紙の本
野球ノンフィクションのオムニバス決定版
2020/05/28 16:04
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投稿者:YK - この投稿者のレビュー一覧を見る
Sports Graphic Number誌上で野球の記事を数多く執筆されている石田雄太氏による、平成のプロ野球を俯瞰するノンフィクションのオムニバス。Number誌上で掲載された記事や、書下ろしで構成されており、平成元年から平成30年まで、各年1名ずつの記事で平成のプロ野球を振り返ります。
平成元年~平成10年は、中畑清、与田剛、清原和博、西本聖、野中徹博、長嶋茂雄、野村克也、伊藤智仁、桑田真澄、王貞治。
平成11年~平成20年は、星野仙一、杉浦正則、中村紀洋、松井秀喜、高橋由伸、和田毅、今岡誠、イチロー、松坂大輔vsイチロー、山本昌。
平成21年~平成30年は、斎藤佑樹、ダルビッシュ有、谷繁元信、栗山英樹、則元昴大、秋山幸二、藤浪晋太郎、川崎宗則、松坂大輔、大谷翔平。
名前を見るだけでも「あー、あの頃なぁ」と思い出せる人も多いはず。特筆すべきは、各年のMVPとなる選手を列挙しているわけではなく、監督として記事になっている方もいれば(長嶋氏、王氏、野村氏、星野氏、栗山氏など)、プロで大きな実績をあげていなくても、強く印象に残る選手(野中氏、伊藤氏)や、全盛期を過ぎても自らの理想を求めてもがいている選手(桑田氏、松坂氏)、そしてアマチュアの杉浦氏など、本当に幅広い視点で人選されている点です。
こうしてみると平成10年ごろまでは昭和の名残、平成20年以後は現在の令和に至る流れが実感できます。
野球が開幕しない今年、こんな本をゆっくり読んで、いずれ訪れる開幕を心待ちにするのもよいのでは。
これと同じような企画で、サッカー界も取り上げてもらいたいと思います。
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【野茂、イチロー、大谷。平成野球を振り返る】野茂の剛球、清原の豪打。桑田、松坂が吠え、イチローが、大谷が翔けた平成の野球、その30年を彩った野球人30名の熱き物語。
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平成30年間、日本プロ野球人を取材し、雑誌記事を書き続けた著者。平成野球の取りまとめとして自身の記事から30名のプロ野球人のインタビュー記事を厳選。この一冊で平成の日本プロ野球界を総括する。
登場する野球人は昭和のスター選手を経て名監督に評価された長嶋、王、野村、星野。メジャーに挑戦したイチロー、松井、松坂。そんなスーパースターもいれば、わずか数年の輝きだけで引退してしまった選手たちも。
野球界における平成とは、オリンピックやWBCにプロ中心の日本代表が参加し、日本人が当たり前のように海外プロ野球に挑戦した時代だった。鎖国から開国を経て、近代国家となった明治維新のようなものだ。そして、維新のきっかけ、黒船来航に例える事件とすれば、野茂のメジャー挑戦だろう。その野茂が本書に登場していないのはちょっと残念。
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思えば平成の初期はまだまだ昭和の名残で
巨人中心のプロ野球でした。
それがストライキを経て、メジャーリーグ
への移籍、パ・リーグの人気上昇もあって
現在では様変わりです。
令和の時代は日本のプロ野球はどう進化
していくのでしょうか。
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さすがナンバーというような、しっかりしたインタビューと取材に基づく、良質の文章で、平成プロ野球を振り返れる本書。
昭和の終わりに生まれ、”劇空間プロ野球”をはじめとする民放のプロ野球放送で育った私にとっては、まさに少年時代を鮮明に思い出すことが出来る良書。
この本の価値を減ずるものでは決してないが、登場する選手を球団でカウントすると(複数球団在籍した選手は、在籍が一番長い球団でカウント)、若干の偏り(巨人が5、ロッテ・広島が0)がみられるのが、著者が一人であることの限界か。
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年々、プロ野球への興味は薄れているのですが、それはたぶん、いまだに漂う昭和的な、非合理的な体質への違和感がますます大きくなっているから。だけど、久しぶりのこの野球本は面白かった。雑誌Numberなどで活躍するライター、石田雄太さんによる、平成30年間の各年を代表する30人へのインタビュー集です。
中畑、与田、清原、西本、野中、長嶋監督、野村監督、伊藤(智)、桑田、王監督、星野監督、杉浦(正)、中村(紀)、松井、高橋(由)、和田(毅)、今岡、イチロー、松坂、山本(昌)、斎藤(祐)。ダルビッシュ、谷繁、栗山監督、則本、秋山監督、藤波、川崎(宗)、大谷
30年もあれば、これだけ幅のある選手が揃う。活躍した選手のインタビューもよいけれど、印象に残ったのは、ケガや手術から復帰した選手の姿です。特に、同学年ということもあって、桑田の肘の手術からの復活劇には、あらためて感じ入りました。
桑田やイチローのような本物のアスリート、プロフェッショナリズムを持った選手がもっと増え、マスコミも野次馬的なノリじゃなく、アスリートとしての姿を報道してくれると、まだまだ野球も面白くなるような気がするんですけどね。