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鬼神の如く 黒田叛臣伝
2018/10/02 14:41
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投稿者:よっしー - この投稿者のレビュー一覧を見る
黒田家家老 栗山大膳が藩主の幕府謀反を老中に訴えるという。乱心したかと思う成り行きにはらはら。息もつかせぬ無駄のない構成と記述。土井利勝、将軍家光、紀州家まで巻き込んでの展開に・・・さすが葉室麟と唸ってしまう。胸のすく結末に納得。秋の夜長にぴったりの逸品です。
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葉室麟さんが書きたかった作品にちがいない
2022/01/19 16:11
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
葉室麟さんが亡くなったのが2017年12月ですから、すでに4年経ちました。
葉室さんの作家としての活動は50歳の時からだといわれていますから、亡くなるまでのわずか16年の期間しかありません。
それでも精力的に書かれてきたので、没後も読者は葉室さんの世界を楽しむことができます。
本作は2015年8月に発表された歴史小説で、翌年第20回司馬遼太郎賞を受賞しています。
歴史小説ですから、歴史上実際にあった事件が題材となっています。
それが伊達騒動、加賀騒動と並んで三大お家騒動にあげられる黒田騒動です。
舞台となるのは三代将軍家光の世、黒田長政の子忠行が藩主となった福岡藩家老栗山大膳がお家改易を守るために暗躍した事件を扱っています。
物語には大膳を助ける杖術を使う二人の若い男女が登場します。
この二人を描くことで大膳の人間としての大きさの輪郭が明確になっています。そのあたりが葉室さんの創作の巧さです。
さらに、この黒田騒動に1637年に起こった島原の乱をからめていくことで、世界がさらに広がります。
物語の中では大膳があたかも乱を仕掛けたようにも描かれていて、天草四郎の登場などやや創作めき過ぎて、もう少し枝葉を刈った方がすっきりしたようにも感じました。
ただ福岡県小倉出身の葉室さんとしては、どうしても書いておきたい題材だったに違いありません。
そんな執念を感じる作品でもあります。
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鬼神の如く 黒田叛臣伝
2019/08/12 15:53
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投稿者:雨読 - この投稿者のレビュー一覧を見る
筑前・黒田藩の御家騒動を題材に黒田藩家老・栗山大膳を主人公に描かれています。
あえて主君である黒田忠之を幕府に訴え出た。自藩の大名家取り潰しの兆しを悟り、内密に謀を進める中、主君からの疎まれ、長崎奉行の竹中采女正からは監視され、幕府からは狙われることとなる。
杖術の夢想権之助などを味方につけ、宮本武蔵や柳生宗矩からの刺客との対決や、将軍家光の前での命がけの進言をし黒田藩を救うこととなる。
自らは盛岡藩にお預けとなり自適の余生を過ごした。
また島原の乱を率いた天草四郎との関りにも触れている。
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第20回司馬遼太郎賞
著者:葉室麟(1951-2017、北九州市、小説家)
解説:島内景二(1955-、長崎県、日本文学)
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日本三大騒動の一つ、「黒田騒動」。「わが主君に謀反の疑いあり」筑前黒田藩家老・栗山大膳は、あえて主君の黒田忠之を幕府に訴え出た。その後の顛末は・・・。司馬遼太郎賞受賞歴史作品。
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12月-5。3.5点。
徳川家光の時代、黒田藩の物語。
黒田家の家臣、大膳は殿に説教する等で、疎まれている。
長崎奉行から、兄妹の監視役を送り込まれるが。
面白い。大膳の幾重にも張った伏線が、ラストに向けて回収される。
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実に面白い作品だった。
沈黙を読んだことがあったから、あっと思った場面も多かったし、宮本武蔵も出てくるし、栗山大膳がthe武士って感じだし、気に入った。
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「三大お家騒動」のひとつ黒田騒動を描いた歴史長編。
藩主に疎まれながらも自らを叛臣に装い、幕府による藩取り潰しの企みを阻止するのが栗山大膳。
さしずめ伊達騒動における原田甲斐というところか。
本書は、歴史事件に、柳生但馬守、柳生十兵衛、宮本武蔵らを絡ませ(彼らは黒田騒動に関わったという史実は?)、一大歴史エンターテイメントとなっている。
「武門は太平の世であっても常に戦をしておるのだ。武士が生きるとはそういうことだ」と言い切る栗山大膳。
