紙の本
ねこカフェではなく
2018/08/30 12:09
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:端ノ上ぬりこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
翔は医大を目指していたが、一浪して不本意な獣医学部の学生になる。こんなはずじゃなかった。美代子にノートを貸す約束をさせられる。猫の世話をするだけの簡単なバイトを見つけ、喫茶虹猫で雇われる。サヨリさんから言いつけられた仕事は、東丸のおばあさん宅の猫の世話。びっくりの連続。喫茶店の猫は、里親探し中の猫とサヨリさんの飼い猫、そして東丸宅の猫をいずれ里親探しに、というプランらしい。ハンパない猫の数と家の汚れに翔の毎日が過ぎていく。
猫が抱えている様々な問題等も良く描かれているし、そこにいる猫たちの生態も興味深い。
投稿元:
レビューを見る
思ってたんと違う!
たくさんの問いかけがあって、それに正解や成長を無理やりに結びつけることなく、それでも確かにある変化を清々しく描いている、良い小説だと思います。高校生くらいの時に読みたかった。
猫は割とでてきます。
投稿元:
レビューを見る
本当は、人間が自分たちは地球で一番偉いと思って、管理人気取りで他の生き物たちの居場所をどうこうしようとしていることが一番問題なんだろうけど…
そんな大風呂敷を広げたところで全く現実的ではない。
人は、身近で手の届くことから関わっていくことしかできないのだ。
医学部志望のはずが、一浪してやっと一つだけ受かった獣医大に入った玉置翔(たまきかける)は、動物に対する周りとの温度差について行けない。
空いた時間で「猫の世話をするだけの簡単なお仕事」というバイトに応募するが…
個人的な感想だけれど、犬好きの人たちに比べて、猫好きは引きこもりでコミュ障的な人が多いように感じる。
そんな人たちが人とのかかわりを少し広げて行けたり、猫と人の関係、人に管理されるしかないペットの、命と幸せについて考えたりする物語だ。
そして、自分の進むべき道に迷っている若者が成長するという王道でもある。
理想と現実の違い、頭でっかちで行動が伴わない学生、思い込みが激しすぎるボランティアなど、ちょっとした困りごともきちんと描かれている。
…こう書くと堅苦しいようだけれど、個性的な猫たちと、個性的な人間たちがたて糸と横糸になって織りなす、楽しくて温かい気持ちになれる物語。
翔の雇い主であり、“猫のいる喫茶店”『虹猫』の女主人・鈴影サヨリに寄り添う・黒猫のタイ、謎の美青年・ヒカルにしか懐かない白猫のアイ、臆病で極度の引きこもり、居るのに気付かれなかったサビ猫サビ子…
翔が世話を任された、荒れ放題の猫屋敷、東丸おばあちゃんのところの約40匹の猫たち、サヨリにぞっこん(死語)で、暑苦しくてかっこいい動物病院の院長・相田先生、翔の憧れ、同じ大学の一年生・桜子ちゃん、地域猫の保護活動に力を入れるオバサン・伊澤さんなども、それぞれ個性的。
個人的には、すぐに貰われて行ってしまった、貫禄があるデブ猫・豚丼が気になる存在でる。
そして、読み終わった日、ナポリタンを作りました!
投稿元:
レビューを見る
「被害者意識をこじらせたところで、いいことなんてなにもない」
自分と人は考え方が違うことがある。
目的は一緒でも方法が違うこともある。
態度や心ひとつで対立することも歩み寄ることもできる。
そういうことが学べるんでないかな。
子どもが中高生くらいのときに読ませて感想が聞きたい。
投稿元:
レビューを見る
表紙から、これは、愛猫家の本なのか?と、思いながら、初めて読む作者 坂井希久子氏であり、どんな本なのか、、、手に取った次第である。
医学部を浪人して、受かったのは、意に反する獣医大学の獣医学部。
そして、主人公の玉置翔は、トイレの個室の中で、生協で購入した焼きそばパンを、かじるような孤独を好む青年である。
そんな設定から始まるのに、愛猫家の集まりだけでなく、ヒトとの関わり合い、そして、引きこもりがちな人達を皆と、共に、外へと繋がりを広げていく物語である。
猫の世話をするだけの簡単なお仕事のアルバイトを見受けた主人公が、猫屋敷で、部屋を汚しているおばあさんとの話から、どのような事で、こんな結果になったのか?
