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食堂かたつむり 喋々喃々 つるかめ助産院。
この三作に通じる「美しい人々と美しい日々」の
物語に 本当に久しぶりに…ようやく
再会できた感があります。
エッセイを出版されることの方が多くなり
時々出される小説にも ここしばらくは
あまり共感できずにいました。
ようやく。
一人ひとりが自分の日々を
自分なりに生きている物語に再会できました。
人の日常は この作品と同じで
ご飯を食べたりお風呂に入ったりするのと
さほど変わらない確率で 心を苛む後悔や
身を切るような悲しみや 背筋を凍らせる狂気に
出くわしては行き違い 時に顔を合わせてしまうのです。
古都と呼ばれる土地には そのような人の業が
他の土地よりも色濃くある…もしくは
人の目に触れさせてしまう空気があるのかもしれません。
しっかりと寄り添って読み終えて
おだやかでやわらかな光と風を
こめかみのあたりに感じました。
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泣いた。面白かった。
優しい物語だった。
夏バテ中に読んだんだけど、ポッポちゃんがお客さんに出す飲み物とお菓子が美味しそうで食欲が回復したりした笑
ハードカバーのときからずーーーーっと文庫になるのを待ってたから読めて嬉しい!
代筆屋ってあるから、単純に書きづらいことを代わりに書いたりするだけなのかなぁとおもってたけど、その人の文字、使うペン、紙などもろもろをこだわっているのが代筆屋なんですね。
おばあちゃんの不器用なところに涙止まらなかった。
人の気持ちを伝えるのは得意なのに、自分の気持ちを伝えるのは下手な親子の話。
落ち込んだ時はキラキラって唱えてみる。
2018.08.07
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初・小川糸。
想像していたとおり、とてもかわいくて温かい文章を書く人だった。
鎌倉で文具店の傍ら代筆屋を引き継いだポッポちゃん。こういう時代だからこそ、手紙っていう後に残る相手へのメッセージが心に響くんだろうか。紙もペンもインクも書体もその手紙に合わせて変えて、依頼人の想いが伝わるように。わたしなら、だれにどんな手紙を代筆してもらおう?。
登場人物もみんないい。バーバラ夫人もパンティーも男爵も。つるやさんの二世帯住宅うな重も食べたい!
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挿絵ならぬ挿手紙の入った本は、初めてでした。
なかなか伝えられない大切なことを伝えるために、全身全霊で手紙を書く。
紙やインク、時には切手にまで気を使って、自分の思いを運んでもらう。
それは、とても大変なことだから、専門家さんの手を借りることもある。
ということで、代書屋さんの物語。
近くにいるその人には伝えられないのに、遠くにいる誰かには半ば愚痴めいて本音で語ることができるというのは、本当なのかも知れません。
人間関係には取り返しのつかないことがあるのでしょうけど、自分の本当の気持ちを特別な手紙にしたためたら、全てが空へ還っていくかも知れません。
穏やかでやさしい言葉が並んだ物語で、ベテランの女性アナウンサーが朗読しているのが聞こえるような気がしました。
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とりあえずページ下のパラパラ漫画がかわいい・・・
様々な書体・文体の手紙を一話ごとにはさむ、個性的なスタイルの物語。
のっけからポッポちゃんにバーバラ婦人となかなかインパクトのある呼び名が出てきて、それだけでこの物語の枠がぱしっと決まったような感じがする。(そのあともパンティーにQPちゃん!)あだ名でとらえるということは、もうそれだけで親しい間柄のような気がするものだから、一息に町の中へ引き込まれる。
代書屋という職業のことは知らなかったけれど、なるほどそういう需要もあるのかもなぁ、となんだか納得。しかしこんなにも他人に入り込むものかと不思議にも思う。人生経験も、知識も、覚悟や配慮も必要な仕事であるだけに、鳩子の慎重な様子もそっと見守っていたくなる。
どのお話も、季節の香りがしたり人の思いがあふれていたりして素敵。夫からの手紙を待つおばあちゃんも、かつて好きだった人の幸せを願う気持ちも、長い付き合いの友人と絶縁したいと思うことさえも・・・それぞれの味わいがあって愛しい。
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古都・鎌倉を舞台に代筆業を営む主人公・鳩子の一年を描く物語。移り行く四季と育む丁寧な暮らし、そして心優しき隣人との交流は都会の喧騒とは一味違う静けさを届けてくれる。依頼人の為に言葉を紡ぐ鳩子も先代(祖母)との間に消せない蟠りが。しかし、その溝を埋めてくれるのもやはり手紙だった。遠くの他人に軽々しく言えても、近しい家族には中々言えない言葉もあるが、そんな想いも手紙は雄弁に語ってくれる。合間に挿入される直筆の手紙もこの世界観の構築に一役買っている。今ひとつ現実味に欠ける物語だが、晴れやかな気持ちになれる一冊。
