紙の本
4人のヒキコモリ達が、世界を揺らして、少し変える?
2020/03/10 22:55
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投稿者:タオミチル - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公は、4人のヒキコモリ達。年齢も環境もバラバラな彼らを、ヒキコモリ支援のカウンセラーと自称する男が、とあるプロジェクトに巻き込んで...。実は、この文庫バージョン出版にまつわるもめごとで本作のことを知って、たぶん、そうでなければ手に取らなかったかもしれない作品。実際、冒頭からしばらくは物語に入ってゆけず我慢して読む。しかし、そのうち、途中で止まらなくなるほど夢中になって読了。希望ある読後感だし、続編もよみたいなぁ...と変化。物語は、4人のヒキコモリたちが、それぞれの才能を使って、世界をシェイク=楽しく揺らす過程を描く。それが過疎の地を盛り上げることになったりもして、かれらも少しずつ成長してゆく姿も、なんだか楽しい。
紙の本
ヒッキーヒッキーシェイク
2019/10/18 03:59
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投稿者:ごんちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
題が面白い。もともとはヒッピーヒッピーシェイクからの改題としりました。ヒッキーズのメンバーも読み進めるうちにだんだん強くなり笠原のちょっとおかしい思考によりヒッキーズを幸せに導く作品を楽しみました。
電子書籍
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2019/08/02 23:01
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投稿者:菜 - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんだか話題になっていたので興味がわいて。
ヒキコモリ達のそれぞれの背景はとても面白かった。
けど最後の方はなんだかピンとこない展開でちょっと合わないかなあと思ってしまいました。
津原さんの作品は「蘆屋家の~」を勧められてるのでそっちを読んでみたいかな。
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幻冬舎との騒動で知って手に取った。
読みはじめてすぐに作者の力量が高いことはわかる(いい作品だ)けど、私の好みではなかったので「乗せられてしまった。反省」という感想。
おそらく原因は二つあって、一つは私が分野違いのIT業界にいて、CGや不気味の谷について中途半端な(まだらな)知識を持っており、それと一致しない小説の中の設定を「お話」として楽しめないこと。もう一つは、ストーリーのテンポが速すぎて(多すぎて)ついていけなかったこと。1/3くらいまで読んで混乱して最初から読み直したくらい。
もともと小説は読者の好みにあわせてジャンルが発達してきたわけで、そのジャンルごとにマーケットの大きさがある。多くの人の好みにあうジャンルならたくさん売れる。そして、本を読む人の数なんてたかが知れていて、普段は読まない人に売れる本だけが何十万部何百万部と売れる。そこを喧嘩しても実(みのり)は少ない。「この本が売れなかったら編集者辞めます」という売り方は最低だった。幻冬舎と著者津原氏では津原氏を支持するけど、それとこれは別。
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「あとがき」によると雑誌に「八割がたを連載したのち、結末までを書き下ろして単行本として刊行した」そうですが、急に物語を無理やり締めくくったような感じがするのは、そのためかな。それこそ8割くらいまでは面白かったんだけど。
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久しぶりに津原泰水。更に言うなら、久しぶりに、津原泰水の『キャラクターが立った』長編を読んだような気がする。ややドタバタ風のところも含めて、ジュブナイル時代を知っていると懐かしい印象があった。
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うわあ,こういう小説だったのか。ひきこもりカウンセラー竺原がクライアント3人と伝説のハッカーを巻き込み,「人間創り」(?)のプロジェクトを立ち上げるが,登場人物の思惑は互いにもつれ合い,思わぬ方向に進んで行く。竺原の目的は何なのか,プロジェクトをハッキングするjellyfishとは何者なのか。ひきこもりたちのリハビリ物語でもあり,その点でほぼ同時期の作品『エスカルゴ兄弟』と通じている。
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引きこもりの人々がプロデューサーの差しがね(?)で色々産み出す話。
色々タイムリーなテーマ。
殺したり殺されたりする前にとりあえずこの本を読んでみたら良いと思う。
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・幻冬舎とか百田尚樹とか見城徹とか早川書房の塩澤快浩とかいったゴシップについては特に意見なし。面倒だ。
・まさにスウィンギング・ブルー・ジーンズ「ヒッピーヒッピーシェイク」のような大変軽快な音楽を聴いたあとのようなウキウキ、という読後感。(ビートルズネタ多数なのもニヤリ)
このウキウキは、文体の切れ味のよさ、会話の巧みさ(津原泰水の真骨頂は実は会話だ)、に限らず、彼の創作作法にも依るのではないか。
作法1、無意味な説明的描写はしない、というより描写自体を抑制して読者の想像に任せる。
作法2、群像劇を作るときは別パートからの働きかけを信用して、パート間の空隙を敢えて説明せず、いわば「跳ばす」。
・引き籠りの実態としては別の見方があるだろうが、本書では「ヒッキー」と、若干架空の存在へ摩り替えられている。
だからこそ、いわゆるキモオタはいない。みな育ちがそこそこいい。唯一無二の能力を持っている。
そんな都合いいことあるかい! とひねこびた読み方も可能ではあるが、そこは読者側からのカテゴリエラーだと見做して。
・いいなーと思ったのは、断章ごとに視点人物を設定する際の、ゆるさ。
像に竺原とでも刻もうかと言われ「断る。もし可能だったらPSR&Tと」という気の利いた台詞があるが、新人作家やルールにからめとられる作家ならばP、S、R、Tしか視点人物にしないはず。
だが津原泰水はゆったり構えて、お亀や花梨や中山文太や葵といったモブ級の人物をも視点人物に採用する。
ちんけなアイドルユニットの一員がラジオで語るモノローグを採用したり。
果ては、なんとナウマン象の末裔とセイウチが成層圏の外で会話している「俺たち、もしかして人類の間で話題になってる?」という断章が許されたり、すらするのだ。
このゆるさが、本作の魅力だ。
・竺原の目的ってなんなん? というのが一番訴求力のある読み手の興味だが、終盤に明かされるそれすらが拡散してしまうくらい、他の人物の魅力が、じわじわ溢れてきて、みなの今後の活躍を祈らざるを得ない。
・以上好意的に書いてきたが、津原泰水にはもっともっと傑作や張り詰めた作品がある。
世間的には上質だが、氏の来歴の中では凡作程度ではないだろうか。好きだけどさ。
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読みやすいエンタメ小説ながら、断面をつなぎ含意をつかむには違う努力が必要なのかも。籠もっていて出張ってる。いつもと違う引きこもり像。
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身近に20年モノのヒキコモリのいる身としては、やや斜に構えて見てしまうところがあるのは否めない。
カウンセラーの「竺原」が仕掛けたミッションに取り組むうちに、ヒキコモリたちがそれぞれ世間との接点を見出していく話。ところがその過程がやや都合が良すぎる感がある。
「パセリ」が出会った大学生や「タイム」が出会った中学生は、ちょっと極端なほどグイグイとヒキコモリたちに迫り、外に連れ出そうとする。きっかけは「パセリ」が大学生のHPを介して送ったメッセージだったり、一応本人の「勇気」が扉を開けた体裁をとってはいるものの、その後の展開のスムーズさに鼻白む。こんなに積極的に他人に関わろうとする人がどれだけ現代にいるのか?と。
あと竺原の3つのミッションも、一つ一つのアイディアは面白いのだが、あっさりクリアし過ぎて達成感があまり伝わってこなかった。
文体は、テンポはよく作者のセンスが感じられるが「どーだ、俺センスいいだろ?」というドヤ感もなく、すいすい読めた。ただ(わざとだろうけど)決して読者に親切な文章ではない。読み落としているところも多そうなので、時間を置いて再読してみたい。
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めっちゃくちゃ面白かったけどこの面白さを上手く言葉にできないのが悔しい。終盤ずっと泣いてました。
一つ一つ積み上げられてきたものが終盤に爆発するこの感じ、なんて言ったらいいんだろう。ずっと胸が熱くて、登場人物一人一人の成長に感極まってしまう。
大どんでん返し、みたいな派手な展開はないのになんでこんなに熱いんだろう。とにかく夢中で読んでしまいました。
恥ずかしながら始めて読んだ作家さんでしたが、手にとって良かった。出会えて良かったと思えた1冊です。
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なーんか、世の中捨てたもんじゃないなって思える物語。最高だった!感動した!というほどではないけれど、続きが気になって読み進めるのをやめられなかった。
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軽妙で、お茶目なんだけど、描写が誠実というか、「引きこもり」の人たちを決して馬鹿にしたり、過剰に持ち上げたりしていないところにものすごく書き手として信頼できる人だなって感じる。とはいえ読んでいちばんの感想は「とにかく、ただ面白い」。大好きな作家さんが1人増えました。
題材としてタイムリーなものがたくさん出てくるし、しっかりと練られているんだろうなあとは思うんだけど、そういう練り具合を読者に押し付けてはこないところが読んでいるときの純粋な心地よさに繋がっているのかなと思う。あとは文章として、奇抜な、豊かな語彙の比喩も出てくるし、言い回しが凝っているんだけど、テンポの良いストーリーの邪魔にならないのは何でだろう、決して鼻につかないし、すごいなと思った。「掃除機の予備吸い込み口のような」って!!でもよく分かる。
その一方で、Twitterでのクールなご対応(褒めてます笑)から、すごく複雑な描写ばかりかもと勝手に思ってたら、登場人物の、「信じてもらえたら嬉しい」「褒められたら嬉しい」「不安だけどちょっと頑張ろうと思えた」というような、共感できたり励まされたり応援したくなったりする心の動きもストレートに描かれていて、とても良いなと思った。決して頭が良くないと読めないようなことはなくて良かった。笑
登場人物みんないいところもダメなところもあって好きだけど、いちばんパセちゃんが好きだったな!まっすぐで、自分の弱さにもまっすぐで、そういうところ素敵だよって、言いたくなるような子。「ほかの人生はないのだ!」この一言に心震わせずにいられる人がいるだろうか?ただの事実なんだけど、その事実を、噛み締めて満喫して生きていきたい、と思った。
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いつも利用しているe-honの予約ランキング上位に突如登場していて、刊行を知った。これまでこんなに力を込めて予約ボタンをクリックしたことはない。そうだよね!買うよね!話題になったから読んでみるという人も多いだろうけど、「津原泰水を売れない作家扱いしやがって。見とけよ見城!」と鼻息荒く購入する人も私だけじゃないと思う。
ヘイトスピーチを垂れ流す「人気」作家。「コイツの本は売れん」と公言する出版社社長。悪夢のようだが、これについてはもう言わない。今回自分が一番痛切に感じたのは、「買わなかったらこんなこと言われちゃうんだ」ってこと。好きだったり、おもしろいと思ったりしている作家でも、買わなかったら支持者としてカウントされない。本って生活必需品じゃないから、買うのにどうもそこはかとない後ろめたさがつきまとうのだけど(この気持ちも私だけじゃないよね?)、ええい、買うよ!これからはもっと!…限度はあるけど。
で、すぐさま読んだ本作の感想だが、やっぱり素晴らしかったー!…と言えたら良かったのだけど、まことに残念ながら、そうとは言いがたい。私が津原作品で好きなのは、幻想系の「バレエ・メカニック」(イメージの奔流が最高)、ミステリでは「ルピナス探偵団の憂愁」(切ない~)、ホラーでは「蘆屋家の崩壊」(マジ怖い)、普通小説なら「ブラバン」(青春音楽ものの傑作)など。あらためてこうあげてみると、実に多彩な才能だなあと感嘆してしまう。結構たくさん読んでいると思うが、あんまりピンとこないのもちらほらある。本作の印象は、例えばその一つである「エスカルゴ兄弟」に似ている。
いや、作品世界としてはまったく違うのだが、読んでいるあいだずっと、これはどういうたぐいのお話なのか腑に落ちず、とは言ってもどこかしら惹きつけられるようでもあり、どうにも居心地が悪いまま読み終えてしまう、という点が共通しているのだった。要するに、好みではないということだろうけど。
もちろん、胸に響いてくるものはある。ある登場人物の「ほかの人生はないのだ」という言葉が忘れられない。そう、誰だってそれぞれ、そこに至るのっぴきならない道のりを歩んで今があり、これからだって「ほかの人生はない」のだ。語り方が自分のストライクゾーンではなかったけど、芯にあるものは充分受け取ったと思う。