紙の本
ブラック&ホワイト
2019/09/16 17:40
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投稿者:J.J. - この投稿者のレビュー一覧を見る
潜入捜査中に起きた警官夫婦襲撃事件、何故襲われたのか、ビッグホワイティとは何者なのか、捜査が進むにつれて驚愕の事実が判明する。
紙の本
原題は“UNSEEN”、<目に見えないもの・隠されているもの>の意か。
2019/06/29 04:53
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投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る
恒例、ウィル・トレントシリーズ最新作(もはや第何弾とか数えるのも面倒になってきた)。とはいえ主役はウィルではなく、サラなどウィルをめぐる女性たちだが・・・(しかもサラは別のシリーズの主役だった人なので、どうしても彼女が目立ってしまう)。
メイコン警察署管内、ある警官夫妻の家に何者かが押し入り、発砲。夫は重体、妻は命からがら敵の一人を反撃し殺害。いったい何故、こんなことが起こったのか。そして現場には潜入捜査中のGBI特別捜査官ウィル・トレントがいた。病院に運ばれた夫はサラ・リントンの元夫ジェフリーの息子のジャレド、妻はジェフリーと過去に組んでいたレナ・アダムス。サラはジェフリーの死をレナのせいだと今も考えており、ウィルの見るところレナは嵐を呼ぶ女。
更にレナのチームの他の警官も銃撃され、レナとブランソン警視があぶり出そうとしている謎の犯罪者“ビッグ・ホワイティ”のせいではと考えられたが、ビッグ・ホワイティはあまりに内部情報を詳しく知りすぎている。組織内にスパイがいるのではないか、と誰も信じられない状況が続くが・・・という話。
またもや冒頭からすさまじい出来事が展開。アメリカのハードボイルド系ミステリはそうでなきゃならんのか!、と言いたくなるくらいの感じで。まったく、この人たちはどれだけの修羅場をくぐらねばならないのか、とため息が出るほどだ。
今回の主要人物はサラとずっと対立していた(サラに憎まれていた、というべきか)、レナ・アダムスである。
こういう人っているよなぁ、とレナ視点の部分を読んでいて感じる。おかしい、あぶないと本人も感じているのにそのままにしてしまう、もしくはなんとかなるかなぁ、誰かがやるかなぁと考えてしまう人。全部自分の責任ではないのに、何故か誰かの不注意を引き付けてしまう人。たいがい大怪我したり早死にしたりするのだが、ときどきまわりがその部分を被ってしまう。レナはそんなタイプで、自覚もあるのにどうすれば直せるのかわからない、複雑な怒りと自己嫌悪を抱いている人。近くにいたら「こいつ、めんどくさいなぁ」と絶対思ってしまうだろうが(作中でも女性の登場人物の多くはレナに悪感情を持っており、逆に男性は好感情を示している)、登場人物であれば多少なりとも共感や理解が示せるところがミソである。というか、「これって誰かのせい」と考えられたら人は楽で、責任を自分以外の誰かに押し付けたいということなんだろうなぁ、と。
邦題『ブラック&ホワイト』は本文中に何度か出てくるけど、それぞれ違うものに対する表現。
美しいものもみにくいものも白いところと黒いところ両方を持っている、ブラックorホワイトじゃない・どちらか片方をはっきり選べるわけじゃない、というような意味合いかしら、と感じてみる。
しかし昨今の世界はすべてが複雑だ でも、まざりあって全部がグレーではないというのが救いなのだろうか。この世界にもまだ美しいものが、信じられるものがあるよ、という。でもそれを輝かせるために、ここまでひどいものをセットしなければいけないのか・・・まったく、容赦がないぜ。
そんな中、ウィルは成長への階段を大きく昇ったようである。それはよかったけど・・・サラの感情の乱れが、いつまでたっても思春期の女子みたいでイラっとする部分も。彼女もウィルとともに成長してくれそうな気配もあるが、アンジー問題に片が付いていないので、この先の展開がまたつらそうである。
とか言いながら出たら読んでしまうんだけどさ。
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カリン・スローターは「悪魔のような女」を書く。
悪女ではない。
悪女なんて、自分の下半身に忠実か、
せいぜい相手の下半身に着火していいようにする「ファム・ファタール(運命の女)」という、ただそれくらいのものだ。
底が知れている。
「悪魔のような女」とは、なにか。
よくわからないのだ。
彼女がなにを考えているか、どういう生き方をしているのか。
彼女の希望はなにか、目標はなにか。
なにをどうしてどうしたいのか、
さっぱりわからない。
わかるように書いてはあるのだ。
彼女の視点、彼女の状況を、著者はちゃんと書いている。
それを読んで思うのだ、
言うほど悪い人じゃないなと。
彼女には彼女の理由があるし、
ただ誤解されやすいだけではないかと。
ところが、これが第二者、第三者の視点や状況で見ると、
いや、そんなものではないぞと、
さっき自分が思ったことに、早速疑問が入るのだ。
そんな思考のあちこちを何度も繰り返すうちに、
なにがなんだか、その女性について、さっぱりわからなくなっていく。
なに、この人。
なんなの?
そんな人物が一人でも描ければ、素晴らしい作家だと思う。
それを、カリン・スローターは、何人も書き出しているのだ。
アマンダ・ワグナー
アンジー・トレント
レナ・アダムズ
時代を問わずジャンルを問わず、世にあふれる作品に登場する女性は、4つのパターンに分けられる。
イヴ (悪女 誘惑者 ファム・ファタール)
マリア (母 許し 慈愛)
娘 (未婚の女性 無垢 無邪気)
婆 (文字通り)
この単純な割り当てが悪いとは言わない。
単純さは解りやすさであり、楽しみやすさでもあるのだ。
はい、了解、この女性はこのジャンルねと、人物像がさっさと把握できる。
で、そして話はどうなるのと、展開を楽しんでいけるのだ。
それは素晴らしいことだ。
だが、飽きることもある。
その時は、カリン・スローターを読めばいい。
上記のパターンに当てはまらない、女性がたくさん出てくる。
まずは、タフ。とにかく、タフ。
それぞれが、それぞれの形で、タフ!
そしてなにより「悪魔のような女」たち。
カリン・スローターについて、初めてその写真を見た時、「おとなしやかな女性」だと思った。
それが、作品を読み進むうちに、皮肉と、残虐さと、ユーモアを内に秘めた、
思いやりと尊敬の念に満ちた、意地悪な女性だという印象にかわった。
さらにくわえて、ファンキーな女性でもある。
著者のSNSをのぞいてみれば、なぜか、飛んで跳ねてステップを踏んで、ダンスを披露する作家の姿があるのだ。
どうやら、世界各国で翻訳された自著が、その国でランクインした時、その国ゆかりの音楽で踊って、その動画をSNSで披露することにしているらしい。
さすが、カリン・スローター・・・・・・わけ���わからない。
つまり、悪魔のような女は、彼女の内にまだまだいるのだ。
うごめいて出番を待っているはずだ。
以下が、既に顕現している「悪魔のような女」たちが描かれた作品リストである。
このシリーズは、断然、始めから読んだほうがよい。
「悪魔のような女」のその背景がわかってくると、印象が変わる場合もあるからだ。
「悪魔というか・・・・・・鬼神?」
私はある人物について、そう、印象が変わった。
誰とは言わない。どの本とは言わない。
一時的なまやかしかもしれない。なにせ相手は悪魔のような女だ。
新刊の『ブラック&ホワイト』でもその変化はあるかもしれない。
それを楽しむためにも、シリーズははじめから読んだほうがよい。
出版社がまたがっているので注意。
どれも文庫版とKindle版がある。
『三連の殺意』
『砕かれた少女』
『ハンティング』(上下)
『サイレント』(上下)
『血のペナルティ』
『罪人のカルマ』
『ブラック&ホワイト』
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「ウィル・トレント」シリーズ第7弾。ウィルの潜入捜査や久々登場のレナの身に起こることと冒頭から迫力満点なのだけれど、シリーズを通して描かれている警察内の対立、裏切りが続いていて面白い。裏切っているのは?レナが狙われたのはなぜか。ウィルが主人公ではあるけれど複数の女性たちの物語でもあってそれがシリーズに厚みを与えていてさらな面白くなっていると思う。今作も一気読みでした。
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限界を越えてくる。「血のペナルティー」で、暴力シーンにも精神的にも私の読める限界かと思ったが、さらに。
今回はアンジーが全く登場しないので、まだまだ上がありそうで次作がすでに怖くも楽しみ。
映像だったら無理だろうな。。
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いきなりのバイオレンス・シーンに始まる一冊。襲われるは女性刑事レナ・アダムスとその恋人の白バイ警官ジャレド・ロング。殺し屋たちとの肉弾戦と直後に登場したのがウィル・トレント。ややこしいことに彼は潜入捜査中。地方都市メイコン。ジャレドは重症。レナはジャレドの命の危険にショック状態。
修羅場から一転してジョージアの州都アトランタ。噂ではジョージア州にまで市場を拡大してきた姿なき大物犯罪者ビッグ・ホワイティを炙り出すために広域の捜査が展開している。送り込まれるウィル。ウィルの恋人で医師のサラ・リントン。ウィルのパートナーのフェイス・ミッチェル。
このシリーズは潜入捜査官ウィル・トレントのシリーズと銘打っていながら、ウィル以外はほぼ女性ばかり。そしてウィルの他に三人の女性たちの目線で描かれる章(レナ、サラ、フェイス)が多いばかりか、彼女たちの動きがそれぞれに重要なファクターとなり、謎多い事件から多重的に真相という核に迫ってゆくプロットが凝りに凝って、素晴らしい。
司令塔アマンダ・ワグナー。メイコンの捜査指揮官デニース・ブランソンなど、他にも主役を取れそうな濃い女性キャラクターが、それぞれの個性を競い、会話をぶつけ合い、単純に見えた事件の裏側に見えてくる行方不明の子供たち。ネグレクト。DV。小児性愛。昨今の犯罪小説ではもはや馴染みとなった、異常な要素がここでも例外ではなく、暗い世界の住人たちを照らし出そうとしている。
女性作家であるゆえに、会話によるかけひき、情念のぶつかり合い、すれ違い、情熱の濃さ、さらに言えば濃密な母性といったものが、捜査そのものに相当に影響を落とす物語を紡いでくれる。そして最後には、驚愕の真相が待っている。謎の深さと、男性作家ばりのスリリングなアクションが同居した骨太の力作なのだ。
巻末の北上次郎解説によれば本ウィル・シリーズは、ウィルは名ばかりの狂言回しで、実際の主人公は作品毎に上記に挙げた女性たちが交代で務めているのが実情であるらしい。本作にも過去のいきさつとそれによる人間関係の距離感など、会話の端々に出てくるところ、シリーズを順番に読まなかった罰を少なからず受けてしまった。できれば、最初の『三連の殺意』から、さらにできればその前章に当たるサラがヒロインのグラント郡シリーズ(『開かれた瞳孔』一冊しか邦訳されていないし、廃刊なので万単位でしか売っていない様子)から読むとさらに流れや人物相関が理解できて楽しいらしい。
豊富にあるカリン・スローターの著作だが、嬉しいことに本シリーズ最新作が、あちらで何やら大賞を射止めたらしく、今後邦訳も早くなったり増えたりしてくれるのではないかと、期待できる状況なのである。
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この作者の作品は二作目。前に読んだ「彼女のかけら」はちょっとピンとこなかったけれど、これは面白かったです。シリーズものの新作のようですが、これを単体で読みました。それでもとても楽しく読めました。かなり強い女性たちの中で男性が踊らされているようなのも快感です。全くひどい事件で、悪魔のような人たちがたっぷり出てきます。グロいシーンもたくさん登場しますが、かなり刺激的で私好みです。
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ジョージア州捜査官のウィル・トレントは潜入捜査中に、警官夫婦が襲われる事件を目撃する。犯人は殺害されたが、なぜ警官夫婦を襲ったのか。被害者の妻レナ刑事は、麻薬密売人で妹を殺害しているシド・ウォラーを逮捕しようと躍起になっていた。苦労して、アジトを襲撃するとそこには・・・警官たち続けざまに襲われる。レナの上司のデニース・ブランソンは何かを隠してる・・・
相変わらずカリン・スローターは素晴らしい。
警察によるドラッグ密売のアジト急襲は失敗に終わったことはすぐに分かるのだが、詳細は描写されず、ウィルの潜入捜査や恋人サラとの関係の方面が描かれる。ブランソンがやっと明かす場面では鳥肌が立つくらいよくできてると思った。そこから捜査がグイッと進んでいくわけで、そのグルーヴ感があるとても心地良かった。
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ここまでくると感想は短めに
ウィルは謎の犯罪者ビッグ・ホワイティを炙り出すため潜入捜査中
ウィルと交際中のサラは、夫の死の
要因であるレナにイライラ
フェイスはいつも通りイライラ
アマンダもいつも通りイライラ
レナは犯罪者達から強制捜査の報復?
を受け負傷、夫も重症でイライラ
…
ようやく落ち着いた?のかな?
ドロッ!と言うかヌメッ!というか
暗いままなんだけど少しずつ前に進んでる感じ。なんだけど、現在と数日前の場面を交互に語る構成
半分ほど読んで中断…
「何が起きてるか」だけで見るとすこし冗長な感じが…ミステリーとして謎を追う部分は…無いですね。(シリーズを重ねるごとに減ってゆく)
解説で「ウィル・トレントシリーズ」と言われてるがウィルは添え物、に納得
強い女性達が終始ピリついてます。
旅する冒険者とかではなく、この先何がゴールなのかとかは無いので、どんなペースで読もうか考え中。
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ウィル・トレントシリーズ。
読みはじめたとたんに、ええっ、これはどういう状況?!ってところから、だんだんさまざまな人のつながりが見えてきて全体像がわかってくるストーリーが今回秀逸だったような。ウィルが潜入捜査しているんだけど。そういう、捜査の状況が毎回違うっていうのもマンネリ化しないでおもしろい。
あと、サラと、サラの夫が殉死する原因ともなったレナの対決(会話で、だけど)がすさまじくて、どきどきしながら読んだ。現実で、こんなに傷つけあうようなことを人と言い合うことってないと思うし、あったら立ち直れないだろうけど、フィクションで読めるのが刺激的というか、おもしろいと思ってしまう。
それからやっぱりウィルが好きだなとしみじみ思った。彼がつくり話をして子どもの心をひらかせるところとかなんだか涙が出そうだった。
このシリーズは、ウィルとサラの恋愛モノとしても読めるけれど、いろんなところの感想を読んでると、恋愛モノ部分がおもしろいっていう人と、恋愛モノ部分はいらない!って言ってる人がいる…。わたしは絶対的に前者だけども。
おもしろいんだけど、今回、サラのことをいわゆる「めんどくさい女」なのかも、と思ってしまった。ウィルのことを嘘をついたって責めるけれど、それはしかたないじゃん!と。嘘をついたからって信頼していないわけではないのでは…。なんでも話してほしい、っていうのはわかるけれど、それがうまくできないウィルなんだよ…、と。それでもウィルも前に比べたらずいぶん感情をあらわせるようになったと思う。よかった。
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図書館の本 読了
内容(「BOOK」データベースより)
素性の知れない犯罪者ビッグ・ホワイティを炙り出すため潜入捜査中の特別捜査官ウィルは、警官の家を狙った強盗事件に出くわす。犯人は警官夫婦の家に押し入るなり、最初から命を狙っていたかのように発砲した。夫は重体。刑事の妻は反撃のすえ強盗犯一人を殺害する。襲われたのは、ウィルが取り調べたことのある曰くつきの女刑事だった―。さらに彼女と同じチームの警官が襲撃され…。
もう、ウィルが切なくてたまらない。
人を本気で愛したが故の弱さが露呈する。
愛してるから緊張が切れたときにサラに向いちゃったのを気に病むウィルがいとおしい。
サラも疑心暗鬼があるから二人がすれ違う。
お互い愛し合っているだけにもどかしい。
フェイスが称した「地に足がつかなくなった」という表現好き。
レイナの葛藤は理解できない部分もあるけれどジェイクが命をとりとめた今後が気になる。
you're win
サラもウィルも幸せになる必要があるのです。
Unseen by Karin Slaughter
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すごくおもしろかったんだけど邦題がださい。ウィルが前科者として潜入捜査する。ウィルが死ぬわけないと思いながらもかなりヒヤヒヤする場面が多くスリリングだった。
事件はどうでもいいからサラと仲良くしてほしい。