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いい話でした。ドラマチックなつながりもあってその瞬間に胸がときめいたりして。
引いている新聞にこの人の短編が掲載されることがあります。少し淡々としすぎるのか詩的すぎるのかあまりの毒気なさに読み進むのがしんどくてじれったく感じるのですが、最後までがまん(?)して読むとやっぱりいい話で読後感がすごくいいのです。
今回もややじれったい…?そんな感じが少しありましたが、「波光」はずんずん読めていい話でした。
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なんとも素敵な連作短編集。この作家さんの物語を読むと、心が洗われていくようです。
①海神
優生は小学4年生。3年生の時、体育のマラソンの授業の時にお漏らしをしてしまい、そこから学校に行けなくなった。島で一人暮らしをしている夫の祖父の具合が悪いので、夫に頼まれ、母親の千佳と優生、それから妹の3人で祖父の元に向かう。痛み止めを飲みながら元気に振る舞うジイ。その時優生とした約束とは。
②夕凪
月島医院に勤める48歳看護師の志木。突然、老医師の月島は閉院すると告げ、閉院間近に失踪する。後を追うように瀬戸内の島にたどり着いた志木。なんとしても戻ってきて欲しいと説得するが・・・。
③波光
澪二は高校3年生。センター試験を目前に控えている。母親と喧嘩するような形で島で一人暮らしをするジイの元を訪れる。そこで、ジイはこれまで誰にも語ったことのない半生を打ち明けた。ジイにはたった1つの後悔があった。
あれ?もしかして一話目だけは単独なのかな?と思ったら、最後ちゃんと繋がりました。1つに繋がった時は、短編で読んだ時の感動が、倍以上の感動を伴って身体中を満たしてくれます。
ジイちゃんって偉大だなぁ。自分にとっての祖父や、早逝した父親のことを思うと、やっぱり敵わないと思ってしまう。
物語を読みながら、登場するジイや父親に、自分の祖父や父親を見るようで、本当に大きな心で守られていたことを実感しました。ありがとうございます。これからも素敵な作品を書いていってください!
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素晴らしいジイ3人との出会いに感謝します。 長きわたり人生を生きてきた3人に感動の嵐です。 3編それぞれの復活を後押しするジイの姿に感銘を受けました。 これは読んで見なければわからない涙なくしては読めない感動作です。
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大好きな藤岡さんの新作。
読むのを楽しみにしてました。
3編の中・短編小説。
瀬戸内の島の3人のジイ(おじいちゃん)の姿と思いが
年月を越える。
というお話。
『海神~わだつみ』
不登校になってしまった小学四年生の孫のため
瀬戸内の島に暮らす曾祖父が話したことは何か。
2人だけの約束とは。
『夕凪~ゆうなぎ』
老医師とそのクリニックに勤め、支え続けてきた48歳看護師の女性。
ある日、クリニックを閉院すると宣言した後老医師が失踪する。
老医師を探す看護師は瀬戸内の島に行きつく。
生きること、死ぬこと、老いてそれが身近になること。
迷いと強さに心が揺さぶられる。
『波光~はこう』
怪我で陸上競技に挫折した澪二。センター試験を前に
子供の頃訪れていた島にある祖父の家へ。
そこで知るジイの若い頃の話、親友の話。孫の澪二が受け取るものは・・
最後に緩やかに3編が繋がる。
ジイは凄い。ホント凄い。
必ず人は歳をとるけれど、3人のジイのように歳を重ねられるだろうか。
ただ立派ということでなく、迷い、戸惑い、そして力強くて、優しい。
人間らしく人間臭くてとても泣かされた。
「人生は短い 今日を限界まで生きろ」と表紙の折り返しに書いてある。
あー、もう無駄な一日過ごしてるよと思わず恥じる。
新年1冊目。いいのいただきました。
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「海神」、「夕凪」、「波光」の三篇所収。このうち、「夕凪」は「海路」の改編とのこと。そういえば、「海路」の主人公の行先は沖縄の島だったはずだが、瀬戸内海の島に変わっていたが、久し振りに読んだので、あらすじは覚えているものの再読して新鮮だった。「海路」と同様、ギリシア哲学に出てくるような「良く生きる」ことを分かりやすく小説にしたようなところがある。
「海神」も「波光」も、強い爺さんと、久し振りに会った孫・ひ孫のやり取りが感動的で印象に残る。藤岡陽子は、こういう仕立てが抜群にうまいと思う。すでにほとんどの作品は読んでしまっているが、さらに新作を期待してしまう。
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3つの連作。瀬戸内海を舞台にした3人のジイ。
キラキラの海が目に浮かぶ、優しい物語。
読み終えると登場人物がちょっとずつ繋がっている。
心が弱ってる人、体が弱ってる人、人はだれでも完全ではなくて、でも少しだけ勇気を出して、強くなれる。
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少し前に「老人と海」を読んだ。
これはまったく別w
3つの物語に出てくる3人のじいさんと美しい瀬戸内海の海が舞台の物語で3つの物語がそれぞれの時代の巡りあわせで3人の爺さんが繫がっていくので、思わずあれ?って前の章を読み返してしまった。情景の文字を追っていたら読み終えたって感じの最近難しい本が続いていたのでいい目と脳の休めになりました。
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「自分が自分でなくなることが怖いんだよ。誰からも相手にされないただの衰えたひとりきりの老人になることが」
