紙の本
日本の移民政策はどうなるのか?
2020/07/28 09:34
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投稿者:amisha - この投稿者のレビュー一覧を見る
知りたくても、個人的な内容なだけに、聞くのが憚られるが、これほどわかりやすく、移民として暮らした半生を綴った文章があるだろうか。
YA向けだと思うが、読解力があれば小学生でも、おやこでも読める内容である。
日本の移民政策が前時代的であることも、彼女の体験の端端からよくわかる。彼女のこれからの活躍に期待したい。
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移民・難民のことを題材にした小説を読んだので、実際にイランから移民として来日したイラン人の女性が書いたこの本を手に取ってみました。
著者のナディさんは6歳の時に出稼ぎにきた両親に連れられて来日し、言葉も分からず、イスラム教とは全く違う文化や習慣、そして日本の移民制度の高すぎる壁を乗り越え、周囲の援助と家族の絆に支えられ生きてきたイラン人の女性です。
当時、出稼ぎに来たナディさんの両親はもちろん就労ビザなどなく、3か月の短期滞在の資格のみで日本に滞在し、不法に働いていました。この頃の日本はバブル景気に支えられ、不法滞在の外国人達は安価な労働力として、日本の各企業の下請け会社などで滞在資格のあるなしにかかわらず簡単に働くことができていたのです。
ナディさんは、まったく分からない日本語を日本のテレビなどで学び、その後、小学校の4年生から小学校に通うことができるようになりました。そして、勉学に励み、ついには日本の大学までいけるようになったのです。
このように書くと、簡単な様に思えますが、彼女が血のにじむような努力をして日本語を学んでいった状況には頭が下がります。
最初に、近所の日本人のおばさんからひらがなを習い、学校に入ると漢字を習うのですが、まず、4年生から小学校に入ったナディさんは漢字をほとんど知りませんでした。漢字の書いてあるテストの問題が分からず、テストで0点をとり続けたのは彼女にとってかなり精神的にストレスだったということです。
僕たちが考えると、外国人なのだからしょうがないじゃないかと思いますが、そう簡単には割り切れないのですね。
そして、もう一つのプレッシャーが、いつ両親が不法滞在で逮捕されてイランに強制送還されてしまうのではないかという不安です。
実際に彼女は、正規のビザを受け取るのは高校生になった時なのですが、それまでは、不法滞在のままで日本に滞在しているという立場を彼女は非常に恐れていました。
もし、当局に捕まり、イランに強制送還されてしまったら、日本でここまで努力したことが水の泡となり、そして一からまたイランでやり直さなくてはならないのかという恐怖に苛まれていました。実際に、彼女の知り合いのイラン人達は日本での滞在を希望しながら何人もイランへ強制送還されていったのです。
また、日々の生活も不自由を極めました。
不法滞在の彼女には当然、健康保険は適用されません。病院にかかると保険は適用されませんので全額負担です。
そのため、彼女は酷い捻挫をしても家計に負担をかけてしまうと思い、痛みを我慢して病院にも行けなかったのです。小学校で、彼女の同級生たちが風邪や怪我で簡単に病院に通うことができたのを見ていて本当にうらやましかったということです。
来日してから11年後、彼女達一家は晴れて日本での滞在許可を得て、日本に滞在できるようになりました。そして、それを機にイランに一時帰国することになります。
11年ぶりにイランに帰ったナディさんが感じた感情は非常に複雑でした。
イラン人であるはずの彼女をイランの現地の人達は『外国人』だと認識していたのです。
もちろん、ナディさんの顔や姿はイラン人なのですが、6歳から11年も日本で暮らしていれば、やはり仕草や雰囲気が日本人の様になってしまいます。
彼女がイランのお店に買い物に行っても「どこから来たの?」とまるで外国人旅行者のように扱われるのです。
ナディさんは「自分はいったい何人なんだろう。イラン人でもなければ、もちろん日本人でもない。いったい私は誰なの?」と思い悩みます。
そして、日本に戻り、様々な人達との交流を通じて、自分は「イラン系日本人なのだ」と自分のアイデンティティーを見つけるのです。
この自分自身を見つけたナディさんの心情を感じ、こちらも胸に熱い想いがこみ上げました。
僕は、今まで多少は難民や移民のことを分かっているかのように感じていましたが、この本を読んで、その考えがいかに浅はかだったか思い知らされました。
