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ロシアワールドカップが目前となり、監督交代や最終的に選ばれるメンバーが誰になるのかなど世の中の盛り上がりを感じるこの時期に出会った本。
息子がサッカーをしており、昇降格があるリーグ戦の難しさやドキドキ感をなんとなく理解しているが、Jリーグとなるとあまり詳しくない。2部以下のリーグだとゲームがつまらないという勝手な印象のみでの判断かも。
息子の高校サッカーも残り2年弱。終わった後は応援に行く事もなくなるので、どうしようと思い悩む今日この頃。
そんな中、サッカーを楽しむ事はまだまだできるんだよなぁと思わせてくれる作品でした。
選手、サポーター、それを取り巻く人それぞれの人の想いがあり、地元だから、出身地だから、転勤で訪れた街だから、理由はなんであれ、応援したい気持ちになり、チームを応援することだけじゃなく、同じ想いを持つ仲間との時間に価値を見出したり。
こうあるべきという答えは自分の中にあるんだ。いや、自分の中にしかないんだろう。
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J2がモデルと思われる架空のサッカー二部チームを応援する人々による短編群像劇。
日本各地でサッカーの応援に行く人々の普通の生活(悲喜こもごもの)と試合との関わりがとてもいい。それぞれのサッカーへの思い入れは温度差というかきっかけ含めて差があるのだけれど、普段の生活に影響を与えていく。
中年なのでド派手に始まったJリーグを知っていてあんなにド派手なのに理念や目標が地域とスポーツの密接化(→ここ曖昧ですが)を謳っていてホンマか〜?とも思っていたのだけど流行りというものが過ぎて四半世紀たった今、その地域に深く結びついた最初の目標に近い姿になっているのではないかなんてこの本の描写だけで思ってしまった。取材もたくさんされたようで各スタジアムの様子も目に見えるようで、特に呉は行ってみたいなと感じた。
最初に出てきた引きこもりの女子大生、同じ選手を応援してきた兄弟、孫と同じ名前と生年の選手が好きなおばあちゃん、その後が気になる人々も多いけど、それぞれがまたサッカーを応援しながら人生を引き続き送るんだろう。
サッカー好きなら元ネタを思い出したりして2倍楽しめそうな本だった。
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津村記久子さんの新刊ならば中身を見ずに買うので、これもサッカーのJリーグサポーターの人たちを描いた短編集ってことも知らずに買って、わたしはサッカーのことはほぼまったく知らないんだけど、それでもすごくおもしろかったし、すごくよかった。最初、出てくるチームが架空のものってことすらわからなくて、(これだけ本物っぽく何十も架空のチーム考えるだけでも大変じゃない??津村さんのJリーグ愛?)、マスコットの着ぐるみ「つつちゃん」が見たくて思わずスマホでグーグル検索して、出てこないから、あ、架空ぅ?!って思った。。。
どの登場人物もみんな(Jリーグサポーターの人たちって老若男女いろいろな人たちがいるんだなということもこの本で知った)ごくごく普通の人たちで、とくに大きな事件とかできごとがあるわけでもなく、ちょっとしたうまくいかないことや悩みは雑多にあって、ごくごく普通の平凡な、言っちゃえばおもしろくもないような毎日を送っていて、それがふとしたことからJリーグ(それも、華やかな一部リーグとかじゃなくて二部とか三部で、わたしは、そういえばそういうリーグもあった、そういうリーグの試合とかサポーターってこんな感じなのか~、っていうのもこの本で知った)の試合を見にいったりするようになって、ほんの少しずつ、なにかが変わっていくっていう。この、「ほんの少し」って感じがとてもよくて。現実も、こんなふうに変わっていけたらいいなと願ってしまう。
嫌な人がひとりも出てこなくて、嫌な場面もなくて、ただ漠然と生きていてもいいこともあるかも、と思えてくる。大げさだけど、こういう本が「救い」になることもあるんじゃないかと。
そしていつも書くけれど、わたしは津村さんの文章が本当に好き。なにかちょっとした言いまわしというか書き方が、すごくチャーミング。だから、着ぐるみの「つつちゃん」とか思わず見たくなってしまう。あと、全国のJリーグのサポーターの話だから各地の方言もでてきてそれもチャーミングだった。各地の風景の描写も素敵で、どこも行ってみたくなる。
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おもしろくないわけがない。架空のリーグとはいえ限りなくJ2であろうリーグの22チームを応援する人たちそれぞれの物語。おもしろくないわけがないのだ。
