紙の本
言葉は、もっと自由にもちいてよい
2019/11/09 19:00
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:miyajun - この投稿者のレビュー一覧を見る
「若い人は、本当の貧しさを知らない」と、うなずいてばかりいては、ダメですね。
言葉が、思考停止をもたらすようでは、本末転倒。
『新潮45』のくだりは、なにか、作為的なものを感じないではいられない。
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投稿者:ろろろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
日常に転がる見過ごしがちで何となく違和感を持っている気持ちを言語化してぶった斬ってくれているので気持ちいい
なるほど!と首肯しながら爆笑してしまう文章のセンスたるや!
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投稿者:イシカミハサミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
武田さんの文はお金を出して読んだのは初めてだけれど、
無料で読めるものはいくつか触れていた。
その時のねちねちしたイメージ(褒め言葉)で読んだから、
あまりの切れ味にちょっと半身になってしまうところもあった。
世の中のヘンなところをつんつんつつく文章は大好きだけれど、
大仰に政治家をサゲる文章はあんまり楽しくない。
なぜなら、彼らは「国民の縮図」だから。
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この本を読んで「わかるわかる」という反応をしても
馴れ合い予定調和の枠組みの中で自分が傷つかないように
発信していると思われそうで、
分かりにくかった個所をあげたら自らの世界にとどまり
理解を放棄しているように思われそうで、
そう思ってしまうこと心地よい世界にとどまるために
自分を守っているようで。
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最初の方を少し読んで、町山智浩の本が割り込んだので、読了が前後した。
メディアで慣用的になって来た様々な言葉から、社会を批判している本である。
僕は非常に浅はかな人間なので、どの章も感心して読んだ。
ここは、批判的に読むべきではないかと思うが、やはり、感心してしまう。
時折、所々を読み返したい本である。
この本を読んで、本田靖春の自伝を読みたくなったが、今日訪れた書店には無かった。必ず探して手に入れたい。
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自分自身ともすれば紋切型の言葉で、会話に予防線を張る人間なので耳が痛い。言うなぁ「うちの会社としては」って。「逆にこちらが励まされました」には常々違和感を感じていたから面白かった。
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面白い。ほんの10ページ読んだだけで感想を書いてしまっている。髭男爵のラジオでの会話を聞いて社会への切り口がおもしろいと思って手に取った本書だが、皮肉がきつくネットに転がってる低俗な皮肉とは違った格別な語り口で非常に心地よい。
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社会で、日常生活で、なんとなくニュアンスが伝わりやすいから、もしくはなんとなく責任の所在をぼかすことができるから、あるいは何も考えず、ぽんぽんと発せられる「紋切り型」の言葉。この意味を解体しひとつひとつ切り開いて解きほぐしていく。
人の発する言葉がいつでも正解不正解に分けられるわけではないけれど、とにかく「考えて」言葉を発すること。言葉に鈍感にならないこと。そして発言したからには責任をもつこと。そうすることが某特番よりもよっぽど「地球を救う」と思う。
個人的には2つめの章「育ててくれてありがとう ー親は子を育てないこともあるー」で泣きそうになった。国が、世間が規定する家族に当てはまらない人がいる中で、というよりむしろ、まるまるぴったり当てはまる家族なんて一つもないくらい個々事情のあるものだと思うけれど、そんなことは一つも考えずに紋切り型の言葉で家族を押し付けられることの苦しさ。
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自分でも意識せずに使ってたかもしれない言葉、フレーズについて、揚げ足取りと皮肉によってそのモヤモヤした部分がどのように紋切型の働きをしているかを明らかにしていく。
至極まっとうなのに、とっ散らかった文章ですごく面白い。
新潮文庫で新潮45問題を批判しているのも見どころ。
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ここに上がっている言葉のどれか一つでも違和感を感じた人には読んでもらいたいと思う。その言葉を意識せず、発する事は、結局自分自身の思考停止にもつながる。そうならないように、言葉の持つ意味を解体と言わないまでも違和感を持ち続ける感覚を保持したいと思う。
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2019年12月2日読了。
2015年「Bunkamuraドゥマゴ文学賞」受賞
⚫️紋切り型…
⚫️糸井重里 “弟子と社員の違い”について
「弟子っていうのは、極端にいうと叩いてもいいんですよ。
その人が食っていくために『原料』を仕込んでいるところなんで
麦踏みしてもいいいんです。そりゃ実際に叩きはしないけど
自尊心をズッタズタにしてもいいし、 そこまでしても向かって
きてくれる人じゃないと、その宗派の教えは伝わらない 」
「心をぶん殴るような弟子とは逆で、(社員は)
