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ゆるふわ近未来お仕事小説。シンギュラリティの向こう側で、人々のほとんどは仕事をしなくても生活ができるようになった世界。それでも「人間」の需要はちょっとだけ、でも根強く残っていて、それを顧客に斡旋してやる「未来職安」のお話。
設定そのものについては、こんなに楽観的な未来になるのかと疑問に思うが、細部の生々しさが楽しい。
個人的に面白かったのは第5話の「未来医療」で、シングル・ペアレントを希望する来客と会話しながら生命倫理の問題にちょっと触れるところ。それから、なんとなくゆるふわで楽観的な福祉設計にも、裏では政治が絡んでいたり、ちょっと毒がみえる描写も少し。
全体的に文章が気持ちよく、読みやすかったです。よい作品だったと思う。ただ誤植の多さが目に余る、ここは出版社ががんばってほしい……
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ベーシックインカムが実現した世界での転職エージェントの話。1%の人しか働かない、平成生まれが老人になっている未来。
消費者は文字通り消費のみをして、生産者が生産をする。
今の社会で働くのが大変っていう人も多いと思いますが、生産者兼労働者でいられる世界って結構良いなと改めて思いました。
生産者を[職業として何かの役割を世の中に提供している人]とすると、私は生産者として生きていたい。
未来職安の世界の消費者は、何を目標に生きているのだろう。
自動運転や無人店舗(アマゾンGOなど)が実現しそうな、大きな時代の転換期にいる今、どんな未来を作っていくかを考えさせられる小説でした。
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あと何十年か未来の話。すでに予想されているようにAIの発達により人間の職業が極端に減り、働かない「消費者」と働く「生産者」の二種類にはっきりわかれている社会。働かなくても(贅沢三昧ではないが)生活できる世界の職安は、仕事といえないようなものばかり。その職業紹介も面白いが、機械オンチな所員が、操作に困ったらいちいち主電源を切って対処するのに共感…。未来の子供たちは、ネットがなかった(いわゆる昭和)時代にテレビや家電が動いていたことが理解しにくいそうで、なるほどなーと興味深く読んだ。
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面白かった。
2018年を生きる人の働くことがマイノリティになった世界の話。
それでも働くとはやはり出会える人の幅が広がるのだと思った。
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近未来になり、基本的な仕事は全て機械とAIが行うようになって、人間は基本的に働かなくなっても済むようになったという世界。
働かなくても良い分、そういう人たちは最低限のお金しかもらえないため、裕福ではない、そしてお金を稼ごうと思うと、人間しか出来ないような特別な仕事をする必要がある…
うーむ、自分だったらどっちになるだろうか。ある程度の趣味とかはできそうなのでただ生きるだけになりそう…
それはともかくこの本はそんな世界での職安で働く人達の日常をゆるく語ったお話。
今では珍しくなってしまったペットの猫を所長として、人間二人が働く職安事務所。事務所員も客も変な人ばかりだ。
日常話なので特に大きな展開や、謎解きや、カタルシスなどがあるわけではない。むしろこの作家の物語はちょっと変わった未来感で構成された世界に住む人々の考え方などを読んで、ありうる未来なのか、そうでないのか、ちょっとしたSF感を楽しむものだと思っている。
というわけで自分はゆるりと楽しませてもらいました。
所長の猫が良い。自分もここで働きたい。
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皆が働かなくても生活していける環境が整った近未来。
99%の人が「消費者」として生活する中、残る1%の人達は「生産者」として仕事をして生活している。
その生産者の中でも、専門性を要するような、機械に代替されない仕事をしているエリート生産者と、あってもなくてもいいような、腰掛け社員のような仕事をしている生産者とに分けられる。
主人公は職安の職員として働いている。もちろん、後者の生産者に区分される。
ちょうど堀江さんの本を読んだ後だったので、ホリエモンの言ってた世界ってこれやな、と思いながら読みました。
設定はすごく面白いしよくできていると感じました。
お話も3分の2ぐらいまでは、面白いな〜と思っていましたが、残りの3分の1、そして結末が悪くもないけれど良くもない、設定が勿体無いなと思うものでした。
散々近未来の便利さにあっと驚かされてきたので、淡々スッと終わる最後でもいいのかもしれませんが、ずっとワクワクしながら読んでいたので、あれ?終わり?これで終わり?って思ってしまいました。
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この設定はありそう。。。
その時、自分は生産者になりたいのか、消費者になっているのか?
