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紙の本

近代の落とし物を探しに

2018/12/10 20:07

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:浦辺 登 - この投稿者のレビュー一覧を見る

石牟礼道子という、天界から地上に降りた天女の回想録。
 初めて、石牟礼道子の作品を読んだのは『苦海浄土』だった。
 なぜ、この一書を手にしたのかは、不明。
 しかし、この作品が、あまりに地上の現実の物語であったため、フィクションとして絶賛された。
 ところが、ノンフィクションだという。
 中央(ここでいうのは東京)の編集者も、転がされた。
 以来、石牟礼道子という名前は、鮮烈に、脳裏に刻まれた。

 そして、渡辺京二という現世における最高の思想家が、石牟礼道子の側にいたことを知る。誰もが、渡辺京二が石牟礼道子作品のゴーストライターだったのではと疑っても致し方ない。
 しかし、実際は、そうではない。

 読了後、語彙力の欠如を、痛いほど示された。
 まだ、まだ、まだ、というより、言葉を操る者は天性の感覚が無ければならないと悟った。

 某新聞社のM記者が、これほど、石牟礼道子の近くにいたことを、初めて知る。
 時折、会合で会うが、そんな事々を微塵も感じさせない。
 次回、会う時を楽しみにしたい。
 石牟礼道子ワールドを垣間見たい。

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