紙の本
分かりやすい
2022/07/06 11:03
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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
池上彰さんが東京の中高一貫校で実施した講義をベースに、Q&A方式を軸に、ロシアについてまとめている。
「おそろしあ」と言われるゆえんや、隣国でありながらロシアの分からなさについて、わかりやすく解説してあり、大人はもちろん、ティーンにもおすすめ。小学生も読み聞かせてやるとよくわかるようだ。
2018年出版の本だが、ウクライナ侵攻を経た今、改めて読んでも、非常にためになる。
紙の本
ソ連と専制主義・社会主義、ロシアと民主主義・資本主義?
2020/12/17 17:31
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ジミーぺージ - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本と平和条約を結んでいない国、ロシア。
北方領土は日本に帰ってくるのか。
なぜ、ソ連は社会主義国家になったのか。
なぜ、ソ連は崩壊したのか。
なぜ、他国の紛争にロシアとアメリカが必ず出てくるのか。
東西冷戦の悲劇。
こんな身近な疑問に答えてくれる本になっています。
今の世界情勢を知る・考える上で大事なことばかりです。
是非、読んで見て下さい。
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近いけれどなんとなくよくわからない国、ロシア。
このシリーズの他の本もわかりやすく、そのために手にとってみたが、全く期待を裏切らないものであった。
私自身、ロシアの歴史や政治体制についてはあやふやなところも多く、そういった知識の再確認に非常に有益である。
また、ロシアプーチンの考え方、国内の問題点、さらには北方領土問題についても詳しく書かれている。今まで知らなかったところもあり、興味深い知見が得られた。
今後、ロシアに関するニュースが報じられた際も、今まで以上に興味を持ってみることができるだろう。
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悪の帝国くらいにしか思ってなかったロシアの見方が変わった。
ロシアに限らずだけど国の方針や考え方はそうならざるをえない事情が少なからずあるんだね。
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おなじみ池上さんが渋幕・渋渋の学生に対してロシアについての講義をまとめて一冊の本にしたもの。かなり基礎的なところから始めているので、知っている部分も多かったが、解説の流れはすごく分かりやすかった。
ソ連時代も含め、ここ数世紀で多くの戦争や政治の失敗で傷ついている過去が分かり、ロシアは苦難の国であるという印象が強くなった。ナチスドイツとの戦いで多数の死者が出たことでロシアの安全保障に対する意識が非常に強くなったことは理解できる。社会主義の時代が長く続いたこともあり、ロシアでは経済的な発展よりもまず国家の安全保障の方が重視されるという感覚は当たらずとも遠からずと言ったところではないだろうか。
今後ロシアへの投資を進めていくにあたって、ロシアという国家が経済や企業に対してどのようなスタンスで向き合っているかは確実に分かっていなければならないだろう。
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ロシア関連の書籍を読みたかったのですが、ロシアについての知識が全く足りないので、勉強したいと思い、中高生向けに講義されたこの本を手に取りました。
第一章「プーチン大統領」から見るロシア
第二章「社会主義国家」から見るロシア
第三章「東西冷戦とソ連崩壊」から見るロシア
第四章「北方領土問題」から見るロシア
第五章「国際紛争への介入」から見るロシア
第六章「エネルギー資源と外交政策」から見るロシア
この中で興味深かったのは、まず第一章の「プーチン大統領」から見るロシア。プーチン大統領は今もテレビで時々目にしますが、2000年から2024年まで、24年間、四半世紀に渡って、ロシアのトップに君臨している。途中、野党の有力な候補が暗殺されたりもしている。プーチン大統領は子供の頃KGB(スパイ組織)に入りたいと思っており、二度とよその国から侵略されないような強い国にすることが必要だという思いを持っている。
次に「社会主義国家」から見るロシア。
民主主義・専制主義とは「政治の考え方」で資本主義・共産主義は「経済の仕組み」のこと。
スウェーデン・フィンランド・デンマークなどは、社会主義でみんなが平等に働ける言論の自由は守ろうという国々。旧ソ連は社会主義国で、言論の自由がなかった。
そして「北方領土問題」から見るロシア。
いまだに、日本はロシア・北朝鮮と平和条約を結んでいない。北方領土問題が解決しないかぎりは、ロシアとは平和条約を結ぶわけにはいかない。日米安全保障条約があるので、ロシアは北方領土返還によってアメリカの基地が作られる可能性があり、返還できない。
四島ではなく二島返還という道もあるけれど、安倍政権の間がチャンス。
ロシアは地政学的に11の国と地続きで国境と接する侵略されやすい国。そういう危機感を持っていろいろな政策を考えている。
世界は思わぬところでつながっているということがよくわかりました。
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この本は「世界の見方」という池上彰さんの授業を書籍化したもの。
収録されているのは、タイトルの通り、ロシアに関する授業。
受講できた生徒たちが羨ましい〜!
