学を読む
2021/05/22 21:23
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投稿者:第一楽章 - この投稿者のレビュー一覧を見る
山口氏は、哲学に触れるにあたり、「何を言ったか」というアウトプットよりも、なぜ・どう考えたのかというプロセスや時代背景こそに注目すべきと指摘しています。現代の科学から見れば陳腐化している考え方もありますし、キーワードだけを拾い上げられても抽象度が高すぎて何を言っているのかわたしにはワカラナイ。また「ソクラテスは/パスカルは/マキャヴェッリはこう言った」なんて、カッコイイ文句だけ拾い上げて紹介したり(「で?」と言いたくなります)、それを自分に都合よく解釈したり、なんてものも目につきます。
こうした理由で哲学というものに苦手意識があったのですが(高校の倫理の教科書もつまらなかった)、プロセスと歴史的文脈に注目した山口氏の紹介や解釈を読むと、なぜそんなことを考えたのかが、哲学者・思想家たちの問題意識がちょっとわかってきて、じゃあちょっと読んでみようかという気持ちが起きます。故に、これはとっても贅沢な大人のための読書案内でもあります。
さて、表現されたものだけに注目するとよくワカラナイけど、歴史的背景や文脈に注目するとなんでこんなことをしようとしたのか見えてくる、というのは現代アートもそうで、『13歳からのアート思考』(末永幸歩)でなるほどと思わされました。美術で言えば現代アートに限らず、またクラシック音楽でもそのようですね(『ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる』(片山杜秀))。思想であれ、芸術であれ、時間という厳しい審査を経てなお受け継がれてきたものには、それ故の価値があるはずで、ならば上っ面だけではなくて文脈込みでじっくり付き合う方が、得られる楽しみも大きそうです。
紙の本
ワクワク
2020/07/26 01:00
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投稿者:まーとん - この投稿者のレビュー一覧を見る
有名な本ですので、評価が分かれるみたいですね。学者や知識のある人にはあまりウケないようです。私は一般人なので、哲学・思想を分かりやすく、簡潔に纏められていて、とても面白く読みました。また知らない哲学・思想もありましたので、ワクワクしながらも読みました。
紙の本
脳内の引き出しが増えます
2019/10/12 15:37
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投稿者:one story - この投稿者のレビュー一覧を見る
哲学者の理論の紹介本でなく、実用的な観点で記載されているのが良かったです。盲点となりがちなことに気付けるようになることが色々と記載されており、この本の知識が背景にあることで、批判的思考や課題発見にもつながると感じました。頭を柔らかくし、脳内の引き出しを増やすために皆さんにも一読をお勧めします。
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山口周氏による、50人の哲学者の至言についての解説本。 氏は、人材系コンサルというバックボーンをもち、『世界のエリートはなぜ「美意識」をきたえるのか?』で有名。
筆者の独自の視点で、選ばれているのだが、50の視点は多くて、読む側は、広く浅く知識を得たい人が想定読者と言ったところか。一つのテーマで、6ページ前後の解説。幅広なだけに、一本筋が残るような感じは受けなかったが、視野は広くもてそう。
「27 一般意志」については、どうなんだろ??という感覚強い。元の概念がフワフワしてる所に、無理に色んなのぶっ混んでる感じ。
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アンガージュマンせよ!解凍・混乱・再凍結だ!マタイ効果は止まらない。なるほど、哲学をちょっとかもしれないが学ぶだけで、これだけ世の中の見え方がかわるんだ。
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1キーコンセプトごとから学べることが多い。
今までの哲学入門とは違い、著者の使えるか使えないかという判断基準から書かれているのも面白い。
哲学はアウトプットの言葉より、それに至るまでの思考の積み重ねこそ真髄であると感じた。
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ビジネスにおいて哲学を学ぶ意味について、時間軸は考えず哲学以外の領域をカバーしながら、名言そのものよりもその粘り強い思考過程から武器をあぶり出した本。
1 状況を正確に洞察する
2 批判的思考のツボを学ぶ
3 アジェンダ課題を定める
4 二度と悲劇を起こさない
今の自分の中にある判断基準や思考のクセは、とある時代背景と環境によって形づくられたもので、異なる哲学思想に触れたときに考え方の切り口が全く違ってくる。
これが哲学に触れる醍醐味であり、権威ある論説のアウトプットをトレースすることにはあまり意味がなく、むしろ危険なことというメッセージを本書から感じた。
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34 格差ー差別や格差は、「同質性」が高いからこそ生まれる
・どの組織社会でも公正な評価を究極的な目的としているが実現できない