ナディさんは、現在、仕事持ち、結婚し、お子さんも二人いらっしゃいます。そして、ナディさんにとっては、もう日本が「ふるさと」なのです。
これから僕たちはますます外国人の方と接することが増えていくでしょうし、外国をルーツとする外国人系の日本人も増えていくでしょう。
しかし、そこには想像もつかないような問題が持ち上がってくるかもしれません。
「我々は労働力を呼んだが、やってきたのは人間だった」
この言葉は、50年以上前にスイスを代表する作家マックス・フリッシュが述べた言葉です。
当時のスイスは、自国の労働力不足から外国人労働者を大量に受け入れましたが、その為にバランスが崩れたスイス国内は混乱し、外国人労働者の排斥運動なども起こりました。
このマックス・フリッシュの言葉の二の舞を避けるためにも、僕たち日本人全員がこの移民・難民問題を真剣に考えなければなりません。
移民や難民の人達は、安価な労働力として働くロボットではありません。日本で日々生活する同じ人間なのです。
今、アメリカやヨーロッパでは移民排斥を訴える極右政党やトランプ大統領のような過激な発言をする政治家が人気を集めています。
「自分と違う」からという理由で相手を排斥しようとすれば、排斥されようとする人達は当然反発します。
そこには「敵意」しか生まれません。
まず相手を受け入れる。そして、時間をかけて同化する、あるいは全く新しい社会を生み出していく。
日本は1853年のペリーの黒船来航以来、現在まで上手く他国の文化を取り入れてきた歴史があります。
さらに歴史をさかのぼれば、日本は古来より中国や朝鮮から多くの文化を受け入れて発展してきました。
つまり、日本人は古くから他文化を上手く受けいれ、それを自分たち流に発展させることができるというもともと柔軟な思考を持った国民なのです。
今までやってきたことを今になってできないということはありません。
そう考えると、この日本を誰にとっても「ふるさと」だと思えるような素晴らしい国にしていくということは、僕たちにとって���う困難なことではないのではないでしょうか。
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6歳のときに一家でイランから日本にやってきた女の子の成長をたどるお話。
オーバーステイで警察に怯えながら働く両親を支え、兄弟の世話をしながら日本の学校に通い、高校で念願の永住資格を得て、就職・結婚をして二児の母となるまでの30年近い半生に日本で暮らし育つ外国人(の子ども)の悩みや問題のフルコースがつまっているのだけれど、同時に国籍云々関係なく「諸事情から親に甘えるわけにいかなくて子どもでいられない子ども」「マイノリティとして常に周りに遠慮しながら生きる人生」の思考回路を追体験して切なくなる本でもある。でも、著者がいろいろなハードルを一つ一つ乗り越え、自分の気持ちに折り合いをつけながら、今は前向きに日本を自分のふるさととして生きていることに希望を感じる。
総ルビなので小学生でも読める&各省末に「在留資格」「日本に定住する外国人」などについての一般的な解説コラムもついているので、日本の移民政策やこれからの多文化共生社会を知るためにこどもから大人まで読める入門書としてもおすすめ。
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イランから出稼ぎで、家族とともに6歳で日本にやってきたナディさんは、オーバーステイの状態を続けながら、学校に通い、在留資格を得、就職して、結婚し、家族を作る。その間の苦労話が、率直な筆致で語られる。
そこで悩むのか、そこで立ちすくむのか、と驚きながらも、周囲の人々の優しさを沸き立たせていくナディさんのバイタリティに共感させられた。
日本にますます増える移民や「内なる国際化」を考える以上に、私自身や、わたしのこどもたちが、日本を離れ、どこかより豊かな国で、いくばくかの稼ぎのために、苦労しながら生きていくことを想像しながら読んだ。
これほどのバイタリティで、暮らしを切り開いていくことが、私にもできるだろうか。
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労働のために日本にきた両親とともに、6歳で日本にきた著者の半生を描いている。
著者が日本にきた時は、観光ビザで入国して、不法就労という形で滞在を続けた。
又現在では不法入国は少なくなっているようだが、「留学生」「技能実習生」等の名目で来日し、実際は就労を目的としている人もいると言う。