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読後感最高でした。
終始綺麗な日本語で、読み終わるのがもったいなくて、丁寧に、丁寧に、読みました。
私もメールより紙が好きなタイプなので、筆記具や紙質にこだわるという気持ちがよく分かります。もちろん高価なものではないですが…
素直に生きるのは難しい。でも、その不器用さが愛おしい。
おススメです。
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主人公は代書屋さん。でも落語に出てくる昔の代書屋さんと違うのは、依頼人になりきって、その人らしい手紙を書くこと。もちろん、現代の日本なので、全く字が書けないわけではないけれど、書きにくい手紙だったりが依頼される。主人公は、紙や筆記具を選んで仕上げる。文具好きにはたまらない小説。鎌倉が舞台で、美味しそうなものがたくさん出てくる。行って食べ歩きしたくなる小説でもある。
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最後の方が予想外に速いエンディング展開という感じで、ある意味著者らしくない気もしますが、全般的には「らしさ」満載の世界観。
鎌倉なんですよね。この空気感。
楽しめました。
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とてもとても優しいお話でした。
手紙、大好きだったから、字が伝えるものの強さや優しさを思い出した。
それにしても、パンティというニックネームには驚かされたけど。本人が良いなら、良いけど。笑
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たかが手紙、されど手紙。
手紙というと感謝の思いを伝えたり、絆を深めるためにあるものと思っていた。もちろん、そういう事が一般的だが、ここに出てきた手紙の中には離婚を知らせる夫婦の挨拶とか長年親しんだ親友や恩師と絶縁するための手紙があった。そして、そういう手紙が印象に残った。
もともと仲良くしていた無二の親友であっても、長く付き合ううちに環境や考えが変わり、上手くいかなくなるきともある。そこをスパッと切り落とすにはとても勇気がいることだし、自分からはなかなか出来ない。
離婚した夫婦にしても結婚を報告する手紙はもらうけど、離婚を報告する手紙はまずない。でもそこを敢えて公にして、これからそれぞれがんばりますって前向きに伝えるには、清々しくてなんかいい。
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代書屋さんが主人公。
仕事を通じていろいろな人生が描かれています。
また筆記具や文房具なども細かく描写されていて、それも非常に面白かったです。
本屋さんで平積みされていましたが、さすがおすすめの一冊でした。
老若男女におすすめです。
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夏が一番良かったなぁ。
主人公が、代書を頼まれて、紙と筆を選ぶ過程が好き。
そして、書かれた手紙が好き。
手紙を書きたくなる。
字を書きたくなる。
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2018.8.16
一気読み。
代書屋って本当にあったとは82才の私の母の話。
母は文房四宝なんて言葉も知っていた。
書くことは今は流行らないよね。
でも、ポッポの代書はどれも素晴らしい。
紙やペンまで選び抜くなんて。
そして字体はどれも本人が乗り移ってしまうようで。
自立した生活、年齢を超えた近所付き合いが素敵。
涙でした!
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さらさらと読み進めつつ、リアリティがあるようでないような、ああこれはテレビドラマ向けだなぁ、と思っていたら疾うにしっかりNHKでドラマ化されていたとのこと。 ナルホド。
ふわふわとしたおとぎ話のようだけれど実在のお店が出てくるので鎌倉をちょいちょい訪れるものとしてはなかなかに興味深く、また鳩子の先代への揺れる思いや周囲の人々との交流を通じて得る気づきは時折ホロリとするほどにすぅっと心にしみいる、地に足の着いた物語だった。 淡々としているようでざわざわとせわしないような日常に読者もぐんぐんと物語のなかにスルリとはいっていきご近所の、例えばあいさつ程度の3件となりさんになっているような錯覚を覚える。
美しい字が書けて、文章を練る語彙力や想像と創造力があり、美しい文具や切手を扱える、鳩子のお仕事にあこがれ。
ロメオNo.3をさっそくブックマーク。
読後たまたま鎌倉を訪れて入ったお店にいきなりテレビドラマのポスターがあり、その横に「ロケ弁を作らせていただきました」とあった。
作者の小川さんは鎌倉ご在住なのであろうか。 続編と鎌倉案内本もあるとのことなので読んでみたいと思う。
なんとなく「阪急電車 by 有川浩」を思い出した。