しかもこの生徒たち、的確な答えと質問で池上センセーを唸らせる。そりゃあ、池上センセーの講座を受講するだけのことはあるよな…と納得w
(続きは書評ブログでどうぞ)
https://www.everyday-book-reviews.com/entry/%E6%84%9F%E6%83%B3_%E6%B1%A0%E4%B8%8A%E5%BD%B0%E3%81%AE%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E8%A6%8B%E6%96%B9_%E3%83%AD%E3%82%B7%E3%82%A2_%E6%B1%A0%E4%B8%8A%E5%BD%B0
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Akira Ikegami, How to See the World
https://www.shogakukan.co.jp/books/09388629
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2019/12/4
日本の歴史を学習しているだけだと、近現代になって少しずつ日本との関わりが出てきて、日本からしたら北方領土を占領されている国…くらいの知識しかなかったけれど、この本で読んでみると、どうして現在の経過を辿っているのか、というのがよく分かりました。
ロシアならではの気候風土、そこから不凍港を求めるこれまでの国の動き、日本との戦争やロシア革命による社会主義国家の誕生、第二次世界大戦の結果など複雑な要因が絡んでいるんだなと思います。
特にアメリカとの冷戦は直接戦争はしていないとしながらも、結局世界の各地で代理戦争が起きている現状はやはり戦争をしていたこととなんら変わりはないし、現在のプーチン政権がどのように考えているのか、どう動くのかは平和条約をいまだに結んでいない日本はもっと注目しなくちゃいけないような気がします。
日本は今後どういう立場で大国と接して行ったらいいのか、それを考える上では外せない国がロシアだと思いました。
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ロシア帝国が戦争により弱体化、日露戦争のさなかにロシア革命が起こる。そのとき社会主義の考え方が広まり、二月革命と十月革命を経て、社会主義国家が樹立
このときロシア革命を率いていたのがレーニン、その死後に共産党のトップを取ったのがスターリン
スターリンの死後、フルシチョフがトップの座につき、スターリン批判により独裁政治が白日のもとにさらされる
地政学…それぞれの国が地球上のどこに存在しているかという、地理的な条件によって政治を決める学問
プーチンが2代目ロシア大統領になったきっかけはチェチェン紛争
ソ連崩壊によりチェチェン共和国がロシアから独立しようとしたが、チェチェンには天然ガスのパイプラインが通っていた。プーチンがロシア軍による掃討作戦により制圧成功。一躍ヒーローに。
社会主義と共産主義の違い
社会主義…自由経済により貧富の差が生まれるため、最終的に資本主義は不幸になる。だからみんなが平等に暮らせる社会を作ろうとする
共産主義…社会主義の先にある理想郷を目指す、ゆえに、共産主義は世界で一つの経済圏を確立しようとする
できたばかりのソ連を、周辺の資本主義国家が警戒して軍事介入する…シベリア出兵
この侵略を受け、ソ連は国を強くするために国民の思想をコントロールしようと言論統制に走った。
スターリンは農業の集団化で大失敗。働いても働かなくても同じため、農業の生産性が最悪に。
そんなとき、ゴルバチョフが大統領になり、三大政策(ペレストロイカ、グラスノスチ、新思考外交)を打ち出す。
ペレストロイカ…小規模の民間企業とボーナスを認める
グラスノスチ…情報公開(報道の自由)を認める
新思考外交…対米強調路線、冷戦を終わらせる
ソ連の実情を明らかにしたが、そのせいで国内はガタガタ。ゴルバチョフはクーデターを起こされるが、そのときにクーデターを阻止したのがエリツィン
→どんどんソ連解体の機運が高まる
その後ソ連が解体するが、いきなり自由市場経済になったため国内大混乱。
しかし、プーチンに政権が移った直後、世界的に石油や天然ガスの値段が急騰。
一気に経済が立ち直り、国民はそれがプーチンの手柄のように錯覚した。
ソ連の時代、宗教は個人的な信仰程度は許されていたが、公共の場では認められなかった。
