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初出2016〜18年「小説野性時代」
江戸時代の「お茶壺道中」は、幕府が宇治で買い付けた茶葉と抹茶を江戸まで運んだもので、天下太平の象徴でもあったのだという。
上級武士に愛好された茶は、幕末にその庇護者を失ってゆき、横浜から輸出されて品薄による高騰という、激動の時代を迎える。
宇治から江戸の葉茶屋に奉公に出たお茶壺道中大好きの仁吉は、茶葉の産地を当てられる能力があり、入れる煎茶で飲む人を癒し、宇治茶の生き残りのため、店の生き残りのために奮闘する。若くして番頭になり、茶葉が産地から入らなくなると、海路で運んだり、お茶屋が海苔も売る今に続く不思議の起点にもなる。
まわりに仁吉を支えてくれるいい人たちがいて、時代の荒波を越えようと頑張る青年のすがすがしい物語になっているのだが、番頭から主任になって店を継いでからの明治の生き残りの苦闘も描いて欲しかった。
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宇治から江戸までのお茶壷道中。何より、この道中を見ることが大好きな仁吉の、お茶とともに歩く人生の物語。
幕末の不穏な空気の中、武家を相手とした商売は次々と不況になる。
新しい横浜という場所で、外国相手の商売。
何がこれからのお茶の産業に必要か。
仁吉は波乱万丈の中、うまいお茶を守り抜く!
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仁吉の人間としての実直さと成長に惚れ込む話
人は一人では生きられないなと改めて思う
美味しい茶が飲みたくなる
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将軍に買い上げていただいた極上の宇治茶を詰めたお茶壺が宇治から江戸へと上がる〈お茶壺道中〉を毎年楽しみに見に行く仁吉。それは江戸の葉茶屋〈森山園〉で奉公するようになっても変わらず、店の者や主人に呆れられ皮肉られながらも見に行く。
「ずいずいずっころばし」がこのお茶壺道中を歌っているものとは初めて知った。あの不思議な歌詞は道中が去るまで静かにしていなければならない、そのくらい厳かなものであり宇治の人々にとって〈お茶壺道中〉は誉でもあるという証なのだ。
しかしその〈お茶壺道中〉が長く壮麗であったのも泰平の世だったからこそ。物語が幕末から始まりいよいよ徳川の世も終わるという時期に差し掛かるため、〈お茶壺道中〉はどんどんと簡素に、更には道中そのものがなくなるのではないかという危機感も差し迫る。何しろこの頃の京都は物騒真っ盛りなのだ。
それはすなわち葉茶屋〈森山園〉の商いも大きな転換点に差し掛かっているということで、若い仁吉はお茶に関する知識と能力、手腕を買われ〈森山園〉存続のために奔走する。
意地悪な女主人や腹にいろいろ抱えていそうな本店の主人など厄介な人物に困らされ苛立たされながらも一方で役人の阿部正外や幼馴染の良之助、商売敵だがいろいろ教えてくれる元吉など支えてくれる人もいて、仁吉改め仁太郎は真っ直ぐに、だがしたたかに頑張っていく。
梶さんらしく最後がバタバタになってしまったのが残念。肝心の明治維新になってからの話を読みたかった。この荒波を仁太郎はどう乗り切ったのか、良之助が奉公する本店〈森川屋〉はどうなったのか。
最後の〈お茶壺道中〉の侘しさといったらない。周囲の人々には迷惑もあったかも知れないが、壮麗な〈お茶壺道中〉は泰平の世の象徴でもあった。
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L
途中まで、お尻がムズムズする感じ。宇治のお茶を愛してやまない仁吉の一代記。後半からギュッと閉まるので諦めないのが吉。
わたしは幕末に興味も知識もないのでさらりと読んでしまったが、史実に基づいた事件に遭遇したり、きっと史実のひとなんでしょ的な名前も出てくる。知ってる人は数倍楽しめるはず。
そして仁吉は数年で人はここまで成長できる!ってくらい人が変わっているような。20歳で肝が座りすぎてる気もするがこんなもんか。後半、倒幕前の激動の時代。人が生きていくことはわからないけど国が変わるってことは精神的にきそう。そんな時代の不安感もでている。
どういう終わり方するのか興味あったけど、かわせみが新かわせみになったくらい晴れ晴れしてた。
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江戸後期のお話。
宇治で生まれ、江戸で茶葉を販売するお店で働いている男の子が主人公。
徳川家に購入されるお茶を作っている宇治のお茶に誇りを持っている。
お茶壺道中の変化や、売上のメインが碾茶から煎茶に移り変わる様子、横浜の開港など、時代の変化によって武士やお茶の地位が変わっていく様子が描かれていて、興味深かった。
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お茶壷道中なるものがあったということは、昔「綾鷹」かなんかのキャンペーンサイトで見た気がするんですが、「ずいずいずっころばし」がお茶壷道中を歌ったものだったとは知りませんでした。前に読んだ『万波を翔る』や『グッドバイ』と同時期のお話なので分かりやすかったですが、なんかこう全体にふんわりしてるというかざっくりしてるというか、切実な感じが薄かったような気が。あと、終盤がいきなり年数経ちすぎてて、そここそ面白いところなんでは…という気もしました。