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なんて救いのない物語なんだろう。
主人公の瞳子は、母の介護と店の仕事に縛り付けられ、小さいころから何の楽しみもない生活をていた。そして、瞳子自身、自分の居場所を守るために必死でその役割を果たしていた。
そんな瞳子が病院である男性と出会う。それが顕だ。顕は、妻のDVに耐え続けている男性。自分を唯一理解してくれる顕に瞳子は心惹かれていく。顕もまた、妻にはない瞳子の優しさに惹かれていく。
ある日、母親への暴言に耐えられなくなった顕は、つい妻を殴りつけ、殺してしまう。瞳子に電話をし、救いを求める。そして2人は妻の死体を埋めに行き、いつバレるかと不安な生活を送っていく・・・・。
ミステリなどを読んでいると、人を殺したりするシーンはよく出てくるが、この物語は、本当に日常にありえそうで、読んでいて恐ろしくなった。そして、瞳子の境遇を思うと、こんなことがあっていいのかと苦しくてしょうがなかった。
唯一瞳子の理解者として顕が現れるが、顕は自己保身のために瞳子に嘘をつく。『噓も方便』『知らぬが仏』とはよく言ったもので、瞳子はより顕を守ろうという意識が強くなっていく。全てを知っている読者は顕のそういう汚いところが許せなくなってしまう。でも、同時にそんな人間の弱さも理解できてしまう。
読んでいる時は、瞳子や顕が置かれている状況や、なんで言い返したりしないんだろうと、モヤモヤしっぱなしだったが、実際にニュースで似たような事件を見ると、案外こういう人たちは多いのではないかと改めてゾッとした。
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祖母と母の介護をしながら40歳目前となった瞳子。
妻からのDVが続く中、母に認知症の疑いがあると知った顕。
首に鎖を巻かれたような境遇の2人が、大きな過ちを犯してしまう。
う~ん。
どの登場人物も好きになれない。
瞳子が抱える介護問題はかなり切実だが、介護される側の瞳子の祖母、母、介護に無関心の瞳子の父と兄など、どうにも救いのなさに気分が悪くなった。
顕には、魅力を感じなかった。
DV妻があそこまで激しい暴力を奮っていたことも理解できなかったし、それを抑えることが出来ない顕にも、う~んという感じ。
こんな感想を持ってしまった私自身は幸せボケなのかもしれないと反省します。
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介護要員としての扱いしか受けず姑憎さで母から憎まれて育った女性と、妻のヒステリーに晒されている男性の話。
二人ともに家族からお互いへ共依存先を変えただけの虚しい恋愛で、もう少し何か生き方がないのかとイラついてしまった。
そんな苛立ちを思えるのも私が自由で恵まれているからなのでしょう。
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「絆だと思っていたものは、ただの鎖だった。」
高校を卒業する時から祖母の介護をし、祖母が他界した後は母の介護を一手に担ってきた瞳子。家族からは介護要員としてしか扱われず感謝もされない彼女は、40歳目前にして未来が見えない。
子供の頃から今に至るまで母の呪縛から逃れられない瞳子が、自分の生きていく意味を見いだせず、それでも母の愛を求めている姿は、痛々しくもありもどかしい。
瞳子が不眠の治療で通う心療内科で出会い心を通わせることになる丹羽顕は、妻の束縛ルールと執拗なDVに悩んでいた。かっとなって妻を殺した顕はうろたえ、瞳子に助けを求める。やっと得られた理解者を失いたくない瞳子は、驚きの行動に出るが・・・
瞳子の家族は、父も母も祖母もみんな相当嫌な人たちで、早く見切りをつけて、すべてを捨てて逃げてしまえ!とイライラしながら読み進む。最後の最期で彼女が感じた自由があまりにも皮肉で笑える。
介護、DV、認知症、殺人と様々な問題を描きながら、家庭の中での愛を求めてやまない人々を描いた痛いほどの家族サスペンスでした。
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前作はなかなかよく出来てて作者に期待してたのだけど
なんでしょう?これは。
展開も、心理描写も、人間関係も
単純で薄い、薄っぺらい。
最後までがんばって読んだけど
登場人物全員バカすぎて、言うことなし。
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薄幸で頑張り屋さんなヒロインに
こうも人間の屑ばかりが寄ってくるのが
かわいそうだけど 実際にあるような気がします
家族だから分かり合えて、愛があるはず という幻想が
首の鎖になった という悲しいお話でした
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後半、ただ、ただ、苦しかった。瞳子は周りを客観視できる賢い人なのに、家族の犠牲になってしまうのは歯がゆい。顕が最後まで瞳子を裏切らなかったのがせめてもの良心かな。介護の暗い部分をデフォルメされてるようで、現実にありうる話だと思った。
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瞳子にも顕にも感情移入しづらかった…。