観戦のきっかけも必ずどこかに共感できるポイントがある。この物語の素晴らしいところは、必ず自分の体験を思い出し、その淡い感覚とスタジアムの雰囲気を思い出させるところにあると思う。
さらには、偶然にもこの架空のリーグには、出生地の浜松(エンブレムの浜名湖の鳥居が最高。まさにあの鳥居のある町生まれ。)、母の実家がある鯖江(このメガネのエンブレムもたまらない)、出身大学のある三鷹、結婚後に住んだ松戸にチームがあり、自分に縁があるようでなんだか嬉しくなってしまった。表紙をめくったら飛び込んで来る、どこか楽しげですらある各チームのエンブレムが散りばめられた日本地図をみた瞬間からこの本を心から楽しめるのが決まったような感覚だった。
試合前数時間からスタジアムで過ごすあの時間。試合終了後、様々な感情で帰路につくサポーターたち。明確には言えないけど、またスタジアムで試合を観たいと思ってしまうあの不思議な感覚がどの物語でも蘇ってくる。各章終わる直前の数行でこの感覚が襲ってくるから不思議だ。
スタジアムのある町の高校に通っている当時はさほど興味がなかったのに、大学進学で東京に出て、就職も東京に決まった前後から、地元の象徴なのか、単に黄金期で強かったからなのか、急に地元のチームが愛おしい存在になっていった。可能な限りスタジアムに行くようになった。初観戦は確か2000年の国立競技場。ホーム初観戦は2001年FC東京戦。この時は母親と観に行って「東京の応援がすごかった」という感想の母親に何だよ、と思った事を思い出す。試合も前半のPKを守り切っての勝利というやや渋い展開だったせいもあるだろうけど。母親は昨年亡くなってしまい、この本を読んでいたら必然的にホーム初観戦のこの試合を思い出して少し切なくなった。ただ、この本を読まなければあの試合の事も思い出すことはそうそうなかっただろうし、この作品に少し感謝したい気持ちになった。
他にもたくさん試合を観に行き、一喜一憂してきた。家族ができてなかなかスタジアムに行けなくてもテレビ観戦でドキドキしている。作中でプレーオフにキーパーにヘディングを決められて昇格を逃したチームがあるが、まあ今となっては磐田サポーターにとっても苦笑いしながらいじられるポイントだ。
スタジアムにいる人間にみな大なり小なりのドラマがあるのはとても素敵なこと。たかがサッカーチームを応援する事で、サッカーチームを応援しない人生ではなかなか味わえない感情を多く体験してきたと改めて思った。
次の試合が、また楽しみだ。
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面白かったですよ。
2部を舞台にした小説なので、
2部を観てることを人に言いにくいとか
2部を誘いにくいとか
あー、分かる分かるって、
ちょいちょいなりました。
小説としては、短編だからなのか、少し淡々としてます。
まあ、淡々としてるくらいが、良いっすよ。
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J2リーグに所属する日本各地の地元のサポーターたちの心理を描きながら、いろいろな背景を持った人たちがスタジアムに足を運ぶ。彼らはなぜこのような弱いチームに入れ挙げているのかと悩みながら、応援せざるを得ないその心理が手に取るよう。三鷹vs弘前、泉大津vs琵琶湖(雄琴)、倉敷vs呉、松江vs松戸、川越vs桜島など全国各地に及ぶ。これはJ2のマイナーなチームでなければならない!いずれもシーズン最終節近くの昇格・降格がかかった重要な試合。敬遠していた学友と、母と娘と、疎遠だった父方の祖母と、そして憧れの先輩女性への思いを込めて川越の観戦にのめりこんでいく男子高校生はトランペットを吹く先輩の姿を見つける…。サッカーに縁遠かった人たちが熱心なサポーターに成長していく。選手たちはあくまでも応援される対象であり、試合内容も含めてこの本の主題ではない。最終節を終え、昇格プレーオフでそれぞれのサポーターである登場人物が繋がっていく。著者は全国のスタジアム観戦を踏まえ、豊富な人々に取材してきた結果の力作だ。日本挙げての老若男女によるサッカー讃歌。
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シーズン最終節、昇格、降格、残留をかけた(架空の)J2チームサポーターの悲喜こもごも。全11話+α。
仕事や家庭でぶつかっている登場人物が、サッカーチームの応援を通じて、少しだけ元気を回復するという展開が津村さんらしい。
そして、サッカーのことはほとんど知らない自分だが、一度スタジアムに足を運んでみたいと思った。何か変化があることを期待して
