紙の本
良くできた実務書
2019/12/16 16:47
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:陽だまり - この投稿者のレビュー一覧を見る
手探りで実務をやっているので、常に手許へ置いて参考にしています。
特に「計画の立て方」「評価の行い方」は、とても参考になります。
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内部統制3冊目。著者の浅野雅文氏は公認会計士で内部統制実務のコンサルタント。
感想。3冊目で一番実務イメージがわいた。3点セットの作り方とか。
備忘録
・内部統制の仕組み作りを監査法人に過度に期待してはいけない。公認会計士法の第1条で「独立した立場」であることを指示されている。具体的には被監査会社のプロジェクトメンバーになることや、経営者に代わって内部統制の有効性を評価することや、運用テストをすることは禁止されている模様。よくアドバイザリー契約とかあるが、これは解説や助言程度に捉えたほうが良い。また良い監査人とはリスクを取らない監査人という考えもあり、被監査会社の実務面とのバランスが取れないケースも心配。
・監査法人は内部統制の有効性を監査する訳ではない。極端な例では、社内に重要不備があっても、その事実を含めて、経営者が内部統制報告書を開示すれば、その報告者に対し「適正」と意見する。
・内部統制対応で大事なのは先ずは人選。会計知識と、会社の本業実務の知識が必要。
・「内部統制の目的」は4つ、業務、財務、法令遵守、資産保全だけども、金商法上で求められる内部統制報告制度(J-SOX)の対象は「財務」だけ。それを開示するのが内部統制報告書。会社法上は業務や法令遵守、資産保全も対象で、監査結果は事業報告書の形で既存の株主のみに報告される。
・この本では、「無用に内部統制評価の範囲を広げず、必要な部分に絞って、効率的にやりましょう」と提言しているようです。
・文書化作業が大変です。作成すべき資料の代表が、業務記述書・フローチャート・リスクコントロールマトリクスの3点セット。ただこれは指定されたルールではない。
・安易に既存の社内文書から3点セットを作らない方が良い。理由は①社内文書と実務に既に差異があるケースが多い、②実務の監査ポイントの差がある(無用に評価範囲を広げ自分の首を締める)。ポイントは、「業務フローが網羅されつつ、財務報告リスクが合理的な水準まで低減できること」。
・フローチャートは、作るのは手間だが、これがあると周りのみんなが助かる。
・監査人にとって最も重要なのがリスクコントロールマトリクス(RCM)。
・コントロールされてない=内部統制上の財務報告リスクがある、ではない。内部統制上の財務報告リスクがある部分を特定し、そこをコントロールする、というアプローチが大切。
・ウォークスルー(WT)手続。評価対象となる業務プロセスを一つ抽出し、そのサンプルで、整備状況の有効性を確認する手続。
・運用テスト(TOE)。Test of Operating Effectiveness。
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企業が整備及び運用すべき内部統制の基本的な考え方が大方詰まっていた。IPO前の企業がJ-SOXに対応するための内部統制について、十分ではあるがやり過ぎずない物を設計する必要について分かった。