『守ってやんなきゃいけない人』なんですよ」
「守ってやんなきゃいけない人に対してダメ出しする時には、
『どこが悪かったと思う?』って話になるし。『惜しかったね』って
話になるし。『これでもいいけど、ここをこうしたらもっと面白く
なるんじゃない? にもなるだろうし。』 」
その上で、今は弟子がいない、とした。
⚫️P161
文芸誌の編集をしていた頃、対談を頻繁にまとめていたが
まとめるにあたっての力点として教え込まれたのが
「あるひとつの対話が終わったとしても、その対話で共振した部分や
相容れなかった議論は、後々になって再び形を変えて出てくる 」
ということ。
⚫️P202
青色LEDの発明でノーベル物理学賞を受賞した中村修二と
日亜化学工業の間で繰り広げられた“発明は誰のものか”
政府は、 「発明は社員のもの」から「発明は会社のもの」へと
移行させるべく特許法改正案を閣議決定した。
⚫️オノマトペ…
⚫️P221
語尾による日本語の規定、そして性別の撹乱、ここを掛け合わせたり
引き算したりすると、日本語から新たな態度を取得することができる。
言葉のコスプレはまだまだ手つかずだ。特に語尾は狙い目だぜ。
⚫️欺瞞(ぎまん)…
⚫️成熟した人間とは、簡単に、人の人生に介入してこない人のことを
いうのではないかと思う。未成熟な言論を論じる人たちは、人の人生に
介入して、その動きを鈍くさせる自由が言わんばかり。
彼らは、いつまでも言葉が届かない仕組みを活用している。
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巷間に溢れている「紋切型」の言葉が世の様々な出来事や社会そのものを規定している様をつぶさに見据え、「紋切型」で規定された物事をばっさりと斬り、そこに新たな見方を、光を、時には紋切型がもたらす以上のアイロニーを、武田砂鉄という人は本書で示して見せた。文庫版で追加された章を含め、全部で21章。本書で斬られてゆく紋切型の中には、自分でも思わず使っていて、はっと思わされる言葉もある。紋切型の社会を形成する片棒を、自分も担いでいたのかと、少しばかりの恥ずかしさを覚える。
武田砂鉄という人は、Web上のコラムなどで、胸のすく言葉で物事を斜めに見ることのできる人、という印象を持っていた。だから本書を手にした。あらためて一冊の本になった武田氏の文章を読み、さらに胸に風穴が開いた気持ちになった。とにかく面白い。快刀乱麻を断つごとく、「紋切型」に溢れた社会を、その「何」が紋切型なのかを明らかにすることで結果として本質をむき出しにして見せてくれる。
言葉の力を信じて、武田氏はとにかく容赦なくバッサリ斬って、斬って、斬りまくる。本書は「新潮文庫」から刊行されているが、文庫版刊行の際に追加された最終章で、氏は『新潮45』に寄稿された記事を斬ってみせた。少々頭の悪い政治家が(余談だが、最近の国政周辺の連中の顔を見ていると、むしろ「頭の悪さ」が政治家になるための、あるいは閣僚になるための必須要件ではないかと思えてくる)、LGBTを「生産性のない奴ら」と差別的発言で揶揄した「あの記事」である。文庫版で追加された章で、このテーマをあえて冒頭に『新潮45』の名前を出してから論じるところに、著者のアイロニー性を感じる。そして、氏の持つ批判的精神が羨ましくなるのである。
気をつけよう。みんなが使っていて、耳ざわりが良くて、何となくかっこよさそうで、そして空虚な、巧みに自分の責任をかわすような言葉ばかりを使って生きることのないように。そうでなければ、いつしか紋切型の日本という国に、それを牛耳る馬鹿者どもに切り捨てられても、そのことにすら気づかないまま過ごしてしまいそうだから。
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わかりやすさの罪を読んでとても面白かったので、著者の代表作と言われる本著を読んでみたけれども、処女作というだけあって、わかりやすさの罪で書かれていた主張の萌芽を感じます。
多分8割くらい内容理解できていないと思うけれども(笑)、大きい言葉、お決まりの紋切型の言葉で、想像力を断ち、違和感やモヤモヤを放置させようとする圧力に敏感でありたいし、都度立ち止まって自分の態度を振り返りたい。
ある事象をカテゴリー化して、なんとなくの違和感で断罪するのは暴力的だ。そのカテゴリーが正義っぽいもの(フェミニズムや人権主義)に対する理解のない主張だったとしても、何に違和感を感じ、何に異論を唱えるのか、考えることをやめては差別主義者と同じになってしまう。自戒をこめて。
都度立ち止まって考え、そこで語る自分の言葉に責任を持つ。自身が身を置く構造に冷静でありたい。自分が紡ぐ言葉(思考)をもう一度疑いの目を持って眺めたい。目の前の仕事に忙殺され、ポジショントークに慣れてしまうと、その大切さが見えなくなってくる。この自覚を忘れずにいたいものです。
それにしても辛辣で痛快すぎる武田さん、、何度も電車の中でニヤニヤしてしまいました、、(笑)
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紋切型社会、本当にそうだな。右か左、イエスかノーで割り切り過ぎる社会。全て割り切れるものではなくグレーがたくさんあり本当なのに。わかりやすさ第一と考えていたが、わかりやす過ぎるのも危険なのかな。
自分の言葉の軽薄さにあきれてしまう。もっと注意深く言葉を使わなければと思うし、改めて政治家や一部言論界の酷さに閉口、反吐が出そうになる。
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著者を知ったきっかけとなった本。今ではラジオで引っ張りだこで、興味深くお話を聞いているが、これを初読みしたときは「なんて理屈っぽい人だろう」と思った。読み進むうちに、自分の中でも なんだかもやもや→違和感満載→うんざり→大っ嫌い と思われる世の中の様々な表現や現象を理路整然と解釈してくれる本作は名著だと思うようになった。こんなに明晰に分析できたら気持ちいい。