トランプ大統領が就任直後に不法入国者を取り締まるためにメキシコとの国境に壁を作るとニュースになったが、「日本は全く関係のないこと、そんな不法入国者はいないさ」と対岸の火事だとほとんどの日本人は思ったのではないか。
しかし実際には、バブル時代をピークに不法入国者はたくさんおり、日本の人口減少等でその人たちの労働なくしては日本は立ちゆかなくなってきている。
この本は実際にそのようにして日本にやってきて、日本で生活し特別在留許可を得て、日本で生活している著者の半生を自身の言葉で描いている。第3者の目を通してとしてそのような人たちがいること、その生活をニュースで知ることはあっても、実際に暮らしている人の立場から描かれることはこれまでなかったのではないか。当事者の立場でどのように暮らしてきたかを知ることができ、今までとは違った視点でこの問題を認識できた。
子供の頃の生活など本当に辛いこと大変なことでいっぱいだったのだろうと胸が痛くなる。
著者も述べているように、これからの日本は益々、多様な国の人たちが普通に暮らす国になっていくだろう。長らく、1民族、1文化という感覚できた日本だが、多民族、他文化を受け入れて「一緒に日本で暮らしていこう」
それが普通になることが急務であろう。
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両親が出稼ぎ労働をするため、一緒にイランから日本へやって来たナディさん。
オーバーステイ(超過滞在)のまま育ち、高校在学中に在留特別許可を得て、家族とともに定住資格を獲得します。
ナディさん、そしてナディさんの家族は、どのように過ごしてきたのか。
このようなお話を聞く機会はなかなか無いので、読むことができて良かったです。
全ての漢字にふりがなが振ってあり、馴染みのない言葉は優しい言葉で説明してくれているので、小学生でも読むことができる本です。
柔らかい言葉遣いで書かれており、一気に読むことができました。
今でさえ制度や環境が整っているとは言えないのに、当時はまた更に苦労することが多かっただろうなと想像しながら読みました。
そんな中ナディさんは自分を励まし、周りへの手助けも積極的に求め、努力を続けられていて、そのパワフルさに驚きました。
「自分は一体なに人なのだろう」というアイデンティティの揺れや、イランの言葉や文化を忘れないようにしなければと独学されていたこと、宗教や文化・習慣の違いの戸惑い……。
きっと今も、このような悩みを抱えている人たちが大勢いるのでしょう。
『過去30年のあいだ、労働力として多数の外国人や異文化ルーツの人が日本に入国し、働き、結婚し、子どもを生み育ててきました。日本はもう多文化な社会になり、外国人は「隣人」となっているということです。』(P209)
『何かを必要とする人が近くにいたとき、その人が「なに人であるか」と考えるよりも、「何が必要なのか」を考えるほうが、ずっとたいせつだと私は思います。』(P219)
『生まれや育ちにとらわれず、性別、年齢、見た目、国籍など、お互いの環境をいかに多角的に想像しあえるかが、とても重要なことだと思います。困っている人がいれば、助けあえばいいのです。来日したての私たちに、日本のご近所さんたちがしてくれたように。』(P220)
これらのナディさんの言葉が、胸に残っています。
◇
日本語の指導を必要としている生徒は、2016年度の時点で4万4000人。
近年では、学校に行っていない未就学児は8400人だそうです。
条約によって日本でも外国籍の子どもが公立学校に通えるようになりましたが、学校に通わせるのは義務でないとされています。
親が希望しなければ、学校に通うことができません。
学校側のサポート不足も、未就学の理由の一つです。
学校に通えたとしても、日本語能力が不十分だったり、日本の習慣に慣れていない場合、何が分からないのかも分からず、親も子どももついていけなくなり、取り残されてしまいます。
ドロップアウトしてしまう子も少なくないそうです。
母国・日本のどちらにおいても学習レベルが低いままになってしまうと、仕事の選択肢が限られ、可能性が奪われてしまうことになります。
それなのに、これらの子どもたちの日本語教育は、大部分が教員の善意やボランティア頼みです。
日本語を話せるからといって、日本語を教え���ことができるとは限りません。
専門性の高い仕事で、ましてや子どもの将来を変えるかもしれない仕事を、「善意」に任せたままで良いのでしょうか。
また、教育面だけでなく、過酷な労働環境も問題となっています。
長時間の労働、安い賃金、居住環境の悪さ、技術を得るために来日したのに単純作業だけをやらされる……。