家を出たり、毒親毒嫁から離れたりする勇気はないのか?と思ったけど、そういう環境下では(特に瞳子)そういう選択肢とか生まれないんだろうなと。とりわけ瞳子の家族はひどすぎだと思う。ちょっと読んでて苛つきさえ覚える。
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初めて読む作者 宮西真冬氏の作品である。
人生のすべてを祖母・母の介護に追われて、気付いたら、もう40歳の独身の身であり、家の飲食店の手伝いもしながらの介護でしながら、今までの祖母の母への対する強い仕打ちが、我身へと襲い掛かる中、どうすればいいのか?逃げる道も無く、神経をすり減らしている勝村瞳子。
又、両親との不和を夫に求め、暴力で、制する妻に、神経をすり減らしている丹羽顕。
そして、幼き日から「大丈夫!」と力づけてくれていた母の認知症で、どうすればいいのか皆目わからなくなっている。
そんな2人が心療内科で、たまたま出会った。
そして、ひかれあうのだが、、、
顕は、誤って妻を殺害してしまう。
それを瞳子と共に隠蔽してしまうのだが、、、
祖母が、母へのイジメに苦しんだ娘。
母と妻との確執を悩む男。
瞳子と不倫した神田。瞳子の母、瞳子
丹羽の妻の春代。顕。
そうそう瞳子の父も、、、アルバイト学生も、、、
この本に登場する人物の殆どが、心が歪んでいる。
夫婦は、別れる事が出来るのだが、親と子は、切れる事は出来ない。
「首の鎖」とは、、、
繋がれている状態も、このような状態では、息も出来ない時があると、思う。
これからの時代、100年人生。
老々介護になってしまった時に、介護疲れになってしまうのでは、、、と、思ってしまった。
自分自身が介護される側になったら、子供達には、迷惑をかけたくないと、誰しもが思っている事だろう。
そして、認知症になってしまったら、其のことも理解できなくなってしまう。
少し、怖い事かもしれないが、この本のようになる人もいるかもしれない。
最後は、不可抗力であっても、妻を殺した顕と、それを隠蔽することに手を貸した瞳子は、罰せられるべきであると、思った。
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介護等身近に感じる内容で惹き込まれた。
描写が生々しく感じるところもあった。
母と娘の間に生じる葛藤がありありと綴られている。
不倫は肯定したくないし共感できないが、人間としての本性とか腹黒い部分が現実のような気がした。
首の鎖が解き放たれた時は開放感を感じた。
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高校を卒業してから就職する事なく実家の洋食屋を手伝いつつ祖母、母の介護を一手に引き受けてきた瞳子。しかし母には罵倒され家族には感謝されず疲れ果て未来の見えない日々の中、心療内科で妻からの束縛とDVに苦しむ顕に出会う。交流していくうちにちょっとずついい感じになってきて生活に張りも出てきた矢先、顕から妻を殺してしまったという連絡が。二人は隠蔽の方向に舵を切るが…。いやもう瞳子の家族が皆自分勝手で一人犠牲になっている姿がキツい。声の大きい人に押し潰されがちになるよな、とは思うけど救い無さすぎだろ。顕が救いの存在にならないまたある意味クズなのがリアルだ。しかし瞳子も主体性無さすぎ。そのせいかああ、破滅しましたね。色々杜撰でしたもんね、で終わってしまったのが残念。
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女性に対する扱いに憤りを感じてしまう。そしてそんな環境から抜け出せない女性自身にも。
自分に価値を見出せてない状況で求めてくれる男性がいたら惹かれてしまうのはうなづける。にしても浮かばれないことが多くて苦しかった。
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タイトル通り、「家族」と言う名の鎖に繋がれた人々の物語です。
主人公は人生の全てを祖母と母の介護に捧げてきた40歳の勝村瞳子(かつむらとうこ)
心療内科で妻の束縛と執拗なDVに悩む丹羽顕(にわけん)と出会いそこから物語は大きく展開して行きます。
瞳子の気持ちを理解しているふりをして肉体関係を求める神田、瞳子の未来を案じる事もせずただ介護人員として扱う父親、姑から受けた仕打ちを娘にぶつける母親。
血が繋がっているとは思えないエゴの吹き溜まりの様な家族の中、必死に頑張る瞳子の姿が辛かったです。
介護問題、認知症、DV、いつどこで起こってもおかしくない出来事に殺人が加わりラスト1行まで目が離せませんでした。
一気読み出来る家族サスペンス。
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読んでいて胸が痛くなる作品でした。介護は家族の協力がなければ無理なのに、その大変さから目を背け娘一人に押し付ける。娘の人生をどう思っているのか、本当読んでいて腹がたった。行き場のない生活の中で出会った男性もまた妻からのDVを受けていた。息苦しい生活の中で二人はお互いを守ろうとするのだけど…。表題の「首の鎖」というのがとても深い意味のあるものでした。