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投稿者:凄まじき戦士 - この投稿者のレビュー一覧を見る
事業承継税を特例によって免除または軽減する方法をまとめた本です。
ある意味で歩率の抜け道のようなことが書かれているので事業主であれば読んでおいて損はないと思います。
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今仲税理士による特例事業承継税制の徹底活用マニュアル。前作の一般事業承継税制活用マニュアルの改訂版とも言える書籍。QA方式で順序立てて解説されており、流石という構成であった。特例事業承継税制は落とし穴が潜んでいそうでなかなか活用に踏み切れないが本書を読めば心配事の大部分は無くなりそうだ。今仲税理士の解説なだけに安心できる内容だ。
P33
自らが事業主体で、その損益が自らに帰属し、事務所等の固定施設を所有又は賃借して会社経営を行い、常時雇用する従業員数が5人以上で、被相続人の死亡の日において3年以上継続して事業を行っていれば、資産保有型会社及び資産運用型会社に該当しても自社株式の納税猶予の適用を受けることができるわけです。
不動産管理会社の場合には、資産保有型会社及び資産運用型会社に該当することが多いと思われますが、これらの要件に該当すれば非上場株式等の納税猶予の適用を受けることができます。
P140
1 1代目経営者が死亡した場合には特例経営承継受贈者に相続税が課税
2代目である特例贈与者が3代目である特例経営承継受贈者に自社株式を贈与して贈与税の特例納税猶予の適用を受け、その後1代目経営者が死亡したときは、3代目経営者が1代目経営者である被相続人から対象受贈非上場株式等を遺贈により取得したものとみなされて、一般納税猶予の適用を受けていた対象受贈非上場株式等の1代目からの贈与時の評価額が、1代目経営者を被相続人とする相続税の課税価額に算入されます(措法70の7の32、③)。
2 1代目経営者の死亡に係る相続税も特例納税猶予の適用対象に
上記の場合にも都道府県知事の切替確認を受けることができると、相続税の特例納税猶予の適用を受けることができます。最初は一般納税猶予でしたから通常の場合、その評価額の80%相当額に対応する相続税額についてしか納税猶予の適用を受けることができません。しかし、最初の贈与に係る非上場株式等の贈与税の一般納税猶予の適用を受けている2代目の経営承継受贈者から一般納税猶予の適用を受けていた対象受贈非上場株式等の贈与を受け、3代目である特例経営承継受贈者が贈与税の特例納税猶予に乗り換えましたので、1代目の贈与者を被相続人とする相続税の納税猶予についても特例納税猶予適用ができ、自社株式の評価額全額に対応する相続税の全額が納税猶予されることになります(措法70の7の7②)。
P143
4 1代目経営者死亡後に2代目経営者が死亡したときの課税関係
1代目経営者が死亡した後に2代目経営者が死亡すると次のような課税関係になります。
(1)2代目経営者の贈与税の一般納税猶予適用対象受贈非上場株式等
1代目経営者が死亡した際に、3代目経営者が受けている2代目経営者からの贈与税の特例納税猶予税額は免除になりました。その際に3代目経営者は、1代目経営者を被相続人とする相続税の特例納税猶予の適用を受けているため、2代目経営者死亡時には何の課税関係も生じません。
(2)2代目経営者が相続時精算課税の適用を受けていた非上場株式等
2代目経営者が相続時精算課税によって贈与された自社株式は、1代目経営者を被相続人とする相続税の課税において、贈与時の評価額を相続によって取得したものとみなされて相続税の課税価額に算入されましたが、これはあくまでも2代目経営者に係る課税です。3代目経営者が贈与税の特例納税猶予の適用を受けている特例対象受贈非上場株式等は、2代目経営者を被相続人とする相続税の課税において、相続による取得とみなされて相続税の課税価額に算入され、切替確認を受けると全額納税猶予の適用を受けることができますので、結果として相続税の納税は必要ありません。
P154
1 法定相続による法定相続分の計算
法定相続人による法定相続が原則ですが、その計算をする場合には被相続人の相続開始時の財産だけではなく、相続人が生前に被相続人から贈与を受けた財産や遺言によって遺贈された財産を含めて計算することとされています。この生前贈与財産や遺贈財産のことを特別受益といい、これを含めて法定相続分を計算することを「特別受益の持ち戻し」といいます。ところが実務上は相続開始時の財産だけで生前贈与を考慮せずに遺産分割されていることの方が、一般的に行われていることが多いようです。
2 特別受益財産は年数制限がない
相続税の計算をする上で、相続開始前3年内の被相続人から相続人に贈与された財産は、相続税の課税財産に加算されることとされています。よく似ていますが、特別受益財産を持ち戻して法定相続分の計算をする際には年数制限がなく、すべての特別受益を加算して計算することとされており、異なっています
3 特別受益の範囲
特別受益には被相続人からの遺贈財産、婚姻のための持参金、支度金、養子縁組のための持参金·支度金、独立事業資金、住宅取得資金、高等教育費用などの生計の資本としての贈与などがあります。もちろん、経営を承継する推定相続人が自社株式を生前贈与された場合も、特別受益となります。これらは民法の基本である法定相続分の計算をする上では当然に加算されることとされています。
P166
1 自社株式の生前贈与に遺留分の特例
先代経営者が株主の経営承継相続人に贈与した株式等について、先代経営者の生前にその推定相続人全員が合意することによって①先代経営者から贈与を受けた株式等を遺留分算定基礎財産から除外できる、②遺留分計算をする場合の株式等の評価額を合意時の価格によって固定できるの2点が民法の特例として可能になりました。
2 経済産業大臣の確認と家庭裁判所の許可が必要
先代経営者の推定相続人全員の合意を前提に、まず経済産業大臣に「中小企業経営承継円滑化法」の規定の内容を満たしていることについての確認を受ける必要があります。その確認を受けた上で、次に家庭裁判所の許可を得ることが心要です。
これらの一連の手続は、民法の遺留分の放棄のように遺留分放棄をしようとする者が直接手続きをする必要がありません。合意文書をもって後継者が単独で申請することができます。この点は手続き上大きな違いといえるでしょう。
3 適用される範囲は狭い
この適用を受けるには、先代経営者は特例中小企業者の元代表者又は現代表者であること、後継者に対して生前に自社株式を贈与していなければならないこと、後継者は遺留分に関する民法の特例の適用を受ける時点では特例中小企業者の代表者でなければならない���と、贈与等の結果議決権の過半数を保有することになった場合に限られ、他の株主などから既に株式等の過半数を譲渡や贈与などで保有している場合には適用対象にならないなど、さまざまな適用の要件があります。これらの適用要件を満たさなければなりませんので十分注意してください。