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複合アイデンティティを持つことの重要性
若いうちの学びの重要性(人間のOSができあがるのが大学時代)
博識に対立する総合知(p. 112)
建学の理念たる「良心」とは、清く正しい心を持つということではない。自分が良心的と思っている人ほど、傲慢になり、悪に取りつかれてしまうことについての警告である。(p. viii)
佐藤氏と松岡学長が語っているような、深い教育の理念を持って動いていた教師が今までの人生にいただろうか、と考えてしまった。生徒と友達感覚で接することができるのが良い教師だと思っている教師、自分と同じノリでクラスの活動に乗れない生徒を無視する教師、自分に逆らった個人をクラス全員の前であげつらう教師、質問に正しく答えられなかった生徒を嘲笑する教師…彼らは、授業は行っていたけれど、教育は行っていなかったな。教育ができない教育者、それを無能以外に何と呼ぶのであろうか。
p. 19 京大入試でスマホを使ってカンニングをした受験生を京大、早稲田が刑事告発した事件について、「しかしそれを刑事事件化して、その子の将来の可能性がなくなるようなことを教育者がやるものじゃない。声高に言わなくても、同志社大学にはそういうコンセンサスがある。しかも、他大学がなにをしようが、うちはやらないという判断ができる。これが同志社の面白さなんですよ。」と語っているのが印象的だった。そういう問題が発生した際の対応に校風、建学理念というのは現れてくるのだと思った。
p. 31 「逆説的なようですが、我々が基礎を重視するのは、型破りな人間を作りたいからです。型を知らずにユニークなことをやろうとしたら、デッサン力がなくて抽象画を描くのと一緒で、ただのでたらめになるのです。」
→なんか、前期(2018年上期)の朝ドラ思い出した…。
p. 60「駒場(東大教養学部)がなんで施設が悪いのにあれだけ知的な活動が活発なのかと言ったら、東大出身以外の学者が多いからです。本郷なんか東大卒じゃない外務省の職員なんて入れないですよ。でも駒場の後期教養課程では、いろいろな人が教えに来ています。」
p. 85「人間のOSができあがるのが大学時代なんですね。だから大学時代の友達は長く続くのだろうと思います。あの頃女性関係でだらしがないやつはその後も大体だらしがないし、金にだらしないやつはその後もだらしない。大言壮語して勉強しないやつは、その後も勉強しない。だから、大学時代のまだ可塑性がある中で、どのようにしていいOSを作るかが重要なんですね。」
p. 55「いまの学習指導要綱では中学での学習内容がスカスカなので、大学に入るまでに高校でその分も詰め込むことは不可能」
p. 56「オックスフォード、ケンブリッジではチューターがつけられて、一科目、週に500ページ読んで来いと言われる。理科系科目もとらないといけないから、科学書も読まなくてはならない。比較的数学計算のいらない生物をとっていたようだが、もう少し数学をしっかりやっていればよかった、と言っていた。」
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「良心は限定合理性を超える」の部分が面白い。新幹線の亀裂事故に対するJR西と東海の違い、そして311のJR東の対応。良心の重要性を述べており、それを大学教育における教養主義に求めようとしているのだろうが、大学における教養主義の重要性は認めるとしても、だからと言ってそれで良心が身に付くかどうかは疑問。良心の有無は大学入学以前か高校入学以前の段階である程度決まってしまうような気が。
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同志社の学生は学ぶことへのモチベーション上がるかも。対話形式ということもあり、また神学部の内容も多く、広く一般化して大学の在り方を考えるには少し薄い本
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佐藤さんの本を読みたくて、ちょっと昔の本ですが読んでみました。今は薬剤師として狭い世界に棲んでいますが、もっと視野を広く、また、世界を広く持ちたいと思っておりました。ところが、そもそもの勉強や大学、職に対する自分の考え方の未熟さや世界の広さに驚いた、というのが率直な感想です。こんな目線や考え方を、若いうちにもてることができていたら、と、思うと、一応人並みの生活はできている感じですが、貧相な脳みそを作ってしまった、と、後悔しかりです。
P18 スマホでのかんにんぐにたいする対応の違い
・京大・早稲田→刑事告訴
・同志社→18歳の受験生に必要なのは教育であり、
刑事罰ではない。
P28 自発的な結社として
・新島襄は、私立の総合大学を関西に作りたかった。
・早稲田は、官に対する野がある二項対立の在野精神、
京王は経済界で大きな位置を占める、
同志社は建学の精神に「良心」を入れる。
・同志社はミッションスクールではなく、
キリスト教主義の学校。
ミッションスクールは、アジアやアフリカの国々を
植民地にするための人材を作るツールであり
強力な宣教団の意向が反映している。
P56 逃げるは恥だが役に立つ
・主人公の状態への流れの考察
・家事労働の給料である積算根拠の妥当性
P68 皮膚感覚
・ヨーロッパで起きていることへの知識
・先進資本主義国が石油に依存している現状の
打破のための内燃機関を終焉させるための
ガソリン車の販売禁止
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大学では、専門的知識だけでなく、教養を学ぶことで、不確かな世界を生きていくことができることにつながるという話が印象的だった。自分は幅広く学んでいる方だから共感できた。ただ専門性もできれば身につけたい。同志社大学の学長と卒業生の佐藤優氏の対談形式のため同志社大学がよく出てきたが、京都の大学生が、東京の大学に通う自分からするとうらやましいと思った。のんびりしてて、楽しそう。
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母校のオープンキャンパス案内が必要となり、急遽読みました。
「東京という中央集権の場から離れている、京都というゆとりの時間が流れる場」というフレーズが何度か語られていた。第二次世界大戦下でも軍部と緊張関係にはあったが、キリスト教主義というスタンスは崩さないとか…建学の精神でそんなん習ったっけなぁ…
政治と経済の中心部から離れているからこそ本質を見る余裕がある、そういう地の利は確かにあるのかもしれない。