プーチンはロシア正教会を認め、自身のアピールに活用している。
明治維新以降、アジアの国々はどんどん列強に支配されていった。日本にとって、ロシアが南下して朝鮮半島を取るのではないか?と不安になった。
そのため日清戦争、日露戦争の勝利により先に朝鮮を支配する。
日中戦争開始後、ABCD包囲網により日本への石油の輸入がストップ→これに困った日本は、インドネシアの占領と、シンガポールのイギリス軍を攻撃するためマレー半島を攻撃。その少し後、アメリカの軍事的介入を阻止するため真珠湾を攻撃、WWⅡの勃発。
終戦記念日は1945.08.15だが、降伏文書に調印したのは09.02
→この半月間の間に、ソ連は国後と択捉を侵略、歯舞と色丹は調印後に侵略。
そのため、前者は戦争で勝ち取ったものであり、後者だけを日本に返すべきものとして認識している。
戦後のサンフランシスコ講和条約にソ連は参加していない→日本とソ連の間で国境線が確定していない。
日ソ共同宣言(平和条約ではない)を結び、国交は回復、歯舞と色丹は日本に返すよ、と約束した。
しかし。1960年の日米安保条約の影響で、歯舞と色丹を返すのも反故にした。(返すと、アメリカ軍に駐留される可能性が高いから)
【クリミア半島併合問題】
ウクライナに、親ロシア派のヤヌコビッチ大統領が誕生。EUとの交渉を打ち切った結果、国民による反政府運動が起こる。ヤヌコビッチ亡命、親EUのポロシェンコが大統領に。
そのときから、ロシアがウクライナに介入。東部の新ロシア派地域ではウクライナからの独立を掲げて武装蜂起、政府軍と紛争状態に。
もともと、ソ連時代にウクライナは軍需工場地帯だったため、ここが西側諸国の仲間になったら、機密情報が洩れてしまう。
ロシアがシリアのアサド政権を支援する理由
①シリアはもともと社会主義的政策を取っていたので、仲がいい。
②シリア西部の地中海に面する街にロシア海軍の基地があり、そこの影響力を失いたくない
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一部を切り取ってその国を変な国だと決めつけてはいけない、ロシアにはロシアの論理があって考えて動いているのだという言葉が印象的だった。陸続きの11の国と接していて過去に侵略されたことがあるロシア。社会主義を目指した最初の国。トルーマン、スターリン、レーニン、ゴルバチョフ、エリツィン、、、名前は知っていても何をしたか具体的には知らなかってからとても勉強になった。もう一度読もうかな。
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ソ連から現在のロシアに至るまで、国内でどのような闘争の歴史があったのか、わかりやすくまとまっていた。
北方領土問題も改めて考える切っ掛けになった。
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ロシアはシェールガスが出てアメリカに石油が売れなくなって日本に関心を持ち
、それが北方領土問題の改善につながるかもしれない。
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ベールに包まれている国の一つであるロシアの歴史と現在が、わかりやすく書かれています。さすが池上さんです。
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渋谷教育学園中学校・高等学校、同幕張中学校・高等学校での授業 2018.10
○世界初の社会主義国ができた。
・第一次世界大戦後、各国は社会主義体制を警戒し、「シベリア出兵」しソ連に干渉。
・第二次世界大戦後は、「冷戦」体制となり、米ソで互いの有利とみる国へ軍事援助。それが中東や南米などで独裁政権生む、または今日の中東内戦問題へとつながる。
○地政学的に、ソ連は自分の領土の周りに、いうことを聞く国を置いた。不凍港を求めた。
○ソ連の内政
・指針とするマルクスは資本主義は格差を生む根源で、やがて市民革命が起き、社会主義になり共産主義へとなる、と言っているが、社会主義体制の具体的な姿は示していない。
・スターリンは「計画経済」をとりいれた。が、あらかじめ生産高を決めて行い、私有財産が無くなると、工場労働者、農民とも勤労意欲が無くなり、生産性は落ちた。→計画経済は失敗だった。
・政治体制も独裁化し、それを守るために言論統制をした。
○ソ連崩壊へ
