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源氏物語が好きだ。光る君に憧れていたわけではなかったと気付いたのは、実は年を重ねてからだったが。彼は好き勝手をしているようで、結局何一つ思い通りにならなかったのかもしれない。ただ待つだけの時代でも女は強いのだ。で、この花房作品である。時代を移した現代で、佳人薄命と言われる夕顔も、初心だと思われた女三宮も、花房作品ではもちろん男の幻想の中の姿のままでいるわけがない。男性目線で書かれているためか、女を下に見ている男たちがなんとも小さく可愛らしく見えてくる。殊に男の妄想とファンタジーをバッサリ斬る最終章は圧巻。
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2019年、2冊目は昨年末に購入、今年の初読み用にとっておいたモノ。
性愛小説の女王、花房観音が、『源氏物語』を下敷きに平成の世に送り出した短編集。七編収録。
今回はタイトルのみ紹介。
『夕顔』
『若菜』
『朧月夜』
『藤壺』
『葵上』
『紫の女』
『光る君』
ラスト、『光る君』以外は、久々、花房観音の濃厚コッテリ系官能が楽しめる、性愛官能系に振りきってます。
『源氏物語』は中、高の教科書程度しか知らなくても充分に味わうことが出来る。かく言う自分も、約25年前に、現代語訳サラっと読んだ程度。
花房観音と言えば、女性の情念ドロドロ系が得意とする処。しかし、もぅ一方で、人の本性、本質の部分で、「価値観の転覆」的なモノが個人的に好きなポイント。今回は後者に、ガッツリと比重が置かれている。三角関係的題材がほとんどだが、主人公からしたら、正三角形、二等辺三角形、直角三角形に見えていたモノが、立体的に見ると、歪つな三角形だったり、直線でさえなかったり、破線であったり、といった造り。
官能場面の細々したトコを取っ払っても、十二分に読み応えあり。
官能としても、中身としても、『紫の女』はどストライクな一編❗
やはり、2019年も目が離せない作家の1人。総合評価★★★★☆は文句なし‼️
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源氏物語になぞらえた短編集。
源氏物語を知らない私でも読めました。
シナリオ的に、ん?と思う部分もありましたが、エンターテイメントとしては楽しめました。
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「源氏物語」をモチーフにした現代版源氏物語といった感じの短編集。 この作品は、そんなに過激な描写はないけど、やはり京都という土地の持つ淫靡、妖艶、魅惑的というような感じが、花房さんらしくていい。 最後の光る君、鈴音からの言われようは少し気の毒な気がしないでもないけど、ここで心を入れ替えられれば、それはそれで素敵な男性になれるのかもしれない。