人間って何だろう。
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未来職安
その名の通り 未来の職安の姿
1%の生産者が稼ぎ 99%の消費者を養う未来社会
その中で 生産者となりたくて職安を訪れる人々
優秀な人のみならず ちょっと変わり者が
仕事を求める社会も面白かった。
柞刈湯葉さん 興味わきました。
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平成よりちょっと先の未来、国民は99%の働かない<消費者>と、働く1%のエリート<生産者>に分類されている時代の職安のお話。
ほんとにちょっという想定で充分ありえる。
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ほとんどの仕事がコンピューターによって置き換えられ、99%の人が基本生活費だけで暮らし(消費者)、ほんの1%の人だけが仕事を持っている(生産者)時代の、場末の職安に務めるOLさんが主人公のお話。
面白かった!
世界観がしっかり作り込まれていて、くすっと笑えるエピソードが満載。本当にこんな時代が来るのかどうかわからないけれど、昔から繰り返し考えられてきた「人間が機械に取って代わられる時代」の「人間たちの行動」の1つの形。
私は消費者でいいや〜、なんて思いながら読んでました(笑)。いやいや、でも、どんな時代になっても、人間の悩みというのはなくならないものなんでしょうね〜。
この作家の、他の小説も読みたくなりました。
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考えるだけなら何もわるくないぞ。
これ素晴らしい。
「さすがにここまでは・・・でもありそう」という絶妙な設定。
この設定から見る現代に対する軽い皮肉(疑問というべき?)も興味深くてユーモラス。
良い意味でもうちょっとインパクトのあるエンディングを期待してしまっており、そこだけ肩透かし気味ではありました。が、変に劇的になるより、この世界、この登場人物の中では現実的なのかもしれないな。
おもしろかったー。
全然関係ないけど、かつての職場の所長と同姓同名の人物がいてビックリしました(笑)
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SF。お仕事小説。
SF的な設定も、ストーリーも、文体も、とても軽め。
このくらいの世界は、早く実現してほしい。
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図書館でタイトルが気になって借りてみた。
読んでみたら読書初心者の私でも
すいすい読めてなかなか面白い内容だった。
未来ならこんな事もありえるのかなと
考える小説だった。
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学者との兼業だった著者がコロナ禍の最中に作家専業となって書いた話。設定を緻密に作り上げた未来世界の話。ナンセンスなようで、いかにもそうなりそうな気にもなってくる未来の話。この著者の他の作品は広げすぎた風呂敷の一部はほったらかしなまま終わることが多いけれど、この話は風呂敷があまり広がらないのでコンパクトに話まとまった印象。
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装丁が好みだったのと、タイトルから連想される就職活動に興味があったので手に取った。
著者は生物学者との兼業作家だったが、最近作家専業になったとのこと。面白かったので他の本も読みたい。ただ、最寄りの図書館には置いてなくてショック。
本書は平成時代がレトロと言われる時代の物語。ロボティクス技術がさらに進化して人間が仕事をする必要がなくなり、99%の働かない消費者と1%の生産者(エリート) に分類される世界。そんな世の中でも職を求めて職安に来る人達を職安勤務の主人公「目黒」視点で切り取った作品。
AIやIOTが進化した未来について授業の一環で考えたことがある。技術が進歩すれば生活レベルが上がるので仕事の内容や身の回りの問題の質は上がっていると考えた。この物語は授業で考えた世界とほぼ同じ環境だと思う。生活レベルは上がっていても生活リズムの違いで疎遠になったり、行政制度の理不尽さに怒ったり…悩んでいることは現代と同じに思えた。言われてみれば、いつの時代でも人の悩みは変わらないんだな。人の本質は何も変わっていないことにホッとしつつも、悪いところもそのままになっていることに少し悲しく感じた。