・江戸時代まで続いた身分差別制度が存在。現在は撤廃されているが、むしろその時代よりも格差や差別はより陰湿で深刻な問題となっている。
・身分の差が無くなり、建前上は誰にでも機会が公平に与えられているからこそ、逆に差別や格差がクローズアップされている。
・「比較する」ことが増え羨望も劣等感も増大した。
哲学を学び語る政治家が増えて欲しいと感じます。
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これはすごくいい本だ、と心から思える本。
「哲学」というワケノワカラナイモノを題材にしているといると見えるが、いったん読んでみると腹落ち感が大きい。
「頭を揺さぶられた感覚」を覚えたキーワードを特に記す。
・自由からの逃走
・認知的不協和
・権威への服従
・マキャベリズム
・悪魔の代弁者
・解凍=混乱=再凍結
・カリスマ
・権力格差
・神の見えざる手
・パラノとスキゾ
・パノプティコン
・イデア
・弁証法
・ブリコラージュ
・脱構築
・未来予測
こういう本に出会うから読書はやめられない。
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哲学をわかりやすく時系列に沿わずテーマに分類して教えてくれている。
普通の哲学書より読みやすい。
文章も割とフランクな比喩や表現が使われていて現代にも応用可能な哲学と感じさせられる。
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1つの哲学用語を数ページで紹介しているのでとても読みやすい。哲学の系譜を学ぶ本ではないが、現代においてどういう時に哲学的思考が使えるのかがわかる。
ルサンチマン=やっかみ
高級ブランドはルサンチマンを利用して売り上げを作ってる。みんなが持ってるもの、古いより最新のもの。という価値の作り方。
携帯電話の普及にで、使い分けてバランスを取っていたペルソナに横串が入った。だから、自分の居心地の悪いペルソナからは、「逃げる」選択肢を持つべき。
悪とは、システムを無批判に受け入れること。
予告された報酬は、人間の創造的な問題解決能力を著しく下げる
人目につかぬ努力もいずれは報われるという考え方は、人生を破壊しかねない
アランケイ「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ」
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なぜ哲学を学ぶべきなのか。
・状況を正確に洞察するため
・批判的思考のツボを学ぶ
・アジェンダを定める
・二度と悲劇を起こさないために
この4点を意識しながら哲学を学ぶことで、日常生活に哲学を活かしていける。
内容については個々の哲学者と命題が掲載されており、DAIGOおすすめの目次クイズをしながら再読する予定。
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8/11
哲学とは、全人間に共通する重要な問いである世界はどうできているのか、どう生きるべきなのかに答えようと、多くの先人が議論を重ね、数多のコンセプトが開発されてきた分野である。そのコンセプトは現在のビジネスの場でも有用であろう。
ロゴス・エトス・パトス、シニフィアンとシニフィエ、予定説、認知的不協和、エポケー、ブリコラージュ、脱構築、未来予測、ソマティックマーカー
☆論理、社会や会社の倫理とポリシー、個人の情熱がなければ人は動かせない。プレゼンにも通じる
☆予定された高額報酬は人のモチベーションをあげない。使命であることの自覚が重要。貢献と報酬を関連づけるゲーム的な考えも間違っていないが、それならば報酬は不規則性があったほうがよい。
☆ブリコラージュや進化の過程、神の見えざる手を考えれば秩序体系の信奉は非生産的。
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著者の山口周さんは慶応大学の文学部哲学科卒業。その後、同大学院の文学研究科で美術史を専攻している。その後、電通、ボストンコンサルティンググループ等を経たようだ。なぜ、文学部卒業で電通やBCGなのかなと思うが、経歴を反映した本著になっている。この本を読むと、基本的にはビジネスにおける課題アプローチの視点を感じる。そこに自分が専攻した哲学をどう翻案するか。ただ、個人的にはとても面白いと感じた。
本著では次の4つの視点で整理をしている。
1.人についてのキーコンセプト
2.組織についてのキーコンセプト
3.社会についてのキーコンセプト
4.施行についてのキーコンセプト
本著には50人の哲学者が紹介されているが、中には心理学者と言ってもいい人も、かなりの数が紹介されている。自分としては、哲学と心理学? という感じではあるが、山口さんが考える、現実問題に対するアプローチとして考えてきたものなのだろうと思う。自分的にも、山口さんの方法は参考にできると思うので、何かの機会に読み直したい本。
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歴代の哲学者が導いた答えがどうこうというのではなく、当時当たり前とされていたことや世の中の見方を疑う思考法が語られていたのが面白かった。
著者の見解として、現在起こっている問題に触れているのも面白い。
哲学は興味あるけど難しそう、堅そうと思っている人、今の生活にどう活きるのかと疑いを持ってる人にぜひおすすめ。