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紙の本
「本を開けばなにかを受けとれる。」 日本一狭い古本屋さんの日々 沖縄発
2019/08/10 09:52
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐々木 なおこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本一狭い古本屋と言われている。
沖縄那覇市にある「市場の古本屋ウララ」。
店主の宇田智子さん、もともと東京で書店員をしていたが、沖縄店開店と同時に異動、
その後、いろんなタイミングが重なり、古本屋さんを開店することになった。
店が狭いので、路上に椅子を出して座っているそうだ。
エコノミークラス症候群に気をつけてねと、たまに言われるとも。
このエッセイを読んでいると、彼女がその椅子に座って、店の前に通る人々を眺める景色を一緒に眺めている気分になる。
印象深かったエピソードをちょこっとご紹介しますね。
宮古島のアパートの一室で小さな図書館を開いている女性を訪ねる宇田さん。
なんでも電気やガスのように暮らしを支えてくれる図書館が、
誰にとっても身近なものであって欲しい。
そう願って作られた場所なんだそうだ。しかも利用は無料。
あれ?私も図書館をやったほうがいいのかしら?と思う。
でも、自分の古本屋さんで出会うお客さんから、図書館と本屋さんはどちらもあってこそと思う出来事に遭遇してうれしくなる。
ある勉強会で本の出張販売をすることになり、スーツケースに40冊持参して出かけた。どうにかこうにか会場に到着して、結果本は半分以上も売れた。
「軽くなったスーツケースを引き、こんなふうに本を売りながら旅ができたらなぁと夢みつつ、来た道を帰る」
私が一番共感したのは「言葉のはぎれ」の次の箇所。
ちょっと長いけど、引いてみますね。
「引用でも立ち読みでも、読んだ人にはいつでもいくらでも与えてくれる、言葉の気前よさ。
似合わないとも高いとも言わずに、誰にでも惜しみなくさし出されている。
さびしいときもお金のないときも、本を開けばなにかを受けとれる。」
本を開けばなにかを受けとれる。
確かにそうです。
だから、本を開きたくなる。
紙の本
市場のことばにふれる、本の声をきく
2018/08/24 06:59
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
心を激しく揺さぶるような恋愛小説でもなく、ハラハラドキドキのミステリーでもない。涙があふれる人情話でもないし、身の毛もよだつミステリーでもない。
それでいてエッセイが読みたくなるのは、沖縄那覇の国際通りのそば、第一牧志公設市場の向かいにある「小さな古本屋」ウララを営むこの本の著者宇田智子さんの「言葉のはぎれ」という小さなエッセイの中に、答えがあった。
「さびしいときもお金のないときも、本を開けばなにかを受け取れる」。
宇田さんは沖縄の人ではない。
神奈川の出身で、大手書店ジュンク堂に入社。池袋の本店で働いていた。その後、那覇店の開店に伴い、異動。まさにそれをきっかけにして、沖縄に魅了されていく。
ジュンク堂を退社して、そのまま古本屋店主として沖縄で生活をすることになる。
ちくまプリマー新書で『本屋になりたい - この島の本を売る』という、自身の思いを綴った作品が出ている。
今回のこのエッセイ集はそういう沖縄での生活、特に彼女の古本屋がある一角、市場での人との触れあい、そこから見えること、感じた事柄が、一つひとつは短い文章であるが、やわらかなタッチで綴られている。
沖縄では「市場」のことを「まちぐゎー」と呼ぶらしい。「ぐゎー」は「小さい」を表わして、親しみをこめてつけられたようだ。
もしかしたら、「言葉のはぎれ」に書かれた「さびしいときもお金のないときも」に続く言葉は「市場に行けばなにかを受け取れる」と同意語だったかもしれない。
宇田さんにとって、市場は本なのだろう。
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