そして、依頼した、虹猫喫茶店の女店主のサヨリさんも引きこもりであり、店から、殆ど出ない人である。
地域猫活動家の伊澤さんも、猫の増殖の対処の仕方に考えさせられる。
賛成とも、反対とも言い難い。
今まで引きこもっていた人達が、いつの間にか、猫を介して、成長して行く姿に、本を読み進みながら、ただ可愛いだけの愛し方を描いているのでなく、同期生の桜子さんや獣医の相田先生が、いい味出して、楽しい物語にしていて、楽しく読み終えた。
投稿元:
レビューを見る
出先で読む本が無かったので手に取りました。虹猫かぁ~ 虹のたもとで猫が待っていてくれるってのは良いなぁ。ウチの猫たちは待っていてくれるだろうか。飽きて寝てそうだけど。
地域猫とか野良猫の不妊処置だとかきれいごとだけじゃすまないよなぁと思う事と、でも結構フィクションだし綺麗に解決しつつあるねぇという感想が半々でした。猫も20年近く生きる時代だからおいそれと新しい子をホイホイとか飼えないもんなぁ…
それにしても、大学入学の際に溶け込めなくて友人が出来なかったのはわからなくはないけどトイレで昼食食べなくてもいいんじゃない?とか思いました。そういう感覚、よくわからないなぁ…
投稿元:
レビューを見る
虹猫にいる、個性派猫たちがすき。
タイちゃんとサビ子がいいなぁ。豚丼もいいなぁ
動物たちが、人と人とを繋いでくれる てあるよね。
猫たちの、人間界での問題をきちんと話してくれていて。良かった。
投稿元:
レビューを見る
〈猫の世話をするだけの簡単なお仕事〉という求人募集に惹かれて訪ねた『喫茶 虹猫』。猫バカな女主人と里親募集中の迷い猫に囲われながら、僕は本当にやりたいことを見つける。寂しがり屋な人間と猫の不器用な愛の物語。
ただ猫可愛がりのお話ではなく、きちんとペット問題に対して問題提起しているところに好感が持てる。猫と人間の関係は歴史も古く、これからも失われることはない。同じ生き物として互いに幸福になれる制度やしくみを築く必要性を感じた。
投稿元:
レビューを見る
猫屋敷の世話をするために喫茶店の依頼でバイトで雇われるお話
猫とのかかわり方について考えさせられる
作中の言葉で、猫は1万年前から変わらない 変化しているのは人間の方だ というのが心に残る
ペットとしての猫は日本でも平安時代からいるみたいだし、世界を見れば古代エジプトよりもっと前、それこそ1万年前から存在しているよう
確かに猫そのものは変わらず、猫に関わる人間の環境や姿勢が変わっているだけだな
いつ頃からだったか、野良犬というのはとんと見かけなくなった
でも、猫は野良猫なのか飼い猫なのか地域猫なのかわからないけど今でも見かける
完全野良は論外として、地域猫という存在も人によっては賛同できないのですねぇ
猫の生態を歪めてしまうけど、完全室内飼いを推奨という理屈もわかる
妊娠している猫の堕胎についてもそう
胎児の状態で処分するのか、仔猫として結局処分されるのとどっちがいのか
もちろんそのまま生きていくのが一番いいんだろうけど、飼う人のキャパシティはあるわけで
結局、猫の幸せって何なんだろうね?
それが、虹の橋で待つような飼い主に出会えるかどうかではなかろうか
あと、獣医の役割は動物を助けることではなく管理することというのに納得
その辺の現実と自分の持ってる理想とのギャップに悩む学生さんはいるんだろうなぁ
投稿元:
レビューを見る
猫カフェではなく猫がいる喫茶店。ワケあり店主にワケありバイト、猫のためを思えばの葛藤とそれぞれの思い。そして語られる生命の重み。良いお話でした。
投稿元:
レビューを見る
うちも保護猫を飼い猫にしているので、
感情移入しながら読んでしまいました。
でもそれを抜きにしてもとってもいいお話だった。
いろんな猫好きが出てきて、
獣医さんも保護猫団体も
多頭飼育崩壊のひともでてきて、
きちんと人間のエゴとか
ペットのことが描かれているところがよかったです。
いろんなひとに読んでもらって、知ってもらいたい。
自分の進路に悩んでるうじうじしてる系の主人公は
正直好きじゃないんだけど、
悩みながらも成長していく姿と、
素直なところが好感度が高くて、
最終的な読後感がとても良かったです。
サヨリさんのつくるナポリタンが食べたいー!
サヨリさんとみんなの成長を
まだまだ読みたい。続編を熱く希望!!
「まんぷく」の短編集から
気になった作家さんだったので読んでみました。
好きだわーーー。もっと読みたい!!
投稿元:
レビューを見る
軽く読めそうだけれどペットに関する現代の問題にも目を向けさせる、ウマイ構成で読み応えがあった。
極端な性格の人たちばかり登場するけれど、彼らが集まると不思議と常識的なコミュニティになっているのがおもしろい。主人公含めそれぞれの成長物語にもなっている。
投稿元:
レビューを見る
不本意ながら獣医大に入った翔。
虹猫喫茶店でバイトすることになって、サヨリさんと出会ってよかったね。
しかし、周囲の人物が揃いも揃って強烈すぎる。
クールビューティで猫こそ全てのサヨリさんとか、サヨリさんに夢中の獣医師相田とか。
そんな環境でもまれて翔が変わっていけてよかった。
心愛ちゃんも、桜子ちゃんも、『虹猫』と出会えてよかった。
猫の避妊手術などの問題なども考えさせられる、たくさんの猫にニマニマするだけの作品でないのがいい。
猫と人が、いい関係を築いていけるといいと思う。
投稿元:
レビューを見る
猫ファーストな喫茶店オーナーと猫と人びとのお話。猫好きさんに読んで欲しいのはもちろん、これから猫と暮らしたいと考えている人には是非読んで欲しい。
猫ファーストなサヨリさん、地域猫活動家のおばさま、誰が正しいのかというより社会として愛玩動物とどう向き合うのかが問われている気がした。
人間の子供にさえ差し伸べる手が足りない中で、動物たちに差し伸べられる手はもっと限られている。
日本の動物たちが幸せに暮らせますように…
投稿元:
レビューを見る
「猫カフェ」ではなく、あくまでも一時的に猫を保護して里親を探している「喫茶 虹猫」。
猫至上主義のオーナーのサヨリさん。美少年の常連ヒカルくん。地域猫活動家のおばさま。多頭飼いで問題ありのお婆さん。クセが強く暑苦しい動物病院院長…と、かなり個性豊かな面々による物語。
人間と猫が共存していくうえで浮き彫りとなる猫問題諸々についても、作中触れながら楽しませてくれました。
猫好きにはたまらない一冊だと思います。