老いる、ということは、人生の残された日々が僅かである、ということは、こんなにも胸が締め付けられるものなのか…老いに対する怯えがリアルにストレートに伝わってきた。
「人は人に対して繕うのであって、自然の中では繕う必要がない」
大海原を前にしたジイが語る言葉が静かに心に響き渡る。
残される者へ伝わるジイの熱量は計り知れない。
ジイと孫、というのもいいものだな、としみじみ思う。
年の離れた男二人、決して多くは語らないけれど、ジイの背中の大きさ・強さに憧れる孫はジイの教えを胸に、いつかジイを飛び越えて行くのだろう。
「逃げてもいいが、逃げ続けることはできないんじゃ。自分の人生から逃げることなど、できないんじゃよ」
「海を見ていると、他人とはなにも比較しないでよかった。自分は自分でしかない」
私も最期は、この表紙のような穏やかな海を眺めながら余生を生きたいものだ。
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海神(わだつみ)、夕凪(ゆうなぎ)、波光(はこう)の中編3作品。
海神は、心に傷を負わされた小学4年生の男の子とひいおじいさんの話。
夕凪は、東京で開業医をしていた医師が瀬戸内の島へ。
波光では、進路に悩む高3の少年が、突発的にじいちゃんちに行き…祖父の話を聞く。
3つの話の登場人物は少しづつ関係もあります。
どのお話も海の景色、お祖父さんと呼ばれる年代の人が語る人生観、いいお話でした。
この作家さん、好きかもです。
タイミングをみて、ほかの作品も読んでみようと思います。
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瀬戸内海の海を舞台にした3人の老人の連作短編集。
不登校の小学4年生優生とその祖父清じいの『海神』。
診療所を閉めると決めた医師月島とその診療所で21年務めた看護師志木の『夕凪』。
怪我で駅伝を諦めることになった澪二と島で私設博物館の館長をしている祖父城山の『波光』。
年長者の話には、その経験に基づく力強さがあります。
それぞれのジイにも歴史があり、その話を聞いた各人が、そのつまづきから立ち上がる気持ちになれる展開で、読後感はとても良いです。
最後の話は書き下ろしということなので、前編ふたつとの関連させる流れで一冊の本になっているんですね。
良い出会いでした。
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SNS時代、元号の変わる平成ラストの今日には明治 大正 昭和 平成を並べた写真の投稿が人気らしいけど、私はたまたまこちらを読んだ 笑。そして節目に相応しい本だった!
3編から成る話は、瀬戸内海に浮かぶ島に縁深い爺さんたちが主役の今風人情話です。
けっこうホロホロさせられてしまった。さすが現役看護師をしながらの作家さんで、様々に機微ゆたかで分かりやすい展開が心地よい。3話が見事に終わりにリンクするのも良かった!皆さんの高評価も頷けます(^^)
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最初のジイがすごく心に残りました。頑張っちゃう気持ち、実の親を見てると分かる気がします。お父さんも不器用で。でもきちんと気持ちが届くのは読んでいて嬉しい事。残りの人生が短くなる中での葛藤は今だからわかる事もあるし、まだまだ分かってない事もあるのだろうと思います。理不尽や苦しみ、喜びや幸せを抱えたジイの背中はカッコいい♪私もこんなバアになれるかな…。今のままじゃ無理だな…。
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いいお話。
3つの短編で、どれも瀬戸内海の小さな島のジィのお話。
1話目、海神 わだつみ。超短編。学校に行けなくなっていた小学4年生の優生が、ある日ジイとの約束を守る姿に涙が出た。
2話目、夕凪 ゆうなぎ。看護師と医師。医師が自分の医院を急に辞めて瀬戸内海の島に移った理由は。。
3話目、波光 はこう。怪我でスポーツ推薦が破談になった高校3年生の澪二と、石の博物館を準備するジイの話。
ジイが主人公になる話ってあんまり読んだことなかったなぁ。
私自身、祖父とあまり話したことが無いけど、こんなおじいさんがいて、経験に基づいた深い話をしてくれたら、すごくいいなぁ。
3つの話が最後にリンクする。
現役の看護師が著者だと最後に知って、妙に納得。
瀬戸内海に行ってみたい。
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いい本も映画も音楽も理屈じゃないですよね。心に直接作用する感動を信じるのが一番間違いないと思っています。
藤岡陽子さんは魅力的な老人を書かせたら天下一品です。皆スーパー老人長訳ではなくて実直に生きてきた老人がとても輝いていて、こうやって年を取りたいと思わせる力があります。
この本はまさに「海とジイ」。そう、おじいさんが輝いている本なんです。緩やかな連作で3人のおじいさんの物語が少しずつ重なります。誰も皆自分の中で抱えている悲しみや悩みを隠して、若い人達に毅然とした優しさで接する。とてもかっこいいけれど実際に表面に出てくるカッコ良さではないんですね。これがとっても渋いです。
これから高齢化がとんでもなく進んで行きますが、こういう老人になりたいと思わせる魅力を感じます。
この後老後破産という本を読んで陰鬱になっている所なので、この本のように強く優しい老人になりたい・・・。
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それぞれの人生を、様々な事情や思いを抱えながら生き抜いたジィ達の背中は大きくて、そんなジィ達の言葉や思いは、とてもとても重いものであるなと、感じました。
特に、最初のジィには感動して涙が出てきました。
また、最後(3話)のジィと繋がりがあり、3話目を読んだ時に改めて、最初のジィの人生の深さが伝わってきて、鳥肌が立つような感覚を覚えました。それぞれの話に繋がりがあるのも、面白さがありました。
心の温まる、心に染み入る、素敵な1冊でした。