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紙の本
うーん…。
2019/05/17 10:08
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:にゃっつ - この投稿者のレビュー一覧を見る
朝刊の一面記事下に広告があり、惹句が扇情的だったので購入しました。
それにしても、知らない名前の作家で、しかもわざわざ新潮社図書出版局と書いてあります。
先の戦争の末期、特攻隊に志願した息子の無念を晴らすため、血を残すために受胎する?
そんな母子もあったのかな、と手にとりまして。
読み進めると、上質なポルノ小説でした。
当時の中流家庭では当然だったのか、息子に対する言葉遣いが丁寧。むしろよそよそしい。
そんなものなのか、とこれまた思いつつ。
あまり書くとネタばらしになりますが、なんとこれが第一部とのこと。
第二部からはポルノじゃなくなるのかな。
特攻隊で散華した息子がひょっこり戻ってくるとか。
冒頭に書きましたが、新潮社図書出版局というのは、自費出版を請け負う部署だそうです。
調べてみたら、費用も詳しく掲出してありました。
天下の新潮社で自費出版をするとこんなにかかるのか、と思いますが、不思議なのは広告まで出していること。
深草鏡太郎先生、実はすでに売れっ子の大家なのではないのかな、と勘ぐってしまいます。
文体は目立った破綻もなく、さすがに誤植も一カ所だけ。
ただ、行動描写は的確ですが、心理描写は母子2人をちゃんと俯瞰していないようです。
母が主人公なのでいいのかもしれませんが、当時の最高学府に進まんとする男子がまったくの木偶に思えます。
さて、これからどのような反響を巻き起こすのでしょうか。
フィクション、ポルノとしては秀逸と言って置きましょうか。
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