・1985年、ゴルバチョフが「ペレストロイカ(経済立直し)」「グラスノスチ(情報公開)」「新思考外交(マルタ島で冷戦終結宣言)」を打ち出し改革したが、結果は裏目に出た。
・1989.8.19ソ連が崩壊してしまうと考えた共産党幹部がクーデターを起こしたが、
・共産党のクーデターに反対する、ロシア共和国大統領エリツィンが権力を奪取。
・1989.8.24 ソ連共産党は消滅:エリツィンは23日、共産党の一時活動停止を命令し、24日ゴルバチョフはこれを受け入れ、党書記長を辞任し党中央委員会に自首解散を命じた。エリツィンは党財産の接収を宣言。
・1991.12月 CIS(国立国家共同体)設立
・結果的に旧ソ連邦の12の国々はすべて独立。
○エリツィンからプーチンへ
・エリツィンはソ連解散後の市場経済の国内混乱の建てなおしができなかった。
・プーチンが後継指名され大統領に。
プーチンの幸運:2000年頃から石油と天然ガスの値段が急騰し、中国やインドが成長し石油を大量に使うように、→財政潤う
<国民感情>
ゴルバチョフはソ連をぼろぼろにした、エリツィンはだたの飲んだくれだった。でもプーチンは経済を一気に建てなおしてくれた。でも知識人はプーチンによって経済が建て直ったわけではないのを知っている。
<北方領土>
・1855 「日露通好条約」で国後、択捉、歯舞、色丹は日本の領土、その先の千島列島はロシアの領土だと確定。
・1875 「樺太・千島交換条約」樺太はロシア、千島列島は日本の領有と定める。
・1905 「ポーツマス条約」日露戦争に勝利し、樺太の南半分が日本の領土に。
・1945.2月 ヤルタ会談でアメリカはソ連に日本への攻撃を依頼
・1945.8.9 「日ソ中立条約」を破りソ連は旧満州に攻める。
・1945.8.15 玉音放送。戦争停止。ソ連は千島列島に侵攻。
8.28 択捉島に上陸開始
9.1 国後島を占領。
・1945.9.2 国際法上の太平洋戦争の終結:東京湾のミズリー号上で降伏文書に調印
9.4 歯舞群島、色丹島を攻撃占領。
9.5. 北方領土をすべて占領。一方的にソ連に編入
・1950 国会の質疑「千島列島はどこまで含まれるか」に「歯舞、色丹は千島に含んでいない(すなわち国後、択捉は千島列島に含まれる)」と政府の幹部が答弁。
・1951 「サンフランシスコ講和条約」ソ連は参加せず。日本は千島列島と樺太の南半分を放棄。※1950の答弁では国後択捉は日本の領土でない、ということになってしまう。
.1956 1950の答弁を取り消して、国後、択捉は千島列島ではない、日本固有の領土だ、という言い方に変えた。
※地理的な考え方として国後、択捉は千島列島の一部だ、という考え方もある。政治的に判断して北方四島が日本固有の領土だ、という言い方は1956年から始まった。
・1956 ソ連と国交回復。しかし平和条約は結んでいない。平和条約とは国境を画定するという意味もある。この時フルシチョフ第一書記は、日ソが平和条約を締結した後に、歯舞と色丹は返還すると約束した。
○歯舞、色丹は1945.9.2に国際法上では戦争が終結していたのに侵略した、という引け目がある。日本政府も歯舞色丹だけが日本のものだと発言したこともある、なので、国境線画定時に歯舞色丹は返す、という話になった。
⇒なので、ソ連との間で国境線は確定していない。
・1960 日米安保条約改定が締結。敵国であるアメリカと同盟を結んだ国に歯舞色丹を返すわけにはいかない、と、ソ連はフルシチョフとの約束を反故に。→歯舞色丹を返せば、そこにアメリカの基地ができるかも、という思い。
・1993 東京宣言(エリツィン来日時、細川護煕首相と)。北方領土の帰属問題を解決し、平和条約を締結させることを確認する。
・2001 イルクーツク宣言(森喜朗首相とプーチン)1956の日ソ共同宣言が交渉の基本となる法的文書であることを毛国ン氏、東京宣言に基づき交渉を促進することに合意。
◇・2001の「二島先行返還」アイデア 衆議院議員鈴木宗雄、外務省分析官佐藤優で出された。森、プーチンで内々に話がまとまっていた。が、森首相が辞任、小泉内閣で田中真紀子が外務大臣に。田中大臣は拒否(田中角栄はブレジネフとの会談で、北方領土は存在しない、といっていたソ連に問題を認識させた実績あり、田中角栄は4島返還にこだわった)
・2013 プーチン・安部 初会談 ヨーロッパに天然ガスを売っていたロシアが、シェールガスのアメリカでの発見、ウクライナ内戦でヨーロッパへ売れなくなったり、などで日本を売り手先として考えた。という背景。
2018.11.19初版第1刷 図書館