現在の状況は、彼らを「労働力」としか思っていないように私の目には映ります。
このようなニュースを目にする度に、胸が痛みます。
今後、制度や環境が整うことを願うばかりです。
◇
今回、こちらの本を地元の図書館にリクエストし、購入してもらいました。
分類は「ヤングアダルト」となっており、「こども」でも「おとな」でもない、10代の人向けの本の分類だそうです。
今後図書館に置かれることで、こちらの本を少しでも多くの人に知ってもらえたら嬉しいです。
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外国人労働者を否定する人がいるけど、もう外国人労働者なしでは日常生活が回らない状態になっていると思う。否定する人は、じゃあ日常生活が不便になったり、ものの値段が上がったりするのはOKかと言えば、そうではないのだから不思議だ。
この本の著者ナディさんは(ご両親も)、とても遠慮深く、日本に迷惑かけてはいけないと様々なことを我慢してきて、普通の日本人以上に真面目に頑張ってきた。特に、非正規低賃金のまま30年近く日本で働いてこられたご両親は、もっと楽してもいいと思うし、ナディさんに至っては、見た目はイラン人でも、メンタリティは日本人。こういう人達を一律国へ帰れって言うのはおかしいと思う。
いろいろな違いを認め合い、ゆるっと仲良くして互いを尊重できる社会になれば、外国人だけでなく、社会的弱者(老人、障害者、LGBTの人、女、子どもなど)も生きやすいだろう。
この本を読むと、ナディさんは友達や周りの人に恵まれたと書いてあるけど、ナディさんがいい人だから、皆が力になってあげようと思うんじゃないかな。この本読んで、それでもお前らは国へ帰れって言える人は相当冷酷、あるいは他者を思いやる能力を著しく欠く人で、そういう人とナディさんとどちらが他人を幸せにするかって、言うまでもないでしょ。
移民だから、〇〇だからというんじゃなく、その人その人で判断したらいいと思う。
まあ、外国人はダメって人はこういう本読まない気がするけど。
頭の柔らかい子どもに読んでほしい。
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著者が出演していたラジオ番組を聞いたのがきっかけで読んでみた。
ルールが違う人との共存は難しいけど、人に優しくなれる本です。
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新刊のときに気になっていて、その後にどこかでおすすめされているのを目にして、図書館で借りた。
イラン生まれのナディさんは、1991年・6歳のとき出稼ぎ労働を目的として家族と来日した。
その後、オーバーステイのまま育ち、高校在学中に在留特別許可を得た。
来日の経緯から、来日してからの文化の違いの話やアイデンティティ、「内なる国際化」のはなし。
失礼な表現ですが、興味深いです。
私はおそらくナディさんと同学年なので、なおさらそんなことがあったのか、と早く先を読みたくてページをめくる手が早まりました。
思えば、小学二年生のとき、同じクラスにお母さんがアメリカ人の男の子がいました。
髪は黒だけれど目がぱっちり、みんなと違う体操服を着ていました。
かんしゃく持ちだけれど頭がよくて、あだ名のような感じでミドルネーム(?)で呼ばれていて、お母さんは自宅で英語を教えているらしく、なんだか特別なんだと思ってしまっていました。
宇多田ヒカルがテレビで「どこにいても外国人で孤独だった」というようなことを言っていて、最近ではTwitterでハーフなのかときかれることについての投稿もありました。
島国日本に育った私たちは、たしかに考えなしなところもあるかもしれません。
色々な団体があり、その時代の法律と社会の寛容と不寛容がある。
不法滞在や強制送還、出稼ぎ労働は一括りにわるいものだと思っていたのが申し訳ないです。
「お互いの環境をいかに多角的に想像しあえるか」、その通りです。
総ルビでかわいいイラストがあり、短い節と具体的な話で構成されているので、とても読みやすく、世界が広がります。
ナディさんと周りの方々に感謝します。
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1991年に出稼ぎ労働目的の両親とともにイランから来日し、オーバーステイのまま学校に通えるように地域の支えもあり、のちに在留特別許可がおりたナディさん一家のノンフィクション。
昨今の人権侵害甚だしい入管を知っていると、こんなにゆるやかな時代があったのだと感じてしまう。人生のほとんどを日本で暮らしている彼女たちに「ふるさとって呼んでもいいですか」と言わせてしまう、無慈悲な日本。便利なときだけ「グローバル」なんて言葉を白々しく使うのではなく、難民・移民の受け入れについて本気で取り組んでほしい。
総ルビなので小学生から読めると思う
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6歳の時に、観光ビザで来日して以来、日本で生活してきたナディさんの物語。
ナディさんが日本を嫌いにならなくて、本当によかったなと思った。
「異文化ルーツの当事者が、みずからの言葉で日本での暮らしを語ることは少なかった」ということ自体が本当に悲しいことで、こうして、語ってくれたナディさんのおかげで、どんなところに、躓くのか、悩むのかということを垣間見ることができた。
「何かを必要とする人が近くにいたとき、その人が『なに人であるか』と考えるよりも、『何が必要なのか』を考えるほうが、ずっとたいせつ」というメッセージをしっかり受け止めたいと思う。
本文すべてにフリガナがふってあることも、彼女が読めない漢字があって苦労したことがきっと関係している。こんな風に異文化ルーツの人に寄り添えられるような人になりたい。
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ビザを持たない(在留資格のない)外国人たちの印象が一気に変わった。著者のナディさんのように、のっぴきならない事情で日本にたどり着き、日本から追い出されないように努力し誠実生きる人たちがいる。
ナディさんは自分と同世代で、自分と同じく関東で育ったようで、会ったことはなくともかつてのクラスメイトの話を聞いているような感覚で読んだ。
(自分は日本生まれ日本育ち日本人の顔立ちの日本人です。)
読み進める間、いつ強制送還されるともわからない緊張感を通奏低音のように感じていたが、それを払いのけるナディさんや両親兄弟の前向きな人柄、そして周囲の人々(日本人や同様にオーバーステイのイラン人)の人情溢れるエピソードに救われる思いがした。
アイデンティティの話まではナディさんの過去を振り返る自伝だが、最終章はジャーナリスティックな色があり、これが今伝えたいことなのだろうと感じさせる真剣さがこもる。それまで語られた自身の境遇によって強い説得力があった。「私のふるさとも、ここに本です。」という結びの言葉には目頭が熱くなった。
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日本に幼い頃から住んでいるナディさん。
出稼ぎにやってくる外国人の実態や、外国人だからと差別を受ける現状、自分は日本人とイラン人どちらなのかのアイデンティティに悩む気持ち、やさしい言葉からナディさんの繊細な思いがストレートに伝わってくる本でした。
自分は日本人だからと、移民の問題にはほとんど関心を持ったことがなかったので、とても恥ずかしくなりました。
外国人労働者を安い賃金で雇いながら、用が済んだらさっさと追い出す日本の姿勢は残酷に思いました。
メッセージがある本ですけど、幼少期にイランからやってきたナディさんの話はとても興味深く、ナディさんが出会う人は良い意味でも悪い意味でも人間味を持った人ばかりで、お話としても面白い本だったと思います。
国際化という言葉は使いながらも、生活の中に外国人を受け入れる姿勢はなかなかできていないのが現状です。
これが当たり前、これが普通、という固定観念を取り除いていくことって難しいですが、この本はやんわりと固い考えをを諭してくれるような内容です。
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ナディさんがイランから来日してからの日々が綴られていた。とても読みやすかった。
日本の生活に慣れるのに必死だったことがよくわかった。読んでみてナディさんは比較的精神的にも強く、周りの環境に恵まれてるほうではないかと思った。
強制送還されてしまう人、長期収容者、不就学や不就労に陥ってしまう人が沢山いる。
ナディさんのこの本から、多くのことを学べた。
外国にルーツを持つ人たちが、暮らしやすい環境になるように努めたい。
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session22の特集で知ってから
ずっと気になっていた本。
やっと読めました。
筆者のナディさんと同年代なので、
当時の学校教育の空気感もよく分かります。
「内なる国際化」という概念がとてもしっくりきました。