紙の本
カナダの作曲家グレン・グールドについて愛してやまない吉田氏がその思いを語ってくれます!
2020/05/14 11:43
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、カナダの作曲家グレン・グールドについて吉田秀和氏がその思いについて書いた作品です。グレン・グールドは、1955年にバッハの『ゴールドベルグ変奏曲』をレコードで出し、世界で一大センセーションを巻き起こしたのですが、日本での評価はそれほど高くはありませんでした。吉田秀和氏は、それに対して、「ピアノの歴史を変えるといっても過言ではない、これほどの名演奏を前にして、これほど冷静でいられるとは、日本という国も本当に面白い国である」と述べられています。吉田氏が愛してやまないグレン・グールドの音楽について、思う存分に語ってくれる一冊です!
投稿元:
レビューを見る
『バッハ』に続いて文庫化された本書には、著者の音楽評の中から、グレン・グールドについて書かれたものが収録されている。
基本的に不調法な読者であるので、グレン・グールドの名前は知っていても、その演奏を聴いたことはない。少なくとも意識的には聴いていない。しかし本書の中には、演奏を聴いた上で読むべきテクストも含まれており、折角なので探してみれば良かったとも思う。外で読んでいたからな……。
ところで、著者が運悪くグールドの生演奏を聴き損ね、その後、結局、録音でしか聴く機会を得られなかった……というエピソードは、演奏会というものが如何に一期一会であり、その場限りのものであるのかということを象徴しているなぁ。
投稿元:
レビューを見る
あちこちに出したエッセーをまとめたもの。
グールドといってもゴルドベルグ変奏曲ぐらいしか知らず、その人となりを知りたいと思って手をのばすと本書はちょっとつらい。
内容的にはグールドの演奏に関する批評で、それもピアノの技法的なことが専門用語を使いながら語られる。グールドが音楽会に与えた衝撃や、貴重な公演を聴くチャンスを著者が逃したことなど、門外漢にも分かる話題はあるものの、ピアノ演奏についてある程度の素地がないと半分も理解できない。
投稿元:
レビューを見る
吉田秀和のグールドにたいしての愛情が伝わってくる批評集だった。賛美だけじゃなく、批判も書いていくのが好きなスタイルだったし、批判も気持ちよく読めた。また時々、美しいけど、突っ込みを入れたくなる、装飾された文章が出てくるあたりも好きだ!
投稿元:
レビューを見る
2020/04/17 読み終わった。
唯一無二のピアニスト、グレン・グールドのことを、吉田秀和さんがいかに好きかを大体同じ切り口で何回も伝えてくれる本。エッセイ集みたいな感じ。収録されている一番古い文章は1967年に、一番新しい文章は1995年に書かれた。
グールドが死んだのは1982年なので、生きている間と死んでからの文章に分けられるんだけど、死んでからの文章の方が面白い。死後にもこんなにファンがいて、著作が増えて、論じられているという事実だけでも、グールドの魅力が分かる。
ちなみに、グールドが生きている間に書かれたものはだいたい「生で聴いたことがない悔しい」なので、4回目くらいで「分かったよ!」て突っ込んじゃう。