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様々な理由でサッカーJ2の試合に足を運ぶ人たちを描く、11の短編集。
この人の小説は本当に好きで今回も前情報を入れずに読み始めたところ、サッカー色の強い小説だとのこと。W杯くらいしか見ない自分には敷居が高いかな・・・と思っていたが、読み始めたらどんどん引き込まれていった。熱心なファンは勿論のこと、偶然連れていかれたり、サッカー以外のものを(当初は)目的にスタジアムに向かう人も描かれているのが原因だろうか。
私はスポーツ観戦を一切行わないので、スポーツは見るものじゃなくやるものという感覚が強かった。それだけに、この小説は非常に目新しく映る。観戦というとあくまで「戦い」を「観る」ことに終始するのかなと思ってしまうけれど、チャンテ(なんて言葉初めて聞いたぞ)考えたり応援用のもの作ったりアウェイの観戦で遠出したりその他諸々忙しい。
そして、その空気はスタジアム全体、その外側まで広がっていき、選手やサポーターを包含したJ2を取り巻く環境がひとつの世界を形成しているよう。そして、登場人物が日常からその世界に入ることで、心の中にある「何か」が確実に変わっていく。
最近の著者の小説らしく、心に閊えた何かがすっと溶けていく、淡いハッピーエンドで結ばれる短篇が多い。帯にある「人生の宝石箱」という表現は言い得て妙。『ポースケ』などに比べると短篇毎に登場人物が独立しているのでもっと読みたい、物足りないという気持ちも起きるけど、読み心地はやっぱり抜群だった。
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引きこもりの女の子の話と、お祖母さんと孫の話に泣いた。でもどの話もとても良い。
毎日がつらい人は、試しに数試合、Jリーグに興味持ってみてほしい。
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2部リーグのサポーターの悲喜交々というストーリーに
惹かれて手に取る。
ワールドカップの開催時期なので日本も少しサッカー熱で盛り上がったが、決勝トーナメント敗退が決まると一気に冷めていくのはなんだかなぁと、それこそ面白くなるのはこれからなのに、、、、
ただ日本代表に選ばれるだけがサッカー人生ではなくて
サッカーをプロとして続けていくためには
指導者とのしがらみとか
こちらはどちらかというと
郷土愛とか人生愛とかなんたまよなぁ。
めんどくさいこと、モヤモヤしたものを抱えてるのに
それでも続けていくのは何故?
好きなものの理由なんて深く考えすぎなくていい。
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自身はJ1チームのサポーターなのだが、本書に書かれた(2部リーグの)サポーターたちの気持ちはよくわかる。
著者が創作した架空の(22!)チーム、選手の実在感や、周辺の人間模様はすばらしい。
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楽しかった。
あるあるだらけだ。
登場人物たちのチームとの関わりは自分のサッカー観戦の姿勢とはかなり違うが、面白い。
私もアビスパ福岡をもっと気合いれて応援しなければ。
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サッカーに限らず
野球なり、映画なり、舞台なんか大勢でを観るって
人生に潤いをもたらすよねぇ。
なんだろう、一体感がいいのかなぁ。
それぞれ別の人生を歩んでいるのに
一時同じ経験をするってなんか、いい。
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サッカー2部リーグって、あんまり興味が無いんだよな~(--;)と思いながら読み始めたんだけれど、笑いあり涙ありで面白かった!(^o^)2部リーグならではのドラマが満載♪「権現様の弟、旅に出る」が一番好き!でも最後の「昇格プレーオフ」も良かった(^^)そして各チームのエンブレムが可愛かった(*^^*)
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サッカーを見に行く人たちを描いた群像短編集みたいな本です。
タイトルの「デイ」は最終節のことで、二部の試合を行うチーム(Jリーグと違って架空のチームです)を応援する人々のお話。22チームなので11試合全てについて描かれていますが、それぞれはチームの順位くらいしか共通点はありません。
それぞれのお話自体は面白かったです。
続きというか、その後が気になるお話が多かったですね。
ところどころ現実でそれは無いなーってところがありましたが、1つ以外はあまり気にならない程度だと思います。