彼と藩主あるいは幕府との知恵比べは、ミステリータッチな展開を示し、読者さえ翻弄する。大膳の眼のさきには、藩を越えて幕府の政策への諌止も。
黒田藩を守る秘策は、神君家康公から受けた関ヶ原感謝状。関ヶ原の折に、家康が発布したというこの種の秘匿文書は、作家の想像力を刺激するのか、種々の作品が生まれている。
その一つに安部龍太郎の『関ヶ原連判状』があり、隆慶一郎の伝奇小説『吉原御免状』も類する作品と言っていいだろう。
それにしても、著者の古典芸能に対する素養の豊かさには改めて畏敬の念を覚える。
『銀漢の賦』や『秋月記』などでは、漢詩を。
『いのちなりけり』『花や散るらん』『影ぞ恋しき』の三部作では、和歌を。
そして本書では、能を。
それぞれが小説の中で重要なコンテンツとして見事に融合し、その作品の魅力を高めることに貢献している。
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ーー「わが主君に謀反の疑いあり」。筑前黒田藩家老・栗山大膳は、自藩が幕府の大名家取り潰しの標的となったことを悟りながら、あえて主君の黒田忠之を幕府に訴え出た。九州の覇権を求める細川家、海外出兵を目指す将軍家光、そして忠之──。様々な思惑のもと、藩主に疎まれながらも鬼となり幕府と戦う大膳を狙い刺客が押し寄せる。本当の忠義とは何かを描く著者会心の歴史小説。司馬遼太郎賞受賞。ーー
策士である栗山大善の策はまさに綱渡り、少しの綻びで「策士策に溺れる」状況は、ミッションインポッシブルの時代物版ともいえるかもしれません。
本書には、天草四郎が登場してきますが、歴史の教科書にも載る人物なのに不明な点が多すぎ、かえって気になります。
天草 四郎は、江戸時代初期のキリシタンで、島原の乱における一揆軍の最高指導者とされる。
本名は益田 四郎。諱は時貞。洗礼名は当初は「ジェロニモ(Geronimo)」であったが、一時期表向きの棄教をしていたためか、島原の乱当時は「フランシスコ(Francisco)」に変わっていた。一般には天草四郎という名で知られる。寛永14年(1637年)に勃発した島原の乱ではカリスマ的な人気を背景に一揆軍の総大将となる。戦場では十字架を掲げて軍を率いたとも伝わるが、四郎本人はまだ10代半ばの少年であり、実際に乱を計画・指揮していたのは浪人や庄屋たちで、四郎は一揆軍の戦意高揚のために浪人や庄屋たちに利用されていたに過ぎないと見られている。(ウィキペディア)
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それぞれの登場人物がそれぞれに個性があり、また、一筋縄ではいかない人物として描かれているため、先の展開が常に興味が惹かれ、一気に読み進められた。
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面白かった!
第二十回司馬遼太郎賞受賞作品
途中、ぐっと来ました
三大お家騒動と呼ばれる黒田騒動をベースとした物語。
主君である藩主を謀反の疑いありとして幕府に訴えた栗山大膳。幕府の大名家取り潰しの標的となっていることを知りながらも、主君を訴えます。
その目的は?
細田家や将軍家光の目論見が錯綜する中、藩主に疎まれながらも、藩の行く末を思い、鬼となり幕府と戦っていきます。
そして、その大膳を支える卓馬と舞、権之助
ぐっと来たシーンは翌日を出陣の日として、決起・別れの場面。
卓馬と舞の想い、大膳とは二度と会えない可能性のある別れ。
大膳の戦いの結末は?
「もののふ」としての矜持を感じられる物語。心打たれる物語でした。
お勧め
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司馬遼太郎賞受賞 舞と卓馬 最後の数ページはもったいなくて読めなかったぐらい
附箋
・疎まれれば、疎まれるほど、忠義を尽くしたくなる天邪鬼でござる
・桜の精は、桜はどこに植えて欲しいと頼んだわけではない、さらには見物客が訪れるのを喜んでいるわけでもない、と言って 桜に罪はないのだ と説く。
・葉室文学に描かれる人間の魅力が、日本社会の病根や日本文学の閉塞を、爽快なまでに治癒していく。賢人の「知」と女性の「愛」をキーワードにすることで、新しい歴史小説のスタイルを打ち立てた。
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有名な福岡藩のお家騒動を、稀代の忠義の人として知られる栗山大膳を中心に描いた作品。
葉室氏は福岡出身なだけに大膳贔屓のトーンであるが、戦国から江戸初期にかけての生き残りを賭けた騙し合いの延長にあるこの話はあまり共感できない。
清い生き様を貫く無名の志士の武士道がテーマになっていることが多い葉室作品において、ある意味では特殊な内容という印象。
とはいうものの、読み応えは充分だったので星4つ。
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黒田騒動を軸に肥後加藤藩取り潰し、島原の乱、長崎奉行竹中采女正の失脚を絡めている。日本史の学習では個別のトピックとして学ぶが、現実の歴史は同時並行的に進行する。