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投稿者:あゆ - この投稿者のレビュー一覧を見る
背筋の冷えるような幽霊話。そんな中にも人の悲しさや孤独、想い出の中の暖かさをジンワリと感じる短編集
紙の本
どれも自分で体験するのはごめんこうむりたい現象
2018/12/05 08:56
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投稿者:美佳子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作品に触れるまで「営繕」という言葉を知りませんでしたが、「営繕」とは、「建築物の営造と修繕」のことをいい、具体的には、建築物の新築、増築、修繕及び模様替などを指します。字面からなんとなく縁起の良さそうな感じがするのは私だけでしょうか。
というわけで、『営繕かるかや怪異譚』は家にまつわる怪異譚の集成で、営繕かるかやの尾端(おばな)という大工が家の「障り」のようなものを修繕して、住み続けられるようにするエピソードが6編収録されています。
小野不由美の怪奇物はマンガ化された「ゴーストハント」を除けばどちらかというと地味にじわじわ怖くなる感じの物が多いと思いますが、これもその一つで、一編ごとにちゃんと営繕屋が解決策を示すまで読み切らないと不気味さが残って夜中どれもにトイレに行くのがなんとなく嫌になります。
奥座敷の襖が何度閉めても開いている(「奥庭から」)、「屋根裏に誰かいる」と不安を覚える母親(「屋根裏に」)、雨の日に鈴の音と共にたたずむ黒い和服の女が徐々に袋小路にある自分の家に近づいてくる?(「雨の鈴」)、おやつやお供えがあさられ、押し入れを開けてみたら痩せた老人がうずくまっていて、目が合ってしまうが他の家族には誰にも見えない(「異形のひと」)、祖母の家を受け継いで「使えない井戸」を庭のうち水や植木に使ったら枯れ込んでしまい、何やら異臭を放ち水跡を残す「何か」が徘徊するようになった?(「潮満ちの井戸」)、4歳の娘を連れて出戻ったら親に厄介払いされ、格安で貸してもらった親戚の古い家では車の調子がしょっちゅうおかしくなり、暗いガレージで男の子が現れるようになった?(「織の外」)。
どれも自分で体験するのはごめんこうむりたい現象ですね。
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投稿者:ハム - この投稿者のレビュー一覧を見る
古い家にまつわる怪異です。小野さんの独特の世界観が、このお話に合っていたと思います。何回も読みたくなる。
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うわ、こっわ!
背筋がぞくりとする怖さ。現象は本当に怖いのだけど、営繕かるかやが件の家に来て解決法を導いてくれると、一転してほっとでき、なんとなく心が温かくなる気がするのはどうしてだろう。
怖いのになんとも不思議。
怖いけど、いつまでも読んでいたくなるそんな本。
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文庫化も表紙が漫画、蟲師の絵で良かったです。ホラーは普段読まないのですが、営繕屋が出てくるから、きっと助けてくれる、大丈夫だろうと思って読みました。小野先生舐めてました。映像が浮かぶくらいに怖く、しっとりと脳裏に焼きつきます。ホラー落ちはない短編ですが、もし、あのとき営繕屋が来なかったら? と思ったら怖い話ばかりです。営繕とは、修復する方々のようです。ひとつの城下町を舞台に古い家屋に纏わる6編。私は「雨の鈴」が1番怖かったです。
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結構意外性のある怪異の解決方法。
スパッとズバッとはいかないのね…。
余韻のある感じがいいような、そんな残るものがあっても実際困るやん!?とも思ったり(笑。
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怪奇短編集……なのだろうが、これってホラーかなぁ……? それらしき現象は発生するものの、ストーリーとしてはどれも割といい話。
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出来事は、背筋の冷たくなるほど恐ろしく、そちらの事象そのものについては、何ら解決していないのに、読み終わるとほっこりと胸のあたりに温かなもの残る短編集でした。
尾端さんが、ひとにも怪異にもあるがままに対面して、そのうえで優しいように感じるからかもしれませんね。
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『残穢』を読んでみたいが、怖過ぎると思って手が出せなかったけれど、こちらは怖さ度セーフ。
じわじわ背筋が重たくなってくる怖さ。もう勘弁してくださいと思う絶妙なタイミングで営繕かるかやを営む尾端くんが登場。一気に心拍数が下がる安心感ときたら、お化け屋敷を抜けた時の日の光の如し。
なので、読後はあたたかい気持ちになる。
短編集なので、1話読了後には、「尾端くんが出てくるまでの我慢だ〜」と思って次を読む。しかし尾端君の登場は終盤。結果、次の話を読み始めると途中で止められるないので注意が必要。
『ゴーストハント』シリーズが好き又は怖さ度セーフなら、一気に読めるくらい面白いし、怖さも丁度良い。
このシリーズ、長編でも読みたい。
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「家」に憑いた怪異を、「営繕 かるかや」を営む大工の尾端が、当事者がその怪異と折り合いをつけられるように「修繕」する6つの怪異譚。 ―― https://bookmeter.com/reviews/73811135
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城下町の旧市街地。古い家々で起こる“異常”を営繕屋の尾端が修繕する短編集。
それぞれの物語で語られる障りや異形との接触にじわりじわりと恐怖が満ち、終盤に尾端が出てくると怖さがやさしさに変化する。後味がたまらなくやさしい。
暗闇で見る水は真っ黒で濁って見えるけど、明るい所で見ると透明できれい。
そんな視点の変化。
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これは新しい〜
営繕屋尾端さんが登場するまでは間違いなくヤバい怖さです
しかし読み終わったあとはじーん…となります
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ミステリというかまあホラー。でも前の”残穢”みたいなガチじゃなく、カバーイラストby漆原が示すように、世界観としては”蟲師”に通じるものがある。解決する営繕やさんが共通だけど、それ以外の部分は殆どが独立した短編集。家に憑くのも、霊的なものから魔物的なものまでさまざま。基本的にはポジティブな解決を見るから、読後感も不快じゃない。逆に平均的というか、本作じゃなきゃ!っていう孤高性は見出せなかった次第。
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古家の不思議。その不思議を拒絶し追い出すのではなく、ゆるりと解きほぐす感じ。この感じは好きです。
"霊感工務店リペア"ー漫画ですが……ー
に似た雰囲気を感じる。
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やっと!文庫化!長かった…
家にある不思議な現象。小野不由美だなあというお話たち。相変わらず、怪異と物理の対策が共存するのが面白くてなんとも言えない。あんまり怖くないです。切ないです。でもその切なさの理由は上手く説明できない感。霊現象があっても、すぐに逃げられる訳でない。毎日の生活があるから。カバーイラストあるけども、折り合いの付け方が蟲師と通じるところある気がする。
閉じ込めるから出てこようとするんだねえ。生きてても死んでても、どこにも行けないのは苦しいよね…