紙の本
非マルキストによるマルクス思想史です!
2019/01/24 15:33
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、我が国の政治学者である猪木正道氏が、マルクス、レーニン、スターリンからチトー、毛沢東に至るまで、共産主義の社会とその考え方を分かり易く解説した貴重な一冊です。同書の大きな特徴は、非マルキストによるマルクス思想史であるという点であり、この視点から見た共産主義は、また違った社会に見えるかも知れません。ぜひ、多くの方々に読んでいただきたい教養書です。
電子書籍
共産主義の解釈の変遷がわかる
2020/02/17 11:59
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:akihiro - この投稿者のレビュー一覧を見る
中心人物の思想や当時の社会情勢によって、共産主義の解釈が変わっていったことを知ることができました。
また、有名な共産主義者の生い立ちについても触れています。幼少期の境遇や経験を踏まえて、誰の影響を受けて思想がどのように形成されたかを知ることができます。
ただ、「プロレタリアート」すら理解していない状態で読み始めたので、かなり読み進めるのが難しかったです。知らない哲学用語に加えて、哲学独特(ロシア語独特?)の回りくどい表現もあり、ある程度慣れている人でないと読みづらいと思います。引用文はともかく、著者の解説文では平易な表現を用いて欲しかったです。政治学や経済学などを学んでいる学生向けの本のような印象を受けました。
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復刊。
こういう本がある日ぽろっと復刊されるから、各社の学術系文庫は恐ろしい。それにしても、トロツキーの生涯なんかは、論文というより何か映画を観ているみたいな面白さだった。
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第1章 マルクス主義思想
第2章 フォイエルバッハと死の思想
第3章 ラッサールの生涯と思想
第4章 レーニンとレーニン主義
第5章 トロツキーとトロツキズム
第6章 スターリとスターリン主義
第7章 チトーとチトー主義
第8章 フルシチョフとスターリン
第9章 マルクスの革命理論とアジアの社会主義思想
第10章 非毛沢東化と非スターリン化
第11章 現代の共産主義
著者:猪木正道(1914-2012、京都市、政治学)
解説:竹内洋(1942-、東京、社会学)
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マルクスの思想を踏まえてレーニン、スターリン、トロツキー、ローザルクセンブルク、グラムシ、チトー、毛沢東への変遷を踏まえマルクス主義は無神論の宗教だから他宗教や個人主義に敵対するとか、日本では軍国主義が抜けた空白に共産主義がはまっただけとか、私的資本による本源的蓄積をせず国家が強引に本源的蓄積しただけのソ連と中国は非スターリン、毛沢東化を進めて近代化されるとか、ナルホド!という指摘が多く面白い。
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面白いし参考になるところも大いにあるけど、読み物の形を取って書かれていたり、結局自分で他の本もまた参照しないといけない作りになっているのが残念。
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これはすごい。
マルクスから、レーニン•スターリン・毛沢東という実践家へ、そしてフォイエルバッハ、トロツキー、チトー、果てはローザルクセンブルクまで体系的に、個々の思想を紐づけてその発展と課題、現実などを究めて平易に記してある。それぞれの思想が、有機的に繋がって立ち上がってくる。
はっきり言って、「マルクス主義」を名乗る大学生はおそらくこの世から完全に駆逐されており、「なんとなく」の理解しか誰も持っていない。これは社会変革を志す学生にとって、自分の思想の系譜を辿る上でも必読ではないかと思う。
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タイトル通り。
共産主義を、その起源から、1970年代まで一本の流れでつかむことのできる本です。
お恥ずかしながら、40代になるまで共産主義とは何か、その中身に無関心に生きてきました。
読書会で齋藤幸平さんの『人新生の資本論』を読み、初めてマルクスの思想の一端を理解した次第です。
作中語るべき気づきはたくさんありますが、一番の発見は、共産主義と言葉一言でいっても、その中身は千差万別だ、ということです。
マルクスが描く資本の共有と富の分配は
スターリンが目指した、一国主義とは似て非なるものです。
その後を継いだフルシチョフはすぐに非スターリン化を打ち出しました。
では隣のシンパ、中国共産党は変わらずロシア盟友であるか?それも違います。毛沢東の実践するイデオロギーは、それ以前のものとは違います。
実のところ、資本主義、帝国主義のアンチテーゼになる主義主張を、全部ごちゃ混ぜにしただけ。
それらを分かりやすく共産主義とまとめたようにも読み取れました。
さらに本作では、そのごちゃ混ぜを整理し、比較し、体系化する、広範な思索が為されています。
読後は近代史に対する理解が深まること請け合いです。
最後に、個人的な感想です。
広範な知識をベースに書かれているため、歴史的な事実や思想、哲学用語が断続的に使われます。解説無しに。
読む時には、スマートフォン片手に読むことをお薦めします。