紙の本
ありきたりな展開
2018/09/30 17:31
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投稿者:J・P・フリーマン - この投稿者のレビュー一覧を見る
ある田舎町で起きた銃殺事件。ロジカルな推理よりも動機重視の捜査が続いて、捜査の手はフランスにまでわたることになる。よく見る展開やよく見るロマンスが続くけれど、最後は意外な犯人が明らかになります。
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『キャンピオン氏の事件簿』が面白かったので購入。
今となっては『意外な結末か?』という観点ではやや疑問が残るのだが、ストーリーは面白かった。刊行当時はかなり斬新だったんじゃないかなぁ。巻末の解説も色々と興味深いエピソードが紹介されていて良かった。もうちょっと邦訳増えて欲しいな〜。
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マージェリー・アリンガムによる初ミステリ長編である本作を2019年2月に読み終えたのですが、まず思ったことは「タイムリーな時期に読んだものだ」でした。
(何がタイムリーかというと、某作家の某作を読んだ方ならピンとくるかと。)
本書の解説を記した森英俊さんによる「世界ミステリ作家事典[本格派篇]」(国書刊行会)の、アリンガムの項でも本作のことが触れられていますが、ある作者の名前を記して(上で挙げた某作家ではない)、その作者の「ある作品」と共通性があると記されています。「ある作品」が何かは記されていませんが、作者名から作品が予想できるので、アリンガムの本作をこれから読まれる方は、この事典であらかじめ調べるのはやめておきましょう。
(もちろん、「世界ミステリ作家事典」は20年前の出版ですから、この時点ではアリンガムの本作が翻訳出版されるとは、森さんもそれほど思ってはいなかったでしょう。うれしい誤算です。)
前置きが長くなりましたが、本作は全体的に初々しいながらもトリッキーな一作です。その後のアリンガムが執筆することになる、キャンピオン氏が活躍するミステリ長編に比べれば、作品に強く惹きつけられるようなことはなかったのですが、登場人物も魅力的でした。
アリンガムの作品を初めて読まれるなら、今なら同じ創元推理文庫から出ている短編集「キャンピオン氏の事件簿 Ⅰ〜Ⅲ」がお薦めですが、本書も手に取りやすいかもしれません。それらを読んで満足したら、アリンガムの他の長編もぜひ読んでみて下さい。
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謎の提示(導入)がなかなか面白い。白亜荘にいた人間全員に犯行が可能だった状況、各自が何かを隠し事をしていて聴取でいちどに全てが明らかにならないという、情報が開示されるスピードの調整具合(これにより、次の章が気になって読み進めるという推進力になってる感じ)。合間に挟まる英国っぽいくすぐりと、あの時代の作品お約束のヒーローとヒロインのロマンス。
途中場面をフランスに移動させるのですが、そこら辺から微妙に話の展開がぎこちないなぁ?と思っていたのですが、巻末の解説によるとこの作品、1928年の作で著者は23歳、しかも初のミステリ長編と……なるほど、初々しさの結果なのだと理解。
キャンピオンのシリーズものほど鮮やかさや軽妙さはまだない感じの初期作品、楽しませて貰いました。
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1928年発表の英国ミステリと聞いて、人はなにを想像するだろうか?
紳士は紳士らしく、淑女は淑女らしく、探偵は探偵らしくある世界。
被害者は被害者として殺されているのであり、
やたらバラバラにされていたり、
芸術的に組み合わされ彩られたりしていない世界。
おっしゃるとおり。
想像どおり、望みどおりのミステリが、ここにある。
とにかく、探偵役のW.T.チャロナーがいい。
〈猟犬グレイハウンド〉とあだ名される、スコットランドヤード屈指の敏腕警部である。
彼は人の話を聞く名人である。
『父親めいたやさしさ』『虎視眈々と目を光らせる油断ない男』(61頁)や、『慈愛に満ちた態度』(63頁)などを、相手により瞬時に使いわけ、関係者の心を摑んでしまう。
それがたとえ敵意たっぷりの頑なな老女であっても、
『あなたが気に入ったんですよ――正直言って、最初にこの部屋に来たときは、こんな詮索がましい出しゃばり屋にはおめにかかったことがないと思ったものですけどね。・・・・・・」』(55頁)
しまいにはそう言わしめ、『知ってることをそっくり』話させてしまうのだ。
進んでその職に就いているわけでもない。
『「そもそも、わたしは一度もこの仕事を好きだと思ったことはない。他人の私事をほじくり返して一生をすごすとは――はっ!」』( 84頁)
『「わたしは常々、どこかに種苗場でも持ちたいと思っとるんだよ。」』(85頁)
とかいいつつやっている。
しかし、事件解決への執念は人一倍だ。
『「いいか、ジェリー。われわれの仕事では、決して真実を知ることを恐れてはならんのだ。おまえがいくらこの事件を放り出させたがっても、わたしはプロとしての誇りにかけて、それだけはぜったいにできんぞ。」』(149頁)
そして、よき父。
『「あのバカ息子めが!」通りへ続く階段を駆けおりながら、彼は毒づいた。「まったくしょうもないやつだ――ただでさえ、ややこしい状況なに。・・・・・・」』(210頁)
いい探偵なのに、惜しむらくは、シリーズキャラクターではないということだ。
なんともったいない!!
巻末解説によれば、これは作者のミステリ第一作なのだそうだ。
その時、アリンガム、23才。
23才!!
私としては舌を巻くしかないのだが、当人としては課題難点だらけだったのかもしれない。
それがW.Tがシリーズになり得なかった理由かもしれない。
くりかえすがもったいない。
シリーズになっていれば、今頃ドラマシリーズになって、新たなファンもたくさん出来ただろうに。
作品にまつわるエピソードも懸かれた巻末解説『知られざるアリンガム』も読みごたえがあった。
そうそうたる顔ぶれのデティクション・クラブについて、また、アリンガムの私生活について。
読みながら何度「へー!」と声をもらしたかしれない。
今時の、やたらサイコパスな殺戮に疲れた人に、特におすすめする。
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古き良き時代のミステリー。
結末は何となく予想がついた。
ただ、それまでの経過がちょっと意味もなくダラダラ感が。
違うシリーズもあるようなのでそちらを読んでみようかな。
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古典の評価は難しい。
ただ話の筋はわかりやすく、ずっと刑事視点なので読者として捜査をしている気分にはなれた。その点を評価して星3つ。
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なかなか良かった。普通のミステリなのかと思ったけど、今までの感じとちょっと雰囲気が違う。なんだろう、この、設定なんかはよくある感じなのに、さっぱりしてるというのか、はたまたふんわりしてるというのか、ごりごり、事件、謎解き、ヒント、警察、みたいな、決まっている要素を並べるだけでない、独特の雰囲気。汗臭くないのよ。だからといって人間臭い訳でもなく、ちゃんと憎悪はしっかりあるんだけど。独特だった。結構自分は好きだな。
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うーん...なんか惜しいなぁ。
光る部分はあるのだが、全体的に見ると中途半端。
フーダニットとしてはアンフェアだし、サスペンスというわけでもない。
犯人の意外性に懸けているのかもしれないが、この時代に読むとあまり驚けない。
机の上に置いて銃を撃った、ということを知った時点で疑ってしまっていた。
ただ、この作品はクイーンの某作よりも4年前に書かれているものであり、当時はかなり驚かれただろう。
導入、犯人の明かし方などは王道とは少し違った切り口になっており、何となくお洒落。
探偵役、ワトソン役のキャラクターも良い。
作品自体の出来とは関係ないが、この人の訳もとても読みやすい。
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ミステリ。
キャンピオン氏は登場しない非シリーズ作品。
一応、W・T・チャロナー警部がキャンピオン・シリーズの作品にチラッと登場するらしい。
『窓辺の老人』の作品リストによると、著者が初めて発表したミステリ作品らしい。1928年刊行。
文章が読みやすいのは良い点。
ミステリ的には、結末の意外性はなかなか、謎の解明はアッサリ。
唐突に終わった印象もあるが、多くの登場人物にとって最善の結末だったように思う。
これで著者の作品を3冊読み、どの作品もなかなかに好み。
他の作品も読みたいが入手が難しそうな作品が多いので、なんとか再版をお願いします。