紙の本
休む間もなく繰り広げられる壮大なストーリー
2021/09/16 07:38
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投稿者:某歴男 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本は端的に言ってとても素晴らしく壮大で迫力を感じる作品です!それに加えて筆者の想い、登場人物の想いも伝わってきます!
紙の本
数学で化け物を捕える――理不尽と戦う天才
2020/08/31 23:18
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投稿者:読人不知 - この投稿者のレビュー一覧を見る
漫画原作の映画のノベライズ。
三次創作的な作品だが、独立した話として、この小説単体でも充分に楽しめる。
紙の本を読む時は、二重カバーがもしょもしょするので、どちらか外した方が物理的に読みやすい。
主人公は、特異な興味と驚異的な集中力を持つ天才少年・櫂直(かい・ただし)。
父は息子の奇行を咎めず、やさしく見守って才能を伸ばすが、ある日を境に態度が一変。視野狭窄な面がある直には、何故かわからないまま日々が過ぎ、真意を質すことができないまま死別する。
成長した直が軍に呼ばれる流れが、抗えない運命を意識させる。
数学で化け物を捕える――
たったひとつの使命を帯びて挑む難問。
捕まるのは、己か、化け物か。
父の真意を悟った直がどんな選択をするのか。
喪ったものと得たもの様々な出来事が絡み、ひとつに繋がる。
例の「化け物」の誕生を阻止できるのか、この物語がif戦記になるのか、史実のスキマ戦記になるのか。史実を知る読者を最後まで飽きさせることなく引っ張る展開。
事実や真実が無力な時、何を信じ、何を選び、どう行動すればいいのか。
避けられないなら、せめて少しでも、被害を軽減したいと言うギリギリの選択。その選択すら、仕組まれた物かもしれないと思わせる底の知れない先達たち。
深淵を覗く時、深淵もまた、こちらを見ている。
己もまた、怪物となる可能性がある――そんなことを思わせる一冊。
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巨大な戦艦を空母よりも安く作れるという出鱈目を暴き、戦争を回避しようと思った数学者が、公式でその出鱈目な大臣たちをねじ伏せるという話しで、会議のシーンやそこに至るプロセスの話しが勢いがあり面白かった。ただ、あっという間に終わった印象が強く読み終えたという満足感はなかった。映画のあらすじみたいに思えてしまった。おもしろいのは面白いですよ。映画も楽しみです。
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この作品はフィクションなんですよね ?
内容的には面白く読めた。ただ読み終わって振り返ると少し内容が薄かった様な気がする。
映画の映像では戦艦大和が撃沈する場面が見られるが、確かに映画として大和の戦闘シーンまで膨らませると魅力がある作品になると思う。
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数学大好き読者として興味深く読めたが、あっという間に読み終えてしまい、これだけの内容で映画化できるとは…本当はもっと伏線もあっただろうが、どこに視点を注ぐかで物語が作られていくのでしょうね。役者さんや他の技術者さん達の力量に感心するばかりです。映画はまだ観てませんが楽しみです。
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いったい、船舶工学の粋を集めた巨大戦艦の見積りの不正確を数学の天才と言えども当該領域のズブな素人が計算により看破できるのか?流石にこの点に作者も疑問を抱いたようで積み上げの数字を捨てて概数同士の相関で真実に迫っていく。フムフムこれならば有り得なくないが、到達した結論より、当時の意思決定の杜撰さの方が気になってしまった。戦略決定は積み上げの結果でなく、意思決定であり、補完する意味での数字は戦略が実現可能性の点で棄却されるべきものでないことを示しているのに過ぎないことは現代においても同様である。本書はこの一点をテーマして巨艦大砲主義に傾いていった当時の戦略決定をあぶり出す。
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菅田将暉が好演しているというので、まず映画を見た。アメリカとの戦争が始まる前、海軍では、航空母艦派と戦艦派の争いがあった。航空母艦派はもちろん山本五十六で、かれはこれからの戦いが飛行機が優勢になると考えていた(これは開戦すぐの真珠湾やマレー沖海戦でイギリスの戦艦二隻を日本の飛行機が撃沈したことで証明されるのだが)。しかし、戦艦派は戦艦こそが戦の中心だという。あたかも戦国時代に鉄砲が現れたときに、剣や弓矢で闘うような発想だった。両派の戦いは、予算案をめぐって行われた。戦艦派は巨大戦艦であるのに、航空母艦よりも安く見積もっていた。この謎を暴こうとしたときに現れたのが、帝大で数学の天才と言われた櫂直(菅田将暉)だった。かれは小さい時から美しいものがすきで、美しいものはすぐ巻き尺で測りたくなる習性があった。かれは尾崎財閥の当主に気に入られ、娘鏡子の家庭教師をしていたが、娘のあまりに均整のとれた顔立ちや体を巻き尺で測ろうとしたときに、尾崎家の人たちに押し入られ、帝大も退学せざるを得なくさせられた。そんな櫂に目をつけ、戦艦派の平山予算案の問題を解かそうとしたのが山本たちだった。会議までは2週間、この間にいくたの困難を越えて櫂は解答を得るのだが、会議であかされた予算案の謎に茫然としてしまう。山本たちは敗北するも、櫂は平山案の致命的問題をつかんでいた。このままでは船はまっぷたつになってしまう。平山は櫂のことばに納得し、敗北を認めその場から立ち去る。しかし、平山はやがて櫂を呼び、その解答式を教えてくれるよう頼む。櫂は平山の大和の模型を見て、その美しさに見とれ、解答式を教えてしまうのだ。一方、小説では、櫂は教えるものの、鏡子とともに出奔し姿をくらましてしまう。
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930年代の日本。次世代の旗艦として巨大戦艦建造が濃厚となる中、反対派は建造費の虚偽を疑い、ある天才数学者にをれを見破らせようとします。この天才数学者櫂正が半端ではない天才で、彼の行動の一挙一動を夢中になって追いかけあっという間に読み切ってしまいました。面白かったのですが、こちらは映画を小説化ということなのか短い期間の出来事になり、コンパクトにまとまってしまっているのが残念です。原作のコミックでは時代のもっと先までじっくり描かれているようなのでそちらを是非読んでみたいです。
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映画版の小説という紹介だが、冒頭とラストが大きく違う。特にラストは印象が全く変わる展開でびっくりした。個人的には映画版の方が好きだ。
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1930年代、対米開戦を視野に入れた大日本帝国海軍の司令部は、戦艦大和を建造し、日本の国威を世界に示すという計画を立てていた。その計画に反対する海軍少将・山本五十六(舘)は、帝国大学100年に1人の逸材、アルキメデスの再来と称される天才数学者・櫂直(菅田)を引き入れる。櫂は数学者ならではの視点で、巨額の国費を投じる建造費の見積額に矛盾を発見。軍部の陰謀を暴こうと動き出す。
8月にはあえて戦争映画を観ることにしています。今年選んだのは本作、思いの外とても良い映画でした。
何といっても冒頭と呼応するかのようなラストの決定会議に愕然としました! 何故、戦艦大和の轟沈シーンがオープニングに使われたのかが鮮明に伝わります。その中に組み込まれたワンシーン。海に墜落した一人の米軍飛行兵を救助するためにアメリカ軍は飛行機を飛ばし助けるのです。沈みゆく大和の一乗組員は、その光景を信じられない表情で観察している。自分たちは捕虜になるのは恥とまで教育されたのに、戦争の敵国アメリカは兵隊の命を何よりも優先している。衝撃的だったに違いありません! このシーンはまさにラストを象徴していると思いました。
決定会議、櫂の数式で証明され山本の空母案に決定すると思いきや、ずっと沈黙を守っていた平山中将が口を開きました。何と、低い見積もりは意図的なものだと説明し始めたのでした。大掛かりな予算計上を他国が見れば、日本の本格的な軍拡の動きを察知される、平山はそれを怖れてわざと低い見積もりを提出したという。この発言に他の者は感激、形勢は逆転しやはり大型戦艦を造る方向へ進むと思われますが、更に奥深く分け入りました。櫂が平山の設計にミスを見つけ、平山は案を取り下げて去ります。再び空母案が浮上し会議は終了。(しかし実際、この頃、すでに各国の戦術は空母に移り戦艦は時代遅れ)。帰りに山本は空母でハワイ真珠湾奇襲が効果的だと持論を展開。それを聞いた上官である永野は、山本が非戦派と思っていたので驚きを隠せません。観客だって騙された感は拭えません。
しかしこれで終わりません。櫂の元へ平山から見せたいものがあると電話が入る。通された場所には新たな戦艦の模型があった。美しいフォルムに櫂は魅せられます。そういえば、彼は常に「美しい」を連発していました。何年か前に現首相が”美しい日本”を発言していたのを思い出し微妙でした。平山は櫂に語ります。「日本人の国民性からいって、どれだけ戦況が不利になっても戦い続け日本は滅びてしまうだろう。そんな国民の士気を完全に折るために、象徴的な戦力の確立と敗北を用意しなければならない、だから巨大戦艦を建造する必要がある」のだと・・・。
えっ! 驚愕しました。日露戦争の勝利で国民の世論は戦争支持の声も少なくなかったとも云われる当時。日本帝国に住む人々の希望である大和をわざわざ造り、撃沈させて敗北を受け入れさせる。何という愚かで突飛な発想。それをしなければ敗北を認めない土壌。それにしても、調べると戦艦「大和」の建造費は1億4503万円で、当時の国家予算の4.4%もの巨費を投じています。実際やはりと言って良いのでしょうか、戦艦大和はたいした戦績をあげること���なく、終戦年の4月に鹿児島県坊津岬沖で撃沈されます。それから4カ月後(も経ってから)、原子爆弾が投下されやっと受け入れているのです。もっと早くに終わらせていたらかなりの人々の命が救われと考えるとたまりません。
茶番もいいとこです。
それを描いてくれた本作に拍手を送りたい。
他に感じた点を
●海軍造船中将平山役をされた田中泯さんは適役でさすがでした。
●ナレーションを担当した立木文彦さん、あまりにテレビでおなじみの声だったので拍子抜けが~。
●主役を演じた菅君にはファンであるが故に高い演技を期待しすぎたのかな。辛い点数づけとなりました。
それに比べ、田中正二郎の柄本佑さんは良い印象でした。
●計算をする時間がなくて間に合わない感がこちらまで迫って来る演出。移動する汽車の中や会議中にも算盤をはじいているシーンなど。
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これは先に映画の脚本があって、それを小説化したみたいですね。
2時間程度で終わる物語、だから小説の内容も薄くて、1日で読み終えちゃえます。
第二次世界大戦直前、日本海軍は軍事力を高めるべく、巨大戦艦か空母の建造を計画するが、戦艦派と空母派に分かれる。
山本五十六率いる空母派はこれからの戦争は航空力だと説き、戦艦派は日本の象徴を示すべきと説く。
問題は建造費で、より多くの戦闘力や操縦力を必要とする戦艦が高いはずなのだが、空母派はその予算額で負けてしまう。
そこで登場するのが、数学の天才である主人公。
理論的にその金額では作れず、高波を受けたら沈没すると論破するという物語。
マンガみたいで面白いですよ。
ちなみに私は映画は見ていません。
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映画をもとに書き起こしたもので、映画を見ているくらいの展開の速さと分量。重厚ではないけれど、ハラハラさせる読ませどころが数多くあり、面白かった。
正しさ・美しさも大事だけれど、目的を見失ってはいけないのだなあと改めて認識した。
また、間違っていることは、たとえ立場が低くても責任を持って指摘することが重要で、指摘された場合は感情的に切り捨てるのではなく、誠実に検討する姿勢も失わないようにしたい。
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本書は、映画「アルキメデスの大戦」(原作・三田紀房 脚本・山崎貴)を原案として、著者が書き下ろした小説です。
菅田将暉主演で気になっていたが、まだ観ていない映画の小説版との事で手にして一気読み。
映画を観られた方からは特にエンディングの違いについてのコメントを見受けられるが、観ていない私にはわからない(苦笑)
数字はウソをつかない。
その信念の下に巨大戦艦の建造を数学の力で止めようとする若き天才数学者「櫂直(カイタダシ)」の物語。
時は1933年、次なる旗艦の建造計画の中で海軍上層部内で巨大戦艦派と空母派の争い。
気持ち良いぐらいサクサク読み進められたが、結果的に海軍内での争いに勝者はいない。
これが戦艦大和の建造秘話ならばその背景は勝ち目の無い戦に向かう為の心の拠り所とし建造された大和はあまりにも悲しい。
ある種の切なさを感じたのは私だけではない気がします。
説明
内容紹介
今夏注目の感動大作「アルキメデスの大戦」小説版!
一九三三年。次なる旗艦の建造計画をめぐり、海軍上層部は対立していた。巨大戦艦建造を標榜する戦艦派の計画案に、数字上の虚偽を疑う空母派は、ある数学の天才に不正を見破らせようとする。数学の真理は、巨大戦艦―大和―の建造を阻止できるのか? 大日本帝国海軍が歩んだ激動の時代を、美しき若き天才数学者・櫂直の生き様を通して描く感動作。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
映画「アルキメデスの大戦」
主演・菅田将暉
監督・脚本・VFX 山崎貴(「永遠のゼロ」「海賊と呼ばれた男」)
原作・三田紀房
2019年7月26日公開!
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
内容(「BOOK」データベースより)
一九三三年。次なる旗艦の建造計画をめぐり、海軍上層部は対立する。巨大戦艦建造を標榜する戦艦派の計画案に、数字上の虚偽を疑う空母派は、ある数学の天才に不正を見破らせようとする。数学の真理は、巨大戦艦「大和」の建造を阻止できるのか。帝国海軍が歩んだ激動の時代を、若き天才の生き様を通して描く感動作。
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同名漫画の小説版。漫画は連載は知っていたが、毎週立ち読みするようになったのはつい最近から。天才的な数学力を、造船設計の不正を暴くことに活かされるが、漫画版だと外交交渉にも発揮されているようだ。
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映画になってたのは知ってましたが、まだ観てなかったので、原作を読んでみました。日本が戦争への破滅の道をまっしぐらに進んで行く様子や、軍部内での対立、戦艦にかける製作者の思いなど、多